柔道整復師と介護福祉【第13回:保健医療2035】
厚労省では、20年後の2035年を見据えた保健医療政策のビジョンを明らかにし、短期・中長期の政策課題に着手するための有識者による懇談会の「保健医療2035」を設置、議論を開始しております。
趣旨
急激な少子高齢化や医療技術の進歩など医療を取り巻く環境が大きく変化する中で、2035年を見据えた保健医療政策のビジョンとその道筋を示すため、国民の健康増進、保健医療システムの持続可能性の確保、保健医療分野における国際的な貢献、地域づくりなどの分野における戦略的な取組に関する検討を行うことを目的として、「保健医療2035」策定懇談会(以下、「懇談会」という。)を開催。
「保健医療2035」策定懇談会(平成27年6月9日時点)
- 井上真智子Machiko Inoue
浜松医科大学地域家庭医療学講座特任教授 - 江副 聡Satoshi Ezoe
厚生労働省健康局がん対策・健康増進課がん対策推進官 - 大西 健丞Kensuke Onishi
アジアパシフィックアライアンスCEO - 岡本 利久Toshihisa Okamoto
厚生労働省医薬食品局総務課医薬品副作用被害対策室長 - 小黒 一正Kazumasa Oguro
法政大学経済学部教授 - 小野崎耕平Kohei Onozaki
特定非営利活動法人日本医療政策機構理事 - 榊原 毅Takeshi Sakakibara
厚生労働省保険局総務課企画官 - 渋谷 健司Kenji Shibuya
東京大学大学院医学系研究科国際保健政策学教室教授 - 武内 和久Kazuhisa Takeuchi
厚生労働省社会・援護局福祉基盤課福祉人材確保対策室長 - 徳田 安春Yasuharu Tokuda
独立行政法人地域医療機能推進機構本部総合診療顧問 - 堀 真奈美Manami Hori
東海大学教養学部人間環境学科社会環境課程教授 - 宮田 裕章Hiroaki Miyata
慶應義塾大学医学部医療政策·管理学教室教授 - 山崎 繭加Mayuka Yamazaki
ハーバードビジネススクール日本リサーチセンターアシスタントディレクター - 山本 雄士Yuji Yamamoto
ソニーコンピュータサイエンス研究所リサーチャー
「保健医療2035」アドバイザー(平成27年6月9日時点)
- 尾身 茂Shigeru Omi
独立行政法人地域医療機能推進機構理事長 - 河内山 哲朗Tetsuro Kochiyama
社会保険診療報酬支払基金理事長 - 宮島 俊彦Toshihiko Miyajima
内閣官房社会保障改革担当室長 - 横倉 義武Yoshitake Yokokura
公益社団法人日本医師会会長
保健医療2035提言書のビジョンについて
- 「リーン・ヘルスケア~保健医療の価値を高める~」
(例:より良い医療をより安く享受できる。地域主体の保健医療に再編する) - 「ライフ・デザイン~主体的選択を社会で支える~」
(例:自らが受けるサービスを主体的に選択できる。人々が健康になれる社会環境をつくり、健康なライフスタイルを支える) - 「グローバル・ヘルス・リーダー~日本が世界の保健医療を牽引する~」
の3つである。
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000088369.html
保健医療2035 第1回冒頭あいさつ
「効率的かつ効果的な医療につながる方策」
塩崎厚労相は冒頭のあいさつで、「自由な議論を期待するが、例えば保健医療システムがより持続可能なものとなるように、健康づくりや予防について個人、医療機関、保険者、自治体など、
- 全てのプレーヤーへのインセンティブの在り方
- 医療の質の向上が結果として効率的かつ効果的な医療につながる方策
- 世界最高水準の我が国の医療モデルを海外に展開する戦略
などについて、幅広い議論を聞かせてほしい」と語った。
第1回会議は、今後の運営方針を確認後、フリーディスカッションが行われた。1人3つずつ、2035年の保健医療を考える上でのキーワードについて発言してもらったという。
議論は抽象的な内容が多かったというが、挙がったキーワードとして、小野崎氏は、
- 個人の健康づくりを促すためのインセティブの導入、健康寿命を延伸するための取り組み
- 日本の保健医療システムの国際的の貢献
- 少子高齢化を見据えた持続可能性
- 医療の質の向上とバリューを高めるための方策
- 制度のサステナビリティー(持続可能性)
などを紹介した。
保健医療2035提言書の意図するところ
提言書では、少子高齢化の急速な進展、疾病構造の大幅な変化、技術革新を含めた医療ニーズの変化等に対し、「現在の医療制度や提供体制が十分に対応しているとは言い難い」と問題意識を示し、これまでの保健医療制度は、診療報酬改定による価格面からのコントロールに偏っており、制度疲労を起こしていると指摘している。2035年に向け、保健医療のあり方を質の改善、患者の価値中心、当事者による規律、ケア中心へと根本的にパラダイムを転換すべきと提言した。その上で、20年後の保健医療が達成すべきビジョンとして、保健医療サービスから得られる価値の最大化を図ることを打ち出している。具体的には、先進的・高額な医療を評価することでなく、検査や薬剤処方も量を投入すればするほど良いとするのではなく、国民の保険料や税金1円当たりの効果、価値を高め、2035年までに「より良い医療をより安く」という価値観へ転換するとした。また、地域主体の保健医療に再編する方向性を示している。その中で、診療報酬のあり方に言及し、地域ごとの目標量を設定、不足している場合の加算、過剰な場合の減算を行うなど、点数を変動させる仕組みの導入を検討するとした。
将来的には、加算の算定要件の強化など、診療報酬の一部を都道府県が主体的に決定することも提言している。
主体的選択もビジョンに打ち出し、個人の選択に応じた負担のあり方を検討し、例えば後発品でなく先発品を使用した場合の追加負担が考えられるとした。また、自ら健康管理するための行動を支援することも提示している。制度的な位置づけを含め、OTC薬を活用したセルフメディケーションの支援を行うほか、従来の門前薬局から抜本的に機能を見直し(門前薬局の撤廃)、薬局再編の姿を示す患者のための薬局ビジョン(かかりつけ薬局)の具体化を推進するとした。
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