これだけは知っておいて 【第66回:試行錯誤を繰り返せるのは今 ―業界全体で考えること―】
明治国際医療大学 教授 長尾淳彦
これまで、柔道整復施術の特徴は「対面治療」「初検から治癒まで一貫して」「常に患者さんに寄り添いながら」と今回の新型コロナウイルス感染症感染防止対策で行うことは避けるべき項目の「三密」「濃厚接触」での治療体系でした。
施術所の広さも人の動線も極力効率性を重視してコンパクトなレイアウトな設計をされていたと思います。 身体的、物理的距離であるフィジカルデイスタンスが確保出来る広さ、施術所内の換気システムも大事な要素です。 開閉式の窓があればいいのですが、
柔道整復師法施行規則第18条の施術所の構造設備基準では
- 6.6平方メートル以上の専用の施術室を有すること。
- 3.3平方メートル以上の待合室を有すること。
- 施術室は室面積の7分の1以上に相当する部分を外気に開放し得ること。
ただし、これに代わるべき適当な換気装置があるときはこの限りではない。 - 施術に用いる器具、手指等の消毒設備を有すること。
でこの基準であれば施術所は開設出来ます。
6.6平方メートルの専用の施術室、3.3平方メートルの待合室、施術室は室面積の 7分の1以上に相当する部分を外気に開放するは、施術室:畳4畳、待合室:畳2畳、開放面積は1平方メートル程度になります。とんでもなく狭いスペースです。
患者さん1名施術者1名で密な状態となります。
この構造設備基準は最低基準ですので現実にはもっと広い施術所ではありますが、今までの柔道整復師が考えていた既存のビジネスモデルでは、患者さんは来院されないと思います。
今後は、患者さんと施術者が触れ合わないと出来ないこと。患者さんと施術者が触れ合わなくとも出来ることを区別して「良質な柔道整復施術」を提供出来る環境を業界全体で考えて法律上の構造設備基準を改定すべきであると思います。
その中で柔道整復施術でしか出来ないこと、接骨院という施術所でしか出来ないことを今、試行錯誤して考えていかなければ柔道整復師は生き残れないと思います。
この数か月で新型コロナウイルス感染症が終息することは無く、さらなる感染症も出現する様相です。柔道整復師業界は試されています。
社会構造が変化していく今だからこそ柔道整復イノベーションを起こすチャンスです。 業界全体で戦い抜きましょう。
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