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これだけは知っておいて【第43回:柔道整復師の超音波観察装置の取り扱い】

これだけは知っておいて 特集

明治国際医療大学 教授 長尾 淳彦

柔道整復師の施術現場における超音波観察については、平成15年9月9日に厚生労働省医政局医事課長通知が「柔道整復師が施術に関わる判断の参考とする超音波検査については、柔道整復の業務の中で行われることもある」との見解を出しました。

また、平成22年12月15日の厚生労働省医政局医事課事務連絡でも「柔道整復師が施術に関わる判断の参考とする超音波検査は施術所で実施しても関係法令に反するものではない」ことが示されております。

平成27年12月から翌年9月にかけて厚生労働省にて柔道整復師学校養成施設カリキュラム等改善検討会が5回開催されました。本検討会では国民の信頼と期待に応える質の高い柔道整復師を養成するため、カリキュラム等改善などを行いました。

追加カリキュラムの一つに、「柔道整復術適応の臨床的判定(医用画像の理解を含む)」があります。2単位30時間を使い、柔道整復術の適応で得た知識を活用し、臨床所見から判断して施術に適する損傷と適さない損傷を的確に判断できる能力を身に付け、また、安全に柔道整復術を提供するために医用画像を理解するためのカリキュラムを追加しました。

柔道整復師の超音波観察装置(以下、エコー装置)の使用については、すべて「患者安全」「医療安全」の観点からのものであります。

公益社団法人日本柔道整復師会では、『「薬機法」の承認を得ていないエコー装置の販売についての違反と罰金について―「薬機法」:医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律―(別添資料参照)』などを発信しております。(別添)

また、柔道整復師や大学教員ら約1000名の会員で構成されている一般社団法人日本超音波骨軟組織学会でも「患者安全」「医療安全」のためのエコー装置使用活動を行っています。

あくまでも、超音波観察装置の使用は、柔道整復施術の「患者安全」「医療安全」の確保のためです。

再度申し添えますが、柔道整復師の超音波観察装置については、保険点数の加算はありません。

【別添資料】
「薬機法」の承認を得ていないエコー装置の販売についての違反と罰金について
―「薬機法」:医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律―

超音波画像診断装置(以下、エコー装置という。)使用に関する厚生労働省医政局医事課の判断は「検査自体に人体に対する危険性がなく、かつ、柔道整復師が施術に関わる判断の参考とする超音波検査については、柔道整復の業務の中でおこなわれていることもある」としています。

まず、前述、厚生労働省事務連絡では「超音波検査」と明記されています。

検査とは医療行為(医業)の位置づけで、本来は医師でなければできない行為です。医業を肩代わりする為の教育を受けた臨床検査技師、看護師などが医師の指示によって医業を肩代わりできるといった形になっております。

そのようなことから柔道整復師に超音波観察装置の使用が認められたのは「検査自体に人体に対する危険性がなく」という安全性を前提としております。

従って、使用する装置については安全性が担保されている「薬機法」認証の医療機器であることが条件となります。

超音波画像診断装置が医療機器の認証を得るには、人体の安全性の担保と計測精度、品質保証が確保されていることが保証されなければなりません。それゆえに超音波検査を行える装置としての保証がされております。

そのような趣旨から、超音波検査と明記されているのにもかかわらず医療機器でない未承認のものを使用して、しかも計測精度が担保されていないものに「超音波画像計測機器」などと謳っている装置を使用した場合は、厚生労働省医政局からの連絡にも反することになります。

「非医療機器」「超音波画像計測機器」など、中間の販売業者や使用者等が「医療機器」と誤解を招くような言動で販売したり、これら「未承認」機器を柔道整復師が認証されている超音波画像診断装置と同様に施術の判断として使用していることが明らかになった場合は「違法」となります。

違反に該当する法令は以下となります。

承認、認証、許可のない医療機器の販売等(法第55条第2項違反)「最高3年以下の懲役若しくは300万以下の罰金に処し、又はこれを併科」「法人の場合は1億円以下の罰金」

承認前の医療機器の広告(法68条違反)「最高2年以下の懲役若しくは200万以下の罰金に処し、又はこれを併科」

上記の違反は販売業に対してのものですが、違反が明確となった場合には厚生労働大臣及び、都道府県知事から、販売した業者に対して行政処分として廃棄、回収命令が発動される可能性があります。

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