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これだけは知っておいて【第89回:腹(腑)に落ちる内容に裏付けられた制度設計】

これだけは知っておいて 特集

明治国際医療大学 教授
長尾淳彦

柔道整復術が公認されて102年が経ち、柔道整復師法が単独法となり52年が経った。
どの時代においても柔道整復存亡の危機に先人が行政や政治との関わりの中で必死に考えられて現在に至っている。

明治の西洋医学への完全転換、戦後GHQの関与などにより「柔道整復」は、亜流としての存在となっている。しかし、柔道整復を利用される国民の支持はいまだ高いものがある。ただ、この30年間で接骨院って何をしてくれるところ?という世代の人たちが多くいることも確かである。

柔道整復師、接骨院、整骨院、ほねつぎなどの名称も国民は理解しているか?医療機関と同様な窓口業務であるが療養費の受領委任の取扱いによりそのような取扱いを行える。これは柔道整復師のためでなく患者さんである国民の利便性を考えての取扱いであることを忘れてはならない。

我々、柔道整復師は外部からどのようにみられているかとどのように社会に貢献するかを常に問わなければならない。

柔道整復師法に傷病(負傷)名が全く記載されていないにも関わらず、療養費の支給基準での柔道整復師の業務範囲は「骨折・脱臼・捻挫・打撲・挫傷」の5つの傷病名に限定されてきた。

しかし、時代(生活様式など)の変化とともに起因や病態も変化する。ところが柔道整復師の施術に係る療養費の協定は、昭和11年から86年間、業務制限の部分が昭和45年からいままで大きく変わることも変えることもなく残っています。現在、制度疲労ともいうべき事態に陥っていると考える。

保険請求のために単に傷病(負傷)名を変えるという短絡的なものでなく「柔道整復師法」の業務制限(第4章「業務」第15条・第16条・第17条)と現状に照らし合わせて柔道整復師の「業務範囲」いわゆる柔道整復師が出来ること、出来ないことを明らかにしていくことが必要である。

療養費の請求、審査、支払いの一体化と透明性を確保して、いまこそ厚生労働省、保険者、柔道整復師によって、腹(腑)に落ちる内容に裏付けられた柔道整復療養費の制度設計が行われ、国民に示す時期であると思う。

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