これだけは知っておいて【第28回:柔道整復師倫理綱領について考える】
明治国際医療大学 教授 長尾 淳彦
柔道整復師倫理綱領は昭和62(1987)年に(社)日本柔道整復師会と(社)全国柔道整復学校協会で制定したものである。
今から30年前に制定された5つの項目に籠められた思いを考えてみよう。
柔道整復師倫理綱領
国民医療の一端として柔道整復術は、国民大衆に広く受け入れられ、民族医学として伝承してきたところであるが、限りない未来へ連綿として更に継承発展すべく、倫理綱領を定めるものとする。
ここに柔道整復師は、その名誉を重んじ、倫理綱領の崇高な理念と、目的達成に全力を傾注することを誓うものである。
1.柔道整復師の職務に誇りと責任をもち、仁慈の心を以て人類への奉仕に生涯を貫く。
仁慈(じんじ)の心:人を慈(いつく)しむ心、思いやる気持ち。
柔道整復師の職務に誇りと責任を持つ。そのためには、柔道整復師の業務が何であるのかを知らなくてはならない。国家資格であることに誇りを持ち、自身の医療知識と医療技術を高め、医療人として行いに責任を持つ。思いやりの気持ちで患者さんに接し、生涯自分を高めることに努める。
2.日本古来の柔道精神を涵養し、国民の規範となるべく人格の陶冶に努める。
涵養(かんよう):水が自然にしみ込むように、無理をしないでゆっくりと養い育てる。
人格の陶冶(とうや):自我の意識を持ち、自分勝手にならず、社会の中で役割を果たしルールを守っていくこと。
柔道整復師の冠である柔道の精神を理解し、国民の模範となるようにルールを守り人格を高める。
3.相互に尊敬と協力に努め、分をわきまえ法を守り、業務を遂行する。
関わる全ての人々と協力し敬(うやま)う。自身の立場をわきまえ法令順守の下、柔道整復を行う。
4.学問を尊重し技術の向上に努めると共に、患者に対して常に真摯な態度と誠意を以て接する。
真摯(しんし):真面目で誠実であること。ひたむきな姿勢。寛容にして私心なき心。
学術の研鑽に努め、患者さんに対し、真面目で誠実な態度で接する。
5.業務上知りえた秘密を厳守すると共に、人種、信条、性別、社会的地位などにかかわらず患者の回復に全力を尽くす。
守秘義務を守り、区別、差別せず、患者さんの痛みや悩みの除去に全力を注ぐ。
昭和62年6月14日制定
組織団体を問わず柔道整復師ひとりひとりがこの倫理綱領の基本理念を理解し、これを遵守しなければならない。
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