保険請求の手引き【第4回:療養費の支給基準 その3】
柔道整復師の施術に係る算定基準の実施上の留意事項
いわゆる時間外や休日加算に関しては、誤解をされる柔道整復師の先生が比較的多くみられる傾向がありますので、この部分も注意が必要です。
7時間外加算及び深夜加算の取扱いについては,以下によること。
(1)休日加算と時間外加算又は深夜加算との重複算定は認められないこと。
(2)時間外加算又は深夜加算は,初検が時間外又は深夜に開始された場合に認められるものであるが,施術所においてやむを得ない事情以外の都合により時間外又は深夜に施術が開始された場合は算定できないこと。
(3)各都道府県の施術所における施術時間の実態,患者の受療上の便宜等を考慮して一定の時間以外の時間をもって時間外として取り扱うこととし,その標準は,概ね午前8時前と午後6時以降(土曜日の場合は,午前8時前と正午以降)及び休日加算の対象となる休日以外の日を終日休術日とする施術所における当該休術日とすること。
(4)施術時間外でも実態上施術応需の体制をとっているならば,時間外加算は認められないこと。
(5)深夜加算は,深夜時間帯(午後10時から午前6時までの間をいう。ただし,当該施術所の表示する施術時間が深夜時間帯にまで及んでいる場合は,深夜時間帯のうち当該表示する施術時間と重複していない時間をいう。)を施術時間としていない施術所において,緊急やむを得ない理由により受療した患者について算定すること。したがって,常態として又は臨時に当該深夜時間帯を施術時間としている施術所に受療した患者の場合は該当しないこと。
(6)施術所は,施術時聞をわかりやすい場所に表示すること。
時間外加算を算定する場合には、「やむを得ない事情」を有する上で初検を実施した場合に算定が認められています。単に受診者の都合による時間外初検や、施術所の都合による時間外初検となった場合には算定することが出来ません。
保険者によっては、時間外算定について「やむを得ない事情」や「緊急やむを得ない理由」の確認を目的とした申請書の返戻や受診者照会を繰り返す事例も散見されます。時間外算定にあたり摘要欄等に理由を記載する必要は無く、柔道整復師の必要かつ妥当な判断により算定されるべき料金項目である訳ですが、時間外や休日算定に対して疑義を持ち、オートマチックに返戻や患者調査の対象となることは保険者における職権乱用と考えられます。
初検が時間外または深夜に実施された場合にのみ算定が認められ、各施術所の通常業務時間内である場合は算定不可となります。概ね午前8時前と午後6時以降の時間帯において時間外としての算定が認められます。深夜加算の場合の時間帯は午後10時以降から午前6時までと定められています。これらの時間帯において、患者保護の観点から初検を必要とした場合でなければなりません。施術所においては通常業務時間について、受診者へ案内サイン等にてわかりやすく表示する義務が課せられていることも大切な点です。
8休日加算の取扱いについては,以下によること。
(1)休日加算の算定の対象となる休日とは,日曜日及び国民の祝日に関する法律(昭和23年法律178号)第3条に規定する休日をいうものであること。なお,12月29日から1月3日まで(ただし1月1日を除く。)は,年末・年始における地域医療の確保という見地から休日として取扱って差し支えないこと。
(2)休日加算は,当該休日を休術日とする施術所に,又は当該休日を施術日としている施術所の施術時間以外の時間に,緊急やむを得ない理由により受療した患者の場合に算定できるものとすること。したがって,当該休日を常態として又は臨時に施術日としている施術所の施術時間内に受療した患者の場合は該当しないものであること。
(3)施術所の表示する休日に往療した場合は、往療料に対する休日加算は算定できないこと。
休日加算が可能となっている休日とは、日曜日と祝日、そして12月29日から1月3日まで(1月1日(元日)を除く)は、休日となり、これらの日に「緊急やむを得ない理由」により初検を必要とした場合に算定が認められます。これらの休日を通常業務時間としている場合や、臨時に業務日としている場合には休日としての算定は認められません。
柔道整復の治療現場においても、その期間によっては、「地域医療の確保」という見地から休日加算が認められていることを十分認識し、算定を行う必要があります。また、施術所の定めた休日に往療を行なっても算定はできません。休日加算と時間外加算又は深夜加算の重複した算定も認められません。
時間外・深夜加算、休日加算については、患者保護の観点から「やむを得ない事情」・「緊急やむを得ない理由」がある上で初検を実施し、治療処置を行なうことが重要です。 初検として来院された時間が単に時間外である場合や特定の理由もなく休日に初検を行なった場合には、時間外・休日加算を算定すべきではありません。
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