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調査票の実態【第18回:質問・回答書による調査手法は適正か?】

特集 調査票の実態

柔道整復師の先生方に認められている特例受領委任方式は、一般の医療機関に受診する場合と同様の形で、施術をうけることができます。
この根拠は、柔道整復師への信頼を基本として、整形外科未発達時代の貢献や、医師の代替的機能を有すること(柔道整復師法第17条)、急性又は亜急性の外傷性損傷を扱うことなどが挙げられます。

柔道整復の法的業務とは、
医師である場合を除き、柔道整復師でなければ、業として柔道整復を行ってはならない(柔整師法15条)。
柔道整復師は、外科手術を行い、又は薬品を投与し、若しくはその指示をする等の行為をしてはならない(柔整師法16条)。
柔道整復師は、医師の同意を得た場合のほか、脱臼又は骨折の患部に施術をしてはならない。ただし、応急手当をする場合は、この限りでない(柔整師法第17条)。

とあります。

加えて、柔道整復師の施術に係る算定基準の実施上の留意事項には、

1療養費の対象となる柔道整復師の施術は、柔道整復師法(昭和45年4月14日法律第19号)に違反するものであってはならないこと。

5療養費の支給対象となる負傷は、急性又は亜急性の外傷性の骨折、脱臼、打撲及び捻挫であり、内科的原因よる疾患は含まれないこと。なお、急性又は亜急性の介達外力による筋、腱の断裂(いわゆる肉離れをいい、挫傷を伴う場合もある)については(略)算定して差し支えない。

とあります。

資料①

上記資料では、適正化を図るための受診内容の調査の必要性と調査を代行する民間業者に関する記述、そして柔道整復師のかかり方として例の如く説明がなされています。

記載されている内容は、概ね誤りではありません。しかし、柔道整復療養費特例受領委任における施術の根拠となる判断は、柔道整復師の先生方が下すことになる筈です。

正しくは、「柔道整復師の先生から健康保険の対象となる損傷として判断された場合には、一般の医療機関と同様に受診することができます。」と表記されるべきです。

多くの保険者は、柔道整復療養費特例受領委任に係る受診例の表記として、消去法的な記載が殆どであり、否定的な構成です。保険者による被保険者への啓蒙や受診のための教育として被保険者目線と共に、適正な柔道整復師の立場も考慮された表記にすべきです。

質問・回答書の内容についても簡潔な記載ではありますが、回答に迷いを生じる可能性があり、適正とは認めがたい構成となっています。

資料②

さて資料①としてお示ししている決して適正とは言えない質問・回答書ですが、この書面に誤った施術日数が記載された場合、どのような問題を生じることになるでしょうか?

編集部に寄せられた情報では、実際の施術日数より増やされた記載がなされた事案があったようです。例えば施術日数は、1日だったにもかかわらず5日と表記されているとのことでした。

このような場合、受診者はストレートに受診先の柔道整復師の先生方に疑念を持たれることでしょう。これらの調査書面が送付された期間に通院が継続されていれば、確認を取る手段はあります。しかし、既に通院が停止されている場合には信頼は崩壊です。

この保険者の場合、資料②をご覧の通り、受診者宛てに記載誤りについての説明とお詫び文書が送付されたようです。ですが、すべての受診者がこの書面に目を通すとは限りません。

あってはならない調査ミスです。保険者や民間調査会社は、適正な柔道整復師の先生方の存在も十分に考慮した調査手法や啓蒙文書の作成を心がけていただきたいと願います。

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