これだけは知っておいて【第26回:年始 私達「柔道整復師」が、すべきこと】
明治国際医療大学 教授 長尾 淳彦
新年明けましておめでとうございます。
私達、柔道整復業界はこの数十年間、今年こそ!今年こそ!と期待を込めた想いを年初に唱えている。
しかし、業界として、今年こそ何をどうしたいのか?その想いを具現化するために何をどうするのか?というビジョンやミッションが明確に示されなかったと思う。
業界全体で何をすべきか?個人としての柔道整復師は何をすべきか?
公益社団法人 日本柔道整復師会(以下、日整)は、平成25年から内にはコンプライアンスの重要性と危機管理能力の充足を説き、外には「柔道整復」の成り立ちやその必要性を丁寧に知らしめ、健全な業界発展の礎を着実に行っていると思う。
特に昨年は、料金改定において骨折、脱臼の整復・固定料の大幅アップ、養成施設のカリキュラム改定、国家試験の出題基準の見直し、卒後臨床研修や受領委任の取扱いの厳格化など数年間練りに練った「柔道整復師の質の向上」プログラムがスタートした感がある。
昭和63年当時は組織率ほぼ100%近かった日整も今や組織率30%である。といえども業界の牽引役には変わりない。
昭和11年に各都道府県柔道整復師会会長と各都道府県知事・各社会保険事務局長(現在は厚生(支)局長)との三者協定を結び料金表などを定めて委任払いの方式をとり患者の事務的経済的負担の軽減のため運用された。
昭和63年7月14日までは社団法人日本柔道整復師会の会員外はこの受領委任の取扱いは出来ず、47都道府県社団によって、会員の保険や学術に関する講習会や研修会が行われ、柔道整復師の法令遵守、学術研鑽は当たり前のことで業界内統制は図られていた。
柔道整復師養成学校は、昭和30年には、全国で5校であり、一学年の定員数は121名であった。その後は14校で推移し、一学年の定員数は1,050名が続いていた。
ところが、平成10年、福岡地裁で「柔道整復師養成施設の新設を認めない」という厚生省の言い分を取り消す判決が出た。
判決が出た後、全国に養成学校が急激に出来はじめ、平成27年には、養成校(3年制)94校、大学(4年制)15校、計109校と急増し、一学年の定員数は7,000名を超えるに至っている。
これにより、就業柔道整復師数は平成10年29,087名が平成26年63,873名となり、施術所数も平成10年23,114所が平成26年45,572所となっている。
日整会員で無くとも受領委任の取り扱いが出来、養成校の急増とそれに伴う柔道整復師の急増が昭和63年から業界の変革を起している。
柔道整復師業界の健全な成長には国(政府)との協調が必要不可欠である。
個人の柔道整復師も柔道整復師の質の向上を念頭に置き、市町村会議員、都道府県会議員、衆参議院議員と会われるときは政党関係なく柔道整復師として「要望」すると大きなベクトルが国を動かす。
年始の挨拶回りには是非、「要望」を関係議員にお願いしましょう。
柔道整復師の明るい未来のために!
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