柔道整復師と介護福祉【第40回:障害者自立支援法~障害者総合支援法②】
障害者自立支援法から障害者総合支援法改正への改善点4つのポイント
障害者自立支援法から障害者総合支援法への法改正が行われたことで、いくつかの改善点があります。今回はその中でも主なポイントを4つに絞り、障害者総合支援法の概要をまとめていきます。
① 基本概念の設定
法改正前の自立支援法では基本理念は設けられていませんでした。法改正によって、障害のある人を権利の主体と位置づける基本理念を定めております。
基本理念の設定により、住み慣れた場所で可能な限り必要な支援が受けられることや、社会参加の機会の確保、どこで誰と暮らすかを選べるなど、障害のある人が保障されるべき権利がより明確に打ち出されております。
障害の有無によって分け隔てられることのない「共生社会」を目指す方向性が示されております。障害者総合支援法の福祉サービスは、こうした理念に基づいて実施されます。
第一条の二
障害者及び障害児が日常生活又は社会生活を営むための支援は、全ての国民が、障害の有無にかかわらず、等しく基本的人権を享有するかけがえのない個人として尊重されるものであるとの理念にのっとり、全ての国民が、障害の有無によって分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会を実現するため、全ての障害者及び障害児が可能な限りその身近な場所において必要な日常生活又は社会生活を営むための支援を受けられることにより社会参加の機会が確保されること及びどこで誰と生活するかについての選択の機会が確保され、地域社会において他の人々と共生することを妨げられないこと並びに障害者及び障害児にとって日常生活又は社会生活を営む上で障壁となるような社会における事物、制度、慣行、観念その他一切のものの除去に資することを旨として、総合的かつ計画的に行わなければならない。
② 法改正の変遷
支援費制度から自立支援法、そして障害者総合支援法という法制度の変遷は、支援対象となる人が見直されてきた歴史でもあります。
かつて支援費制度下では、精神障害のある人は支援の対象ではありませんでした。それが自立支援法の成立によって支援の対象になり、次いで発達障害のある人の位置付けが不明確であることが顕著化、2010年の自立支援法改正で発達障害も支援の対象であることが明確化されております。総合支援法ではこれまで支援が行き届かなった難病等の疾患のある人についても、支援対象者として新たに加わり、サービスを受けられる方の範囲が拡大されております。平成29年4月時点で、対象となる疾病は358疾病が対象になっています。
③ 障害者総合支援法対象疾病(難病等)の見直し
自立支援法では、福祉サービスの利用に際し、障害の程度を測る指標を導入、サービスの給付決定をしております。これを「障害程度区分」と呼びます。主に日常生活行為が「できる」か「できない」かに着目して障害の程度を測っており、例えば食事が自分でできる/できないかだったり、排泄が自分でできる/できないかだったりで、できる項目が多ければ障害の程度は軽く、できない項目が多ければ障害の程度は重いという考え方が基本となっております。
一口に障害といっても、その実情は一人ひとりさまざまです。日常生活の中でも、自分でできるけれど時間がかかったり、自発的に行えなかったり、症状の調子が悪い時にはできなくなるなど、条件付きで「できる」という方も存在します。どの程度生活に支障があるかは人によって異なりますし、「できる」「できない」で障害の程度を判断することは実は大変難しいのです。
④ 障害者程度区分から障害支援区分
障害者総合支援法では、障害程度区分を改めて「障害支援区分」とし、障害のある人それぞれの生活環境を踏まえ、どのような支援をどの程度必要とするかといった度合いを測ることになっております。コンピュータによる一次判定とかかりつけ医の意見書、市区町村の審査会による二次判定によって、障害支援区分を認定することになっています。
支援区分は7段階の区分に分かれ、もっとも支援の必要性が高い区分が「6」、以下「5・4・3・2・1」と続き、もっとも支援の必要性が低い場合は「非該当」となります。この支援の必要性の区分によって、支給されるサービスの時間に違いが出てきます。一部のサービスは支援区分が低いと利用できないことがあります。
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