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柔道整復師と介護福祉【第17回:地域医療ビジョン概要】

柔道整復師と介護福祉 特集

地域ごとの医療需要に的確に応えるため、まず実施されるのが、病院や有床診療所に対して病床機能の現状(高度急性期、急性期、回復期、慢性期の4区分)を都道府県に報告することを義務付ける制度(病床機能報告制度)です。

医療に限らず、財やサービスの提供においては「必要なモノを必要なトコロに」ということが言えます。医療においても、地域において医療の需給ギャップを正確に把握し、各医療機関の役割分担を明確にすることで、医療の均てん化が求められています。しかし、病床機能ごとに需要と供給がどの程度あるのか、という情報を正確に把握出来ておらず、地域において十分な役割分担がなされていないのが現状です。

この現状を解消するため、地域ごとの医療需給・今後の方向性を把握する病床機能報告制度化が開始されました。また、都道府県は、医療機関からの報告を基に、その地域にふさわしい機能別の必要病床数や将来の展望をまとめた「地域医療ビジョン」を策定することになります。

1. 病床報告制度と地域医療ビジョン

病床機能報告制度とその報告内容を基にした地域医療構想(ビジョン)を策定することにより、将来の社会構造に対する適切な医療提供体制を地域ごとに構築することに主眼が置かれています。

現状業務に対し、なるべく負荷をかけないことにはなっていますが、この制度の下、各医療機関(病床機能等報告側)と都道府県(地域医療構想策定側)には一定以上の業務負荷がかかることが想定されます。

病床報告制度と地域医療ビジョン
病床報告制度と地域医療ビジョン

2. 病院経営の影響

在宅医療の体制について医療機関、訪問看護ステーション、薬局、介護事業者との連携体制が盛り込まれており、地域包括ケアシステム構築の足掛かりを計画算定時に介入が見込まれる。医療安全の確保においては、医療提供施設と医療安全支援センターの確保と数値目標が盛り込まれており、地域の現状に合わせた医療提供体制の構築が喫緊課題とされている。

必ずしも病院経営にとって有利に働くものではありません。

  1. 医療機関が都道府県の要請や勧告に従わない場合、各種補助金の交付対象や福祉医療機構の融資対象からの除外
  2. 地域医療支援病院・特定機能病院の不承認・承認の取消しなどが課せられます。
2025年モデルを目指した病床再々編

3. 地域医療ビジョン策定スケジュール

厚労省は「病床機能情報の報告・提供の具体的なあり方に関する検討会」の会合で、医政局の吉岡総務課長は、社会保障制度改革国民会議で医療・介護に関する一定の意見整理が行なわれたとし、その概要を報告しております。

同課長は、機能分化に関する議で、医療機関による病床機能の報告を踏まえて都道府県が策定する地域医療ビジョンについて「平成28年度と言わずに前倒しで作成してはどうか」という意見のもと、平成26年末をめどに報告制度の運用を始めるスケジュールを示し、「平成27年度中頃から各都道府県は地域医療ビジョンを策定することができる」と明言。また、国民会議で消費税増収分の使い道や基準病床数や保険医療機関の指定取り消しといった規制的手法導入をめぐる意見が出ていることにも言及しております。

4. 国民会議での議論

2007年、内閣総理大臣福田康夫により、社会保障政策を広く討議する有識者会議の設置が提唱され内閣の指示を受け、2008年1月25日の閣議決定によりこの会議が設置されております。

会議の構成委員

会議は有識者が務める委員により構成され、内閣総理大臣が会議を開催します。

会議では、委員だけではなく、関係者への出席を求めることができるとされ参加者は流動的です。

社会保障会議の本会議には内閣総理大臣をはじめ厚生労働大臣や内閣官房長官ら国務大臣が出席。本会議の下には3つの分科会が置かれ、それぞれが、雇用と年金、医療や介護と福祉、少子化とワーク・ライフ・バランスについてより専門的に議論されております。

安倍首相
社会保障制度改革国民会議報告書を踏まえた改革の方向性

5. 地域の実情に合わせた地域医療ビジョン

2次医療圏ごとの将来人口推計

二次医療圏の将来人口

65歳以上の人口増と75歳以上の人口増の差異では、前者は62.6、後者は147.9の高齢者人口増、逆に人口減少にともなう町の消滅も危惧されております。地域の実情に合わせた計画が大変重要になります。

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病床報告制度と地域医療ビジョン
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