これだけは知っておいて【第38回:「柔道整復師」のあるべき姿に戻る】
明治国際医療大学 教授 長尾 淳彦
前回、教育改革、制度改革と「改革」という言葉を使いましたが、教育においても制度においても柔道整復師の歴史を鑑みれば「改革」と言うよりも、従来の立ち位置に戻ったと考えられます。柔道整復師は「接骨」「ほねつぎ」「柔道整復」として現在まで日本の伝統医療として国民の支持を得て存在しています。
これまで支持していただいた患者さんである国民のために柔道整復師が何を出来るか?何をせねばならないか?を考えた時、「医療安全」「患者安全」を最優先に考えなければなりません。
そのためには、資格を取る上で、学ぶ時間とベストな環境を確保し整えなければなりません。
教育においては、いままでの単位数、時間数、内容では多様化する国民の負託に応えられないとして単位数、時間数を増やし内容も充実されました。
特に医療人としての倫理観や医療経済を基にした保険の取り扱いについても学生の時から知るべきとして必修科目となっております。
臨床実習時間も大幅に増えて養成施設内だけでなく実際の現場実習が主となり「患者と柔道整復師」「地域と接骨院」の関係が学生にとってよりリアルに経験できる内容となりました。
初検から治癒まで一貫して治療できる柔道整復師という職種から見れば当たり前のことです。医療人として「医療安全」の質の向上を図ることは柔道整復師の信頼を高めることに繋がります。
柔道整復師の資格を得て開業することに制約はありません。ただ、受領委任の取り扱いで「施術管理者」となるには一定の「実務経験」と「研修」を受けなければなりません。
これもまた、医療人として「医療安全」の質の向上を図ることは柔道整復師の信頼を高めることに繋がることです。
柔道整復師養成段階時、そして、卒後の研修などに保険に係ることが多く組み込まれているのは柔道整復施術療養費が、税金や保険料という浄財によって支払われる財源で運用されているからです。
そして、この制度は柔道整復師だけのための制度でなく患者さんである国民が良質な柔道整復術を受けられるための制度であることを柔道整復師は理解しなければなりません。
「柔道整復師」の質の担保と向上は柔道整復師自らが行わなければなりません。しかもそれは、長年、「柔道整復」を支えてくださった患者さんである国民目線に合った「医療安全」でなければなりません。
柔道整復師が医療保険を取り扱えるのは「柔道整復師は必ず治す」「柔道整復師は不正をしない」という信頼があるからです。
今一度、あるべき姿を見直しましょう。
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