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柔道整復師と介護福祉【第11回:災害医療と柔道整復師】

柔道整復師と介護福祉 特集

災害医療と柔道整復師の役割

災害医療とは、大規模災害(地震、火災、津波など)等により、対応する側の医療能力を上回るほど多数の医療対象者が発生した時に行われる医療です。医療体制及び避難場所の準備、食料支援の確保、PTSDのケア、ボランティアの組織、災害派遣医療チームの連携など、すべてを包括した医療提供者を指します。

3・11東日本大震災

被災県、宮城、岩手、福島において、柔道整復師の団体は災害救護ボランティアとして、生活不活発病の改善、予防を目的に医療提供者として活躍しております。また、他県の社団団体も救護派遣をされている実績があります。

生活不活発病(廃用性症候群)

ヒトは持っている機能を使わないと、その機能が低下してしまう生物です。これは若い人であっても同じです。例えば、病気等で3日間程度、安静状態で生活した後、会社や学校に行こうとすると、初めのうちは、身体がだるくて辛いという経験をした人もいるのではないでしょうか。生活不活発病(廃用症候群)とは、このような状態がさらに進んだ状態ということができます。

高齢者で寝たきり場合、加齢による衰弱や、脳血管疾患の後遺症などが原因と勘違いしがちですが、実は寝たきりの高齢者の多くは廃用症候群が原因にあります。

この廃用症候群による寝たきり症状は、適切な生活習慣の改善と、軽運動ならびに社会活動、交流を通して多くの場合改善することが可能なのです。

地域包括支援センターの業務
地域包括支援センターの業務

被災地による生活不活発病の好事例―石巻市

仮設住宅
仮設住宅風景
運動教室風景

柔道整復師の災害時医療取り組み事例

外傷に対するアプローチ(骨折、脱臼、捻挫、挫傷、打撲)

仮設住宅、体育館、コミニティーセンターなどの被災場所において多く発生しておりました。触診と視診で鑑別し、整復、固定の応急処置と施術により歩行ならびに日常生活の支障に対して大いに貢献しております。

廃用性症候群(生活不活発病)に対するアプローチ

閉じこもり、急激な環境の変化による下肢筋力の低下、体幹筋の低下に伴う歩行障害が被災地において高齢者の罹患率が大多数を占めておりました。簡単な軽体操から、身体機能の向上に伴う姿勢維持筋群への運動指導ならびに実施を継続的に行うことにより、生活不活発病への効果的なアプローチをしておりました。

東日本大震災の被災者支援の実態(あれから4年目)

震災死者の現状と課題

警察庁の報告では、震災の死者が1万5891人、行方不明者は2584人と発表。復興庁によると、震災後の体調悪化や自殺による震災関連死は3194人とされています。

仮設住宅の状況と課題

岩手、宮城、福島3県の仮設住宅の入居戸数は約7万7千戸で、前年より約1万3千戸減った。災害公営住宅は昨年12月現在、2万9517戸の計画に対し、完成は4543戸にとどまる。課題として、資材や人件費の高騰で建設が遅れています。

道路、公共機関の普及率

道路(直轄国道)の復旧率は99%などインフラ整備は進んでいます。農地は7割が復旧し、主要漁港の市場の合計水揚げ高は震災前の7割ですが、経済産業省が昨秋発表した企業調査(青森県を含む)では、主産業の水産・食品加工業で売り上げが震災前より減少したままの企業が8割とされています。

人口減の問題

被災42市町村では、仙台市などを除く39市町村で震災前より人口が約9万2千人減った。人口減が続いています。

東日本大震災時の公益社団法人宮城県柔道整復師会の活動報告(好事例)

医療救護ボランティアとして47都道府県の災害救護ボランティアチームと連携して被災地を救護した実績報告があります。 今後ますます警戒される大規模災害に事前の予備知識と教訓として学んでいただきたいです。各専門職が各々に活動している現状がありますが、柔道整復師のフットワークは他の専門職とは違い、医療面から介入しにくい軽度な外傷や身体状況の変化に的確に介入している実績がうかがえます。個の力を組織として抱えるネットワークは今後ますます必要と思われます。

活動の軌跡はこちら↓
http://www.taiseip.com/anotoki_miyagijudo/

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