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柔道整復師と介護福祉【第35回:介護保険制度の歴史シリーズ⑨】

柔道整復師と介護福祉 特集

介護付き有料老人ホームについて

有料老人ホーム、なかでも「介護付有料老人ホーム」への需要は、高齢化を背景として衰える兆しがありません。

背景には、介護が必要であるにもかかわらず、施設に入ることのできない、数十万人に達すると予測されている「介護難民」の増加が原因に挙げられます。

10年後の2025年、団塊の世代がそのまま後期高齢者(75歳以上)となり、全人口のほぼ4人に1人を占める割合で超高齢化社会の到来を指す「2025年問題」をにらんで、国は現在、医療保険や介護保険を含めた社会保障制度の立て直し策に苦慮している現状です。

医療・介護財政のひっ迫、そして目の前に迫った「大量の介護難民発生」の受け皿として、国は民間の有料老人ホーム市場拡大を歓迎する方向にあります。

有料老人ホームへの参入要件が緩和されたため、市場の拡大を見越した民間営利企業も、活発に参入している現状です。

有料老人ホーム市場の成長が熱く期待される一方で、悪質な業者の参入・徘徊も跡を絶たず深刻な被害が数多く寄せられている課題もあります。

厚生労働省の調査では、都道府県、市区町村に老人福祉法にもとづく届出を行っていない有料老人ホーム(無届け施設)は、全国で1,650施設(2016年1月末時点)に達する結果が告知されています。

選ぶ側、入居を予定する当事者側は、乱立する施設の中から、大切な家族に喜んで生涯をすごしてもらえるよう、介護付きの有料老人ホーム選びには慎重に選定する必要があります。

入居者側は、業者サイドのPRだけをうのみにせず、自らの智恵と知識で武装し、最適な選択をするための勉強と情報収集が不可欠です。

有料老人ホームは、住宅条件は「食事や介護などの各種サービスが利用できる、高齢者向け住居」の総称です。

2006年の改正老人福祉法により、食事・入浴排泄・洗濯掃除・健康管理のいずれかをサービスとして提供している施設は、すべて有料老人ホームとして届け出ることになりました。

サービス提供機能さえあれば、届け出るだけで「有料老人ホーム」の営業をすることができるという解釈になります。

特別養護老人ホーム、いわゆる「特養」は、社会福祉法人の運営による公的施設であり、国の公的資金が投入されているため、入居費用も総じて安く済みます。
その代わり入居希望も殺到しており、入居まで待機が問題となっています。
入居対象は中、重度の要介護者のみです。また2015年4月からは法改正により、新規入所が原則「要介護3以上」に特例以外は限定されました。

これに対して、民間企業が運営する「有料老人ホーム」は、あくまで「施設の経営者と、入居者との自由意志にもとづく契約による入居」とされています。

「有料老人ホーム」では、施設入居・設備運営に係わる費用、そして清掃や買い物代行などの様々なサービス費用は、入所者の全額負担が基本となります。
ただし、定められた介護サービスにかかる費用については介護保険でまかなえるのが、「介護付」有料老人ホームとなります。

人員配置や設備面で一定の基準を満たし、介護保険の指定を受けた「有料老人ホーム」や「ケアハウス」などの施設は、「特定施設」と呼ばれております。

施設が介護サービスを提供、定められた介護サービスにかかる費用については介護保険が使えるというのが、「特定施設」の指定を受けた「介護付」有料老人ホームです。

施設内でスタッフから日常生活のケアを中心とする介護サービスを受けるためには、その施設は(介護保険のサービスとなる)「特定施設入居者生活介護」の事業者指定を、都道府県から受けている必要があります。

この指定を受けていない有料老人ホームで過ごすなら、施設の外の「居宅サービス」を、利用者自身が個別に契約し利用することになります。

「特定施設入所者生活介護」の指定を受けていない有料老人ホームは、広告やパンフレットなど「介護付」「ケア付」と表示することができません。
「有料老人ホーム」の広告を見るときに、介護付有料老人ホームを選定する場合は、「介護付有料老人ホーム」「特定施設入所者生活介護(施設)」の記載があるか、必ずチェックするようにしましょう。

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