柔道整復師と介護福祉【第28回:介護保険制度の歴史シリーズ②】
介護保険制度は、主に高齢者を対象とした社会福祉(高齢者保健福祉)の一つとして2000年4月から実施された政策です。
急速に進む高齢化と、それに伴う医療費の増加に対する対策として制定されました。
介護保険制度制定後の改善点内容
- 利用者自らサービスの種類や事業者などを選択することが出来ること
- 医療と福祉のサービスを総合的に利用できるため、別々に申請しなくても良いこと
- 多様な事業者が参入出来るため競争原理が働き、サービスの質の向上が期待できること
- 所得に関係なく1割負担なため、中高所得者にとっては負担が軽くなること
- 医療機関の長期入院も減少し医療費の増加を抑制すること
上記の改善点が、介護保険制度を導入することで解消された改善点になります。市区町村は、介護保険事業計画を3年ごとに作成することになっています。
介護保険法成立からの経緯
2005年度までは5年を1期として事業計画を作成しておりました。事業運営期間は2000年度から3年を1期としています。介護保険料は2000年度から現在まで、3年ごとに設定されています。
- 1997年(平成9年)12月 介護保険法成立
- 2000年(平成12年)4月 介護保険法が実施される。
- 2003年(平成15年)4月 第1号保険料の見直し、介護報酬改定
- 同年5月 介護保険部会設置(施行5年後の見直し検討開始)
- 2005年(平成17年)6月 一部を改正する法律成立
- 同年10月 上記の改正法一部実施(施設給付の見直し)
- 2006年(平成18年)4月 上記の改正法全面実施(予防給付、地域密着型サービス開始)
第1号保険料見直し、介護報酬改定 - 2008年(平成20年)5月 介護保険法、老人福祉法の一部を改正する法律成立
- 2009年(平成21年)4月 第1号保険料見直し、介護報酬改定
- 同年5月 改正法の全面実施
- 2011年(平成23年)6月 介護サービス充実のため一部を改正する法律成立、一部実施
- 2012年(平成24年)4月 改正法の全面実施。
※介護職員などによる痰の吸引などの実施 など - 2013年(平成25年) 第6期に向けての見直し検討開始
- 2014年(平成26年) 総合事業の策定
- 2015年(平成27年) 総合事業暫時開始
介護保険事業運営期間
第1期
2000(平成12)年度
2001(平成13)年度
2002(平成14)年度
第2期
2003(平成15)年度
2004(平成16)年度
2005(平成17)年度
第3期
2006(平成18)年度
2007(平成19)年度
2008(平成20)年度
第4期
2009(平成21)年度
2010(平成22)年度
2011(平成23)年度
第5期
2012(平成24)年度
2013(平成25)年度
2014(平成26)年度
第6期
2015(平成27)年度
2016(平成28)年度
2017(平成29)年度
第7期
2018(平成30)年度 医療介護ダブル改正
2019(平成31)年度
2020(平成32)年度
介護保険制度の見直し
介護保険法は1997年に成立し、2000年4月から実施。初めての見直しが5年後(2005年)に実施され、その後は3年ごとに見直されています。国が基本方針を定め、市区町村が基本方針に沿って事業計画を策定する制度です。そして、都道府県が事業支援計画を定めます。
2006年4月から実施の主な改定内容(2005年6月に成立)
第3期
介護保険制度の施行後5年間で、介護認定を受けた方は約2倍に増加中でも要支援と要介護1の軽度の認定を受けた方は、2.4倍に増加。軽度者に対するサービスを充実させる為に、介護予防重視型システムへ転換期。
- 新予防給付と介護予防事業を開始。在宅サービスと施設サービスの公平化を図る介護保険三施設の利用者は食事代、水道光熱費、部屋代などを自己負担することになりました。(半年の前倒しで2005年10月から実施)
- 在宅サービスが自己負担、施設サービスは介護保険から要支援が1と2に分類され、要介護度が6段階から7段階に変更要支援は要支援1、要介護1が、要支援2と要介護1に分類。
- 新予防給付の創設
要支援認定者(要支援1と2の方)は介護予防を中心とした介護予防サービスを受けることになり、新予防給付を受給することになりました。 - 地域密着型サービスの創設
小規模多機能居宅介護の導入
一人暮らしや認知症の高齢者の方の増加により、訪問介護が一ヶ所で出来る施設 - 地域包括支援センターの創設
- サービス提供者の情報公開の義務付け(職員体制や施設設備など)と指定の更新制を導入
- ケアマネジャーの更新制と更新時の研修の義務付け
2009年5月から実施の主な改定内容(2008年5月に成立)
第4期
事業者規制が見直され、事業者本部への立入検査や事業者に対して是正勧告や命令権などが創設されました。
2012年4月からの実施の主な改定内容(2011年6月に成立)
第5期
- 介護職員などによる痰の吸引などの実施
- 医療と介護の連携の強化
- 保険料の上昇を緩和する
介護保険制度の財源
市区町村、都道府県、国からの公費で賄われております。
- 国民から徴収した保険料
- サービス利用者の自己負担
- 介護サービスを利用した場合の負担の割合
- 9割が税金と保険料から
- 1割が自己負担
- 自己負担を除いた割合は、
市区町村と都道府県と国の公費が50%
被保険者が支払う保険料からが50% - 公費の内訳は、
市区町村が12.5%
都道府県が12.5%
国が25%
但し、施設などでは国が20% 都道府県が17.5%
市区町村(保険者)がまとめて、サービス事業者や公的施設などに支払います。
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