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調査票の実態【第8回:医師の診断書の提出】

特集 調査票の実態

平成24年3月12日に発令された通知(いわゆる4課長通知)は、保険者向けに発出された通知です。同通知より以前においては、主に柔道整復師サイドを主体とした適正化に向けた通知が発令されており、4課長通知は柔道整復療養費が保険者として適切に取り扱われることを目的としています。

通知の冒頭には、「今般、柔整療養費の適正化への取組の一環として、保険者による取り組みや留意事項を示すこととしたので、保険者におかれては、下記の取組等を適切に実施するとともに~略」とあります。この主体となる目的を適切に把握できていないであろう保険者が散見されることから、翌年(平成25年3月)に再び周知を目的に、ほぼ同様の通知が発令されています。

再通知の冒頭には、「この通知は、患者調査等の実施にあたり、『被保険者及び施術所等の負担の軽減』、『支給決定までの迅速化』及び『手続きの公平さ』といった点を勘案しつつ、保険者が療養費の適正化に取り組むことを主眼としています。」とあります。また、「保険者におかれましては、こうした通知の趣旨をご理解いただき、患者調査等の適切な実施に努めていただくよう、お願い致します。」と続いています。

さてこの文書は、どのような機序によって受診者へ送付されているのでしょうか? 経験豊富な先生方は既にお分かりでございましょう。保険者向け4課長通知や保険者機能により柔道整復を受診する受診者に対して、受診内容の点検や調査として確認が行われます。それら受診者による回答と、柔道整復師の先生方が請求として提出される柔整療養費支給申請書との突合が行われ、整合性を見いだせない場合には再び再調査が行われることになります。

或は、受診者が保険者による点検や調査に係る回答を行わず放置した場合や、実日数が多い請求となった場合、一定期間内において初検と治癒(中止)の転帰をとることが繰り返される場合や長期間の通院例などにおいても再点検や再調査が行われることになります。ですが、その場合においても通知上では「疑義を解消するよう十分な調査」であり、「先入観や仮定の判断を踏まえた誘導的な聞き取りは行わないこと」とも定められています。

掲載しております文書には、骨折や脱臼の同意では無く単に柔道整復治療を行う部位に関して、医師の診断書を提出するようにとあります。治療部位には、『内科的疾患』も考えられることから、『保険医(整形外科等)』による診断書を求めています。内科とは、一般に外科的見地や処置によらず、循環器・消化器・呼吸器・内分泌・泌尿器などを指すものであると編集部では考えてしまうのですが、やや不思議な記述となっています。柔道整復治療の対象となっている症状が、内科的疾患による症状である場合があることから、整形外科医師の診断書を得るようにと解釈しなければならない記述には疑問を感じます。

ごく一部の整形外科医師の皆様が療養費を取扱う柔道整復師の不正問題は、柔道整復療養費特例受領委任の方式が原因であると声高に叫んでおられるのみならず、保険者と共に柔道整復の悪しき点を検証されるが如く盛んに活動をなさっておられます。柔道整復師の先生方の免許とは、我が国、日本の国家が認めたライセンス=国家資格であり、それらの管理は国が行うもので決して他業種の皆様を煩わす必要のないことであると編集部では捉えております。

さて、健康保険組合が柔道整復療養費給付の可否判断を目的に、そして内科的疾患の有無を明らかとする必要から、受診者に要求される整形外科医師による診断書提出の指示。加えて、保険者に従わない場合には当該請求は返戻され、それらにかかる費用は受診者において適切に対応せよとの記載です。これらを受診者目線で捉えると、あたかも柔道整復の受診は遠慮しなければならないような受止めをせざるを得ません。。。

支給決定の可否判断について、医師の診断書が必要であると規定した保険者向け通知が発令されているのでしょうか?

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