保険請求の手引き【第1回:はじめに】
はじめに・・・
我が国の健康保険制度による医療は、現物給付を建前として保険医療機関及び医療機関等において一連の医療サービスの給付で行うこととなっています。柔道整復師が、いわゆる保険治療(保険施術)として取り扱う療養費は、現金給付であり、現物給付で果たすことが困難である場合を補完するものです。 あくまでも現物給付の補完的なものであることから支給要件としての取り決めがなされています。
療養費支給要件として
1)療養の給付、入院時食事療養費・入院時生活療養費の支給または保険外併用療養費の支給をなすことが困難であると認めたとき。
2)保険医療機関及び保険薬局以外の医療機関、薬局およびその他の者について診療や薬剤の支給および手当をうけたことを保険者がやむを得ないと認めた場合の2要件と規定されています。
健康保険法・国民健康保険法によると、いかなる療養費も、その支給は保険者の判断であると規定されています。
柔道整復師の取り扱う保険施術においても、この規定が適用されることになりますが、柔道整復療養費の取扱いにおいては「受領委任」方式が特例として認められており通知上は医療機関とほぼ同様に扱いできることになっています。
社会保険研究所発行の平成26年度版療養費の支給基準によると、「(抜粋)協定を結んでいる保険者に属する被保険者等はその協定の相手方である柔道整復師会に所属する柔道整復師については、一般の保険医療機関に受診する場合と同様の形で、その施術を受けることができる。」とあります。
加えて、保医発第0519001号平成21年5月19日厚生労働省保険局医療課長通知によると、「(前略)柔道整復施術療養費については、かつて整形外科を担う医師が少なかったこと、柔道整復師は脱臼又は骨折に対する応急手当をすることがあり、その場合には柔道整復師法第17条により医師の同意を要しないとされていること等を踏まえ、被保険者が施術に係る費用の負担を心配することなく、傷病に対する手当等を迅速に利用することを可能とする観点から、例外的に受領委任払いの実施が認められている所である。
そのため、「急性又は亜急性の外傷性の骨折、脱臼、打撲及び捻挫に対する施術」については、① 健康保険法第87条第1項により、「保険者が療養の給付等を行うことが困難であると認めるべき」に該当する場合のほか、② ①に該当しない場合であっても、同項の「保険者がやむを得ないものと認めるべき」に該当するものとして療養費が支給されるものであり、また、支払の方法については、受領委任払いの実施により被保険者が窓口で一部負担金を支払うことで、療養の給付と同じように現物給付が行われているところである。」とあります。
これら一部ではありますが、柔道整復師が一般医療機関とほぼ同様に、いわゆる健康保険取扱いに準じた対応を許されている根拠としての要約は、「Ⅰ柔道整復師は医師の代替機能を有する Ⅱ整形外科医不足時代からの貢献 Ⅲ急性・亜急性の原因のある傷病の取扱いを行う」と考えられ、加えて柔道整復師への信頼をもって国民保護の観点から柔道整復療養費特例受領委任請求が約80年の長きに渡って認められています。
柔道整復施術療養費支給申請書を作成するには患者を初検し、的確な判断を行い、その根拠となる施術録を作成の上、受領委任方式を受診者に理解いただき柔道整復師として責任を持って捺印し完成させなければなりません。 万が一、保険者により不備返戻や疑義照会が行われても、臆することなく申請書を再提出できるよう適正に業務遂行いただくことを願います。
柔整ホットニュース読者の皆様には、柔道整復療養費特例受領委任が国民保護を第一として、柔道整復師の信頼を根拠に認められている事を今一度ご認識され、適正に大切に取り扱われることを願って止みません。
今後は随時療養費の支給基準(抜粋)を掲載して参ります。
柔整ホットニュース編集部
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