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保険請求の手引き【第12回:療養費の支給基準 その11】

保険請求の手引き 特集

身体の運動器などの損傷について固定処置が必要な場合、柔道整復師の先生方はどのように対処されているのでしょうか? 骨折や脱臼の損傷をされた患者が、或いは捻挫や挫傷の患者が、いわゆるシーネや副木と呼ばれる材料で固定された様子を見る機会は少なくなりました。

上肢を敬礼するような形で固定されていたり、スキー場では脚を包帯で包まれ松葉杖歩行されている方が当たり前のように見られものです。いつの間にか骨折などは観血的に手術療法で対処することが現代の主流となっているようですが、一部の整形外科医師の先生方では保存的治療を第一選択として、臨床で実践されていると聞きます。

(6)金属副子等加算

  • 金属副子等加算の対象となるのは,使用した固定部品が金属副子,合成樹脂副子又は副木・厚紙副子(以下「金属副子等」という。)である場合に限ること。
  • 骨折,脱臼の整復及び不全骨折の固定に際し,特に施療上金属副子等による固定を必要としてこれを使用した場合に,整復料又は固定料の加算として算定できること。
  • 金属副子等加算は,固定に使用した金属副子等の数にかかわらず,次の基準により算定できるものであること。
    ① 大型金属副子等加算については,固定部位の範囲が1肢又はこれに準ずる範囲に及ぶ場合
    ② 中型金属副子等加算については,固定部位の範囲が半肢又はこれに準ずる範囲に及ぶ場合
    ③ 小型金属副子等加算については,固定部位の範囲が前記②に及ばない程度の場合
  • 金属副子等加算の所定金額には,金属副子等の費用及び包帯等の費用が含まれているものであること。

現在、金属副子等に関する算定は、上記のように規定されています。平成18年より金属副子の算定概念が一部変更され、いわゆる厚紙副子や合成樹脂材料による副子や副木など金属副子に限らず算定が認められています。10年前の通知が発令されるまでは、「骨折、脱臼の整復及び不全骨折の固定に際して、特に施療上金属副子による固定を必要とし、これを使用した場合に整復料又は固定料の加算として算定できるものであること。なお、金属副子加算の対象となるのは、使用した金属副子が網目状のものである場合に限られるものであること。」と定められていました。柔道整復の現場では、古くから厚紙や木材・和紙などを材料として非常に優れた固定材料が当たり前に使用されてきた経緯があります。

まさに柔道整復師の先生方の大きな得意分野であったと言えますが、昨今はスマートな固定材料やスリング或いは装具等が発達し有効活用されている例が多いようです。

やはり患者の快適性が第一ですが、現在の金属副子等算定概念を正しく理解され、オリジナリティを生かせた柔道整復固定材料を駆使した治療と算定を実践頂きたいと願います。

(7)施術情報提供料

  • 施術情報提供料は,骨折,不全骨折又は脱臼に係る柔道整復師の応急施術を受けた患者について,保険医療機関での診察が必要と認められる場合において,当該患者が,柔道整復師の紹介に基づき,実際に保険医療機関に受診した場合に,紹介状の年月日が初検日と同一日である場合に限り算定できるものであること。
  • 紹介に当たっては,柔道整復師は事前に紹介先の保険医療機関と調整の上,別紙様式2により施術情報提供紹介書を作成し,患者又は紹介先の保険医療機関に交付しなければならないものであること。また,交付した丈書の写しを施術録に添付しておくとともに,請求にあっては,支給申請書に同文書の写しを添付すること。
  • 保険医療機関と電話等で予め連絡の上で紹介し,受診についても確認する等連絡を密にするとともに,紹介する保険医療機関の選定に際しては患者の利便性等も考慮すること。
  • 紹介先の保険医療機関については,骨折等の診療に適切と認められる診療科(例えば整形外科等)を標榜する保険医療機関とすること。
  • レントゲン撮影のために保険医療機関に紹介した場合及びレントゲンの撮影を保険医療機 関に依頼した場合については,算定できないものであること。
  • 柔道整復師が骨折,不全骨折又は脱臼であると判断して応急施術を行い,保険医療機関に紹介した場合であっても,紹介先の保険医療機関において骨折等でないと診断された場合は,やむを得ない場合を除き,原則として算定できないものであること。
  • 保険医療機関に紹介した患者について,一定期間の治療後に医師の指示により再度柔道整復師に後療を依頼された場合については,初検料は算定できないこと。なお,この場合,後療料等を算定できること。

施術情報提供料については、単に柔道整復師の先生方の判断により医師を受診するための紹介料ではありません。算定に係るキーワードを改めてひも解いてみると、「骨折、不全骨折又は脱臼に係る柔道整復師の応急施術を受けた患者について」

  1. 保険医療機関での診察を必要とする場合
  2. 紹介状の年月日が初検日と同一である場合
  3. 紹介する際は事前に紹介先保険医療機関との調整が必要
  4. 保険医療機関と電話等で予め連絡の上で紹介する
  5. 受診についても確認等連絡を密にする
  6. 保険医療機関の選定には患者の利便性を考慮する
  7. 紹介先は骨折等の診療に適切と認められる診療科を標榜する保険医療機関とする
  8. レントゲン撮影を目的とする紹介は認められない
  9. 紹介先保険医療機関で一定期間の治療後に医師の指示により柔道整復師に後療を依頼された場合は初検料の算定は不可

とあることから、施術情報提供料を算定する損傷の場合には単に医師の同意を得ることを目的とせず、いわゆる整形外科医師の専門的加療を必要とする場合に当該医師に応急施術後のすべての処置をお任せするという内容であることが読み取れます。
整形外科医師等の専門性を考慮した適切な柔道整復師判断での患者紹介により、算定が可能である項目であることを誤解のないよう十分に認識をもって対応頂きますようお願い致します。

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