保険請求の手引き【第3回:療養費の支給基準 その2】
柔道整復師の施術に係る算定基準の実施上の留意事項
7柔道整復の治療を完了して単にあんま(指圧及びマッサージを含む。)のみの治療を必要とする患者に対する施術は支給対象としないこと。
前回に続いて再掲となる支給基準ですが、柔道整復は医療ではないことから「施術」と呼ぶ手当が基本であるなどと耳にすることがあります。
この条項では明らかに柔道整復の「治療」と表現され、記載がなされています。
そしてその内容は、柔道整復の治療の必要性が消失した後の単にあんま等の処置は支給の対象とならないとあり、柔道整復が真に必要であるとする柔道整復師判断が大切であることを示した記載であると言えます。
8既に保険医療機関での受診又は他の施術所での施術を受けた患者及び受傷後日数を経過して受療する患者に対する施術については,現に整復,固定又は施療を必要とする場合に限り初検料,整復料,固定料又は施療料を算定できること。なお,整復,固定又は施療の必要がない場合は,初検料,後療料等により算定すること。
9保険医療機関に入院中の患者の後療を医師から依頼された場合の施術は,当該保険医療機関に往療した場合,患者が施術所に出向いてきた場合のいずれであっても,支給対象としないこと。
10骨折,脱臼,打撲及び捻挫に対する施術料は,膏薬,湿布薬等を使用した場合の薬剤料,材料代等を含むものであること。
11患者の希望により後療において新しい包帯を使用した場合は,療養費の支給対象とならないので,患者の負担とするもやむを得ないものであること。なお,その際,患者が当該材料の使用を希望する旨の申出書を患者から徴するとともに,徴収額を施術録に記載しておくこと。
12柔道整復師宅に滞在して手当てを受けた場合に要した食費,寝具費,室代等は支給対象としないこと。
受傷後、他の医療機関に受診、または柔道整復による治療を受けた後に来院された場合には、いわゆる初回処置料(整復・固定・施療)について、必要である場合にのみ算定を行ない、必要の無い場合には後療算定(初検料・後療料)としなければなりません。
保険医療機関において入院中である受診者について医師から後療依頼を受けても、同医療機関への往療はもちろん自院へ来院された場合においても、入院管理下にあるとの概念から支給の対象とはなりません。ただし、外泊中に新たな負傷が発生した場合には患者保護の観点から初回治療のみ算定が可能となります。しかし、外泊中であっても受診者は原則的に入院管理下にあることになりますので注意が必要です。
第2 初検料及び初検時相談支援料
1患者の負傷が治癒した後,同一月内に新たに発生した負傷に対し施術を行った場合の初検料は算定できること。
2現に施術継続中に他の負傷が発生して初検を行った場合は,それらの負傷に係る初検料は合わせて 1回とし,1回目の初検のときに算定するものであること。
3同一の施術所において同一の患者に2以上の負傷により同時に初検を行った場合であっても,初検料は1回とすること。この場合,施術者が複数であっても,初検料は合わせて1回のみとすること。
4患者が任意に施術を中止し,1月以上経過した後,再び同一の施術所において施術を受けた場合には,その施術が同一負傷に対するものであっても,当該施術は初検として取り扱うこと。なお,この場合の1月の期間の計算は暦月によること。すなわち,2月10日~3月9 日,7月1日~7月31日,9月15日~10月14日等であること。
同月内であっても、それまで継続して治療していた部位がすべて「治癒」し、その後に新たな負傷や損傷が発生した場合には初検料の算定は可能となります。ただこの場合、支給基準にある文言では「治癒」と表記されていることから「中止」と転帰された場合には算定不可となる可能性が高くなります。
「中止」という転帰を得る場合には、いわゆる治癒見込み・継続治療の打ちきり・症状固定などの意味を含めることもあり、治癒に値する考え方を含んでいますが保険者に誤解を与えないためにも治癒の場合において、初検料算定を基本とすることが望ましいと判断されます。初検時相談支援料は、同月内1回の算定だと規定されていますので、同月内の複数回初検算定となる場合でも算定することはできません。
受診者が任意に(本人の思いによって)治療を「中止」(何らかの理由で来院停止)し、1月以上経過して再び来院され、以前と同じ負傷や損傷に対する治療(施術)が必要と判断される場合には、初検として取り扱うことが認められています。
例として2月8日から受診者の来院が途絶え、翌月3月7日に再び来院され、柔道整復師によって同一の負傷が治癒していないと判断された場合には、単に継続算定とせず初検として取り扱えることとなります。
この条項4に見られる記載内容は、同一傷病による再来院時における支給基準として、大切且つ重要な記載であると編集部では判断いたしております。前回にもお示しをしました亜急性概念にも関わる解釈が可能であり、歴月上の1月を経た後、再び来院された受診者に1月前からの損傷の継続性が認められると判断されれば、初検として算定が可能であると規定されていることになり、柔道整復に係る施術における亜急性解釈を含めていると考えることができると言えます。
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