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これだけは知っておいて【第25回:原健先生が残された遺産と与えられた宿題】

これだけは知っておいて 特集

明治国際医療大学 教授 長尾 淳彦  

日本柔道整復師会の会長を2期(平成11年-15年)お務めになった京都の原 健 先生(平成27年4月23日ご逝去)のお書きになった原稿を拝読しながら卓越した先見力に敬意を表すとともに宿題に対し早いスピードで取りかかなければならないと思った。

日本柔道整復師会が外務省やJICAと10年間行ったモンゴルでの柔道整復術の定着事業、柔道整復師学校養成施設カリキュラム等改善検討会での単位数・最低履修時間の引上げ、医療安全の観点からのカリキュラム内容の見直しなど着々と実施されているが更なる改善により柔道整復の良きところを世に示さなければならない。

日本柔道整復師会や一部の柔道整復師でなく6万人を超える全柔道整復師で!!


世界保健機関(WHO)総会での挨拶

世界の全人類に対して、日々健康増進に多大なる寄与をしているWHOに対し、心から敬意を表します。

日本の伝統医療である柔道整復師を代表する日本柔道整復師会会長の原健です。

今回WHO総会にお招きいただき、大変光栄に存じますとともに、日本を代表する大きな責任を感じています。柔道整復セラピーは、柔道と発生の起源を同じくしております。柔道はいまや世界180か国で行われています。今後我々は、柔道と二人三脚で世界に技術を広めようと思っています。

我々は日本において医師と連携をし、国民の健康管理、負傷の施術に努めています。すなわち、我々の伝統医療に加えて現代の整形外科医療技術を加味し、科学的根拠に基づいた医療を展開しています。

この総会出席を契機にして我々の技術である薬を使用しない、また、手術をしない、人に優しい柔道整復セラピーを世界の国々で活用していただき、世界全人類の健康管理、予防医学に役立ちたいと希望しています。

平成14年5月13日


平成14年度を終えて

伝統医療を柔道整復師が世界的規模で視野に入れ、社団法人日本柔道整復師会が活動し、各都道府県社団会員の地域活動が結びついた結果、柔道整復が柔道セラピーとしてWHOに認知された。

各都道府県社団会員が日頃活動している講習会、柔道大会、ボランティア活動がいつかは大きな実を結ぶことを実感できたのではないだろうか。

WHOの認知については、まだ始まったばかりで終わりではない。

WHO伝統医学会議にて約束した5つの項目は、社団法人日本柔道整復師会だけでは到底成し得ることは出来ない。各都道府県社団会員の日頃の活動が今後の成果をつくりあげるのである。

柔道整復術1200年の歴史を絶やすことなく、現世代から次世代においても柔道整復が脈々と発展し続けていられるように。

人類の健康と福祉に寄与する。それが社団法人日本柔道整復師会の使命であり、今回のWHO認知の真の意義である。

日本柔道整復師会 広報誌
平成15年3月31日


ここに人あり ~ほねつぎ~

87歳となってもこのように「柔道整復」を語ることの機会を与えていただき感謝致します。

私が日整会長当時、接骨院開業者は地方公務員の部長クラスと同額の年収であったと記憶しております。養成施設が増え、おのずと開業者も増えます。日本の人口減少の中、限られたパイの奪い合いによる個々の減収は避けられないと思います。数は力とは言え、柔道整復師の仕事で食べていけなくては国家資格の価値は下がります。

私は日整役員になってからそして今も、柔道整復師の保険取扱い項目を増やさなければならないと言い続けています。骨折・脱臼・打撲・捻挫・挫傷の5傷以外でも柔道整復師が国民の健康維持・増進に寄与出来るものは多々あります。柔道整復師の保険取扱い項目を増やすには柔道整復師にしか出来ないことを研究し立証することです。医療人として基礎学問を学ぶことは重要ですが「ミニ整形外科」「亜流整形外科」ではダメです。
当時、武見敬三先生が「我が国固有の武術や武道から派生し、純粋な民族医療でしかも地域に密着し、保険診療の中でも療養費という名目のもと多くの国民がら支持されているのに柔道整復は世界にちゃんと理解されていない。国内外に正しく柔道整復を知ってもらうにはWHOに認識してもらうことが最優先である。早急に働きかけよう!」というお言葉をもらい、工藤鉄男学術部長(現日整会長)、山口綱孝総務部長、橋本昇東京都総務部長を中心にプロジェクトチームを立ち上げ、2002年WHOに「日本の伝統医療 柔道整復師 Judo therapist」として紹介されました。

この時の報告書の中にも出てきますが、柔道整復を世界に広げる5つの課題が与えられています。

  • 日本の医療体系の中での柔道整復の位置付け
  • 柔道整復の安全性
  • 臨床研究と治療過程についてのプロトコル:臨床データの収集
  • 施術提供者が教育を受け、その水準を維持しているか
  • 治療効果についての他の医療との費用対効果

継続してこの課題の探求をお願いしたい。
「柔道整復」は日本で生まれ日本で育った日本の誇るべき伝統医療です。我々柔道整復師は自信を持ち、堂々と患者さんに向き合い治療してきたからこそ多くの国民の支持を得られてきたのです。

自信を無くした柔道整復師が増えると業界は衰退します。柔道整復師は「柔整」の勉強をする!柔道整復師が「自信」と「誇り」を持って仕事をするために日本柔道整復接骨医学会の果たす役割と責任は非常に大きいものがあります。期待しております。

日本柔道整復接骨医学会広報誌「コラム」
平成27年3月25日

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