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柔道整復師と介護福祉【第12回:2025年問題と柔道整復師の事業課題】

柔道整復師と介護福祉 特集

平成29年4月から一斉に地域支援事業に移行する通所介護、訪問介護事業は事業所数ともに介護保険費用を増幅させている根源です。市町村事業に移行することで、運営に支障が生じて事業所数も減り必要最低限数に淘汰されていくことでしょう。

厚生労働省は、2025年問題を迎える現実を想定して「施設ケアから在宅ケアへ」の政策誘導を介護保険改正時に推進しています。

時代背景と、制度方針を俯瞰してビジネスモデルを創出することが、柔道整復師が福祉事業に参入する上において重要課題であることは言うまでもありません。次期診療報酬改定の議論を踏まえて今後の医療介護事業に参入するか否かを検討することが望ましいと思われます。

現状の把握

現在日本は、施設ケアから在宅ケアに移行するためのインフラ整備を急速に進めています。

  1. 住まいの整備
    有料老人ホーム
    サービス付き高齢者賃貸住宅
    上記を合わせて60万と整備
    「国交省、厚生労働省連携事業」
  2. 住まいの再編
    特別養護老人ホーム
    「ユニットケアと重度対応限定化」
    老人保健施設
    「認知症リハビリ対策と在宅復帰強化」
  3. 街づくりの整備
    生活支援サービスの充実
    「NPO、ボランティアの発掘、育成」
    介護予防の充実
    「総合事業での市町村対応化」
  4. 介護サービスの活用方法
    重度化に対する支援を充実
    在宅に対する支援を充実

次期診療報酬改定の基本方針

平成28年度改定は、「診療報酬改定の基本方針」の策定が開始された平成18年度から10年目の節目にあたる。これまでの基本方針では、基本認識などについての「基本的考え方」に続いて、「重点課題」や「改定の視点」などを定めた上で、「検討の方向」を示されています。

改定に当たっての基本認識について

  1. 超高齢化社会における医療政策の基本方向
  2. 国民一人ひとりの状態に応じた質が高く効率的な医療の実現
  3. 国民皆保険の堅持と制度の持続可能性の確保
  4. 「治す医療」から「治し支え合う医療」へのパラダイムチェンジ
  5. 「保健医療2035」の提言
  1. 費用対効果の考慮

地域包括ケアシステムと効率的な質の高い医療提供体制の構築

  1. 「医療介護総合確保推進法」ならびに「医療と介護を総合的に確保するための基本方針」を踏まえた対応
  2. 切れ目のない医療介護提供体制の構築を目指した診療報酬と介護報酬の連携

経済と財政との調和

  1. 「経済財政運営と改革の基本方針2015」、「日本再興戦略2015」、「規制改革実施計画」などの指摘事項に対する対応
  1. 医療分野におけるイノベーションの評価などを通じて経済成長に貢献
  2. 医療資源の効率的な分配と適切な医療経営の確保

改革の基本的視点と具体的な方向性について

医療機能の分化・強化、連携と地域包括ケアシステムを推進する視点

  1. 病床機能分化、強化、連携に合わせた入院医療の評価について
  1. 地域包括ケアシステム推進のための多職種連携による取り組みの強化
  1. 質の高い、在宅医療と訪問看護の確保
  2. 医療保険制度改革法を踏まえた外来医療の機能分化
  3. チーム医療の推進、勤務環境の改善、業務効率化の取り組みなどを通じた医療従事者の負担軽減

患者にとって安心、安全で納得できる効率的で質の高い医療を実現する視点

  1. かかりつけ医の評価、かかりつけ薬剤師の評価、薬局の評価
  1. ICTを活用した医療連携や医療に関するデーター収集の推進
  2. 質の高いリハビリテーションの評価など、疾病からの早期回復の視点

重点的な対応が求められている医療分野を充実する視点

  1. 緩和ケアを含む質の高いがん医療の評価
  2. 新オレンジプラン(認知症施策推進総合戦略)を踏まえた認知症患者への適切な医療の評価
  1. 地域移行、地域生活支援の充実を踏まえた質の高い先進医療の評価
  2. 難病法の施行を踏まえた難病患者への適切な評価
  3. 救急医療、小児医療、周産期医療の充実
  4. 口腔疾患の重症化予防、口腔機能低下への対応、生活の質に配慮した歯科医療の推進
  1. 薬学管理や在宅医療などへの貢献度による評価、適正化
  2. 医薬品、医療機器、検査などによるイノベーションの適切な評価

効率化、適正化を通じた制度の持続可能性を高める視点

  1. 後発医薬品の使用促進、価格の適正化、長期収載品の評価の仕組み
  1. 退院支援の取組みによる早期退院の推進
  2. 残薬、多剤、重複投与を減らすための取組みへの推進、医薬品の適正使用を推進するための方策
  3. 門前薬局の評価見直し
  4. 重症化予防の取り組みの推進
  5. 医薬品、医療機器、検査などについて、市場実勢価格を踏まえた評価

このような、診療報酬改定における議論展開が進められている。私たち柔道整復師も既存施策のレビューと接骨院、整骨院の機能分化が求められていると共に、適正かつ持続可能性が高い柔道整復療養費制度になるよう評価していくことが求められています。

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