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調査票の実態【第22回:約3か月前の記憶を鮮明に覚えていますか?】

特集 調査票の実態

「『整骨院・接骨院での受療内容の確認』のご協力のお願い」と記載された文書では、わかる範囲でかまいませんので、ご記入・ご署名のうえ、同封しております返信用封筒により、指定した期限までにご返送くださいますようお願い申し上げます。とありますが、この書面が被保険者へ届けられたのは回答提出期日のおよそ5日前だと、資料提供いただいた方からお聞きしました。
1月に治療を受けた内容について、5月6日に書面での確認が求められております。

柔道整復療養費支給申請書が作成され、保険者のもとへ届くまでに相応に時間を要することから仕方がないとは言え、約3か月前の記憶を鮮明に覚えておられる方がおられるのでしょうか?
我が国の優秀な官僚と呼ばれる皆様でも、記憶は非常に曖昧であることが国会答弁等で明らかになっています。
また、「接骨院・整骨院は、健康保険が使える場合と使えない場合…」は柔道整復に係る受診者調査での常套句になっているようですが病院や診療所では、健康保険が使える場合と使えない場合などあり得ないことなのでしょうか。
なぜこのような職業差別的記載が柔道整復の現場では許され続けるのか、不思議でなりません。

多くの患者は、身体に損傷を生じたり痛みを覚えて来院される訳ですから、「接骨院・整骨院では、損傷や痛みの原因が明確な場合や出血を伴わない外傷(いわゆるケガ)或いは医師または柔道整復師により、健康保険による治療が可能であると判断された場合に、健康保険による治療が受けられます。」などと患者目線で記載されることが表記上の適正ではないでしょうか。
また、「かかりつけの医師や主治医から指示や紹介が行われた場合にも接骨院・整骨院での治療を受けることが出来ます。」などと加えることも適正表記であると言えます。

柔道整復施術療養費支給申請書への署名については、内容を確認した後に署名するように記載されています。療養費特例受領委任方式に係る規程では、申請書を月単位でとりまとめて提出することになっています。通常、月末に申請書の作成が行われますが、このタイミングにすべての患者が来院され申請書の内容を確認し署名することは不可能に近いことです。
その月の初回来院日に、柔道整復における療養費特例受領委任の方式についての患者説明を行い、理解を得て申請書への署名をいただくことは民法上「推定的同意」であり決して白紙委任などと、あたかも違法行為のごとく揶揄嘲弄されるものではございません。
一部の保険者は、一般療養費の趣旨に立ち返り申請書の内容を確認した後に署名を求めておられます。しかし、この考えは柔道整復療養費特例受領委任方式の原点から大きく乖離しています。
受領委任方式が不正請求の温床ではありません。不正とは、正しくないことであり法や道義に反する行いですが、柔道整復の現場でなくとも見られる場合があります。

「おそれいりますが、おわかりになる範囲でご回答いただきますよう、ご協力をお願いします。」とありますが、この回答と申請書の内容に整合しない点があればオートマチックに申請書の返戻が行われることになります。
適正に治療を施行し算定を行い申請書の提出がなされても、いわゆる返戻屋によるチェック(保険者との事前の契約による)に引っかかると申請書は返戻され、多くの柔道整復師の先生方は返戻理由に抗議することなく再提出に二の足を踏まれるそうです。

おわかりになる範囲で…とあれば、おおよそ記憶に沿って記載がなされます。
当然、申請書の内容と異なる場合を生じやすく、整合しない例が現れることになり、返戻屋がほくそ笑むことになります。ひとつの施術所で数件の受診者調査を行えば、おおよそ当該柔道整復師の先生の姿勢が見えるはずですが、ほとんどの返戻屋手法では事前に設定されたチェックレベルに従って繰り返し調査が行われます。

4課長通知の発令から6年を経て柔道整復療養費の総額に、ボディーブローのごとくダメージが現れているように思えます。適正を旨とされる柔道整復師の先生方は、理不尽な通知や保険者対応には一致団結され、凛と対応されることが大切です。

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