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柔道整復師と介護福祉【第37回:介護保険制度の行方について】

柔道整復師と介護福祉 特集

介護保険制度・報酬改定論がすすむ中、要介護認定が改変します!

1.報酬改定論議が急速に進められ、平成30年から段階的に制度が激変します。

医療・介護一括法が可決成立しました。今回の制度改正は数年間かけての改変が行われるように法律が変わったのが特徴です。15年4月からは特養ホームの入所が要介護3以上になり、要支援の通所と訪問サービスが市町村の事業に平成30年4月から義務化で変わります。

15年8月からは利用料の2割負担の導入が開始され利用者負担が急激に増加したことから介護サービスの使用量に制限をかける利用者が続々と出現。
また、施設入所者の補足給付の仕組みが変わりました。

ケアマネジメントに関しては15年から研修制度が改変され、18年から居宅介護支援事業所は市町村の事業所指定に変わることが決まりました。続いて主任ケアマネを管理者要件とする方針が打ち出されており、ケアマネのマネジメント力向上と質の向上を目指す見込みです。

介護保険制度・報酬改正では、今年4月から介護給付費分科会が毎月開催され、テーマごとに「今までの指摘事項」「現状の課題」について、メンバーの意見交換の会議が行われています。

「定期巡回、複合型サービス」

「認知症対応」

「ケアマネジメント」

「区分支給限度額」「特養と特定施設」の論点が示されております。

このようにテーマ別に論議が行われ、秋には「様々な意見を聞いたが、制度改正はこうなる」と具体的な報酬が提案、12月中旬に平成30年からの制度報酬改定のまとめが出される方向です。
平成30年1月に改定案が諮問され、実施が4月からになる予定です。

2.要支援の認定が危ない、要介護認定に歯止めの兆し?

要支援者は来年4月以降、予防サービスの内容変更が3年間かけて行われていますが、要介護認定のシステムが変わります。要支援の認定更新、新規認定は4月から地域包括支援センターによる対面での25項目チェックリストによる判定が前提となります。

予防訪問介護と通所介護を受けている人は「要介護認定を受けなくてもチェックリストで予防対応が必要」となりますので、「市町村の介護予防生活支援事業」のサービスが受けられるというものです。
しかし、要介護認定を受けなければ、要支援になるか、要介護になるかはわからないのが現状の仕組みです。また要支援に認定されなければ、「予防給付」を受けることができないため福祉用具貸与、住宅改修、訪問看護サービスの利用ができません。
現場では、通所、訪問サービスのみ利用されている対象者には、要介護認定を受けなくても「同じサービスが受けられる」と説得が行われるだろうと推測できます。要支援の認定を受けなければ、「要支援者は大幅に減少した」となりますが、果たしてそうでしょうか?
数字上で浮き彫りになる介護認定者数と事業対象者数「総合事業対象者」の統計評価の結果によっては、要支援の認定制度を廃止する根拠となり得ます。

初めての人は制度の仕組みを理解できず、「そうですか、同じなら認定を受けない」となるかもしれないが、要介護認定を受けなければ「薬の管理や体調管理、口腔ケアの居宅療養管理指導」は受けられません。「必要な杖や車いすやベッド」も利用できません。住宅改修で和式トイレを洋式に改修、玄関の手すりをつけることも介護保険認定者でないとできないのです。
そのことを誰が要支援者に伝えるのかが問題視されることでしょう。このような現状を推測すると、市町村が認定を受ける権利を抑えることに繋がるのではないかと危惧します。
現在、要支援の該当者に制度の変革について情報提供するだけでは、間違いなく、要支援認定者は減少し続けます。しかし、2006年までは要介護1の認定者が要支援2へ自動的に移行になった経緯があります。この現実を忘れてはいけないのです。

3.要支援のサービスとケアマネジメントが改革。利用者支援を具体化する方向

15年4月から要支援者150万人(予防サービス利用者100万人)が介護保険から市町村総合支援事業に移行します。
今回は予防訪問介護と通所介護であり、国基準の1割負担から、予防訪問介護は今までより、以下に示します。

  1. 緩和された条件の訪問介護
  2. ボランティアなどによる支援
  3. 短期間の予防支援としての保健師や作業療法士などによる訪問改善支援
  4. 移動サービスなどに分かれます。

この総合支援も含めて、介護保険1割や総合支援で使えるサービスの限度額になります。
要支援1の5,003単位、要支援2の10,473単位の区分支給限度額は変わりません。

4.予防ケアマネジメントは3段階、ケアマネジャーに予防プランの受託を進める方針

予防ケアマネジメントは地域包括支援センターが原則窓口として行いますが、居宅介護支援事業所への委託も可能です。
今回は改正では、3通りにケアマネジメントが分かれる予定になります。

  1. 初回だけアセスメントする予防ケアマネジメント
  2. サービス担当者会議やモニタリングをしない簡易版
  3. 従来通りの予防マネジメント

要支援は2006年から地域包括支援センターが行うよう変更になった際に、通所介護、訪問介護が月の定額報酬に変更になりました。その現状に即して、毎月のモニタリングは3カ月毎になっております。

今回の予防ケアマネジメントの3類型化は今後の包括単価(定期巡回・随時対応型サービスや複合型サービス等)の進展と共に、ケアマネジメントにも影響を与えると推測できます。

ケアマネジャーは新たな予防プラン作成に関わることにより、予防ケアマネジメントの経験を活かすことを勧めることが思惑にあると推測します。

要介護者に対するケアプランよりも請求額が予防給付のケアプランの場合、3分の1の減額請求額のためケアマネはすすんで委託を受けない現状があるからです。

予防給付の計画作成担当者を地域資源と位置づけし地域包括支援センター職員以外のケアマネ委託者の掘り起こしは、地域包括ケアシステム構築に向けた課題であると推測します。

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