HOME 特集 これだけは知っておいて これだけは知っておいて【第17回:国家資格者の整体行為】

これだけは知っておいて【第17回:国家資格者の整体行為】

これだけは知っておいて 特集

明治国際医療大学 教授 長尾 淳彦

巷には、柔道整復師、はり師、きゅう師、あん摩マッサージ指圧師という国家資格者と整体やほぐしなどの無資格者が現在、混在している。接骨院や鍼灸、あん摩師の治療院の院外広告にも「整体」と大きく掲示しているところがある。 免許のある人は優良免許保持者として患者さんのために学と術の研鑽に努めなくてはならないと思います。そのためにはルールを知り、ルールを守らなくてはなりません。
群馬県の鍼灸師である田中一行さんが自らのFaceBookに国家資格者の整体行為について下記の書き込みをされています。素晴らしい投稿なのでご紹介いたします。

自分はこの業界の資格制度をよく道路交通法に例えて話すことがあります。自動車の普通免許と原付バイクに限って話すとしたら、自動車の普通免許があれば原付バイクも運転出来るのが「医師」です。医師免許があれば医療行為の中の鍼灸治療も医師はしてもよいのです。で、我々鍼灸師を原付バイクとしたら、原付バイクの免許しか持っていないので自動車は運転出来ず原付バイクしか運転はしてはいけません。当たり前のこと過ぎますよね。鍼灸治療の免許しかないので鍼灸しか出来ません。知らない人も多いかもしれませんが、あん摩マッサージ指圧に関しても同じです。国家資格という免許がないと出来ないのです。でも、世の中どうでしょう。世間の80-90%の○○式マッサージとか、もみほぐしとか、リラクゼーションとか、資格がないのに名前はどうであれやっていることはあん摩マッサージ指圧ですよね。つまり、街で見かける原付バイクに乗っている人の80-90%が車や原付の免許すらなく堂々と道を走っているのです。普通に怖くないですか?車やバイクになんで免許が必要か。それは人の命に関わるからです。医療や接骨、鍼灸、あん摩マッサージ指圧に何で国家資格が与えられているか。同じく人の命に関わるからです。(中略)
不思議なことに無資格者が当たり前に施術しているじゃないですか。 このままでは本当に国家資格を持って治療に当たっている先生方の信頼度も下げてしまいますし、何の知識もない人が治療をすることで助かる人も助からなくなってしまいます。

これは柔道整復師に限らず、鍼灸師もあん摩マッサージ指圧師も同じです。接骨も鍼灸もマッサージも、もちろんどれも「整体」には属しませんし、国家資格を取る為のカリキュラムにも「整体」なんて言葉は一切出てきません。まず、最初に理解していただきたいのが「整体」というもの自体なんの国家資格も知事免許など公的な資格は存在しないという事です。つまり、出来る人がやってる程度のぼんやりとした物で、その手法や技法も何も確立されたものがないと言っても良いと思います。いや、あるよ!って言う整体師さんもいるとは思いますが・・・それはあくまでも独自の確立された「整体」です。整体師という職種はあっても、公的な整体とか整体師という免許はないんです。ただ、「整体」を否定するつもりもありませんし、「整体」が悪ではありません。では、ここでは道路交通法になぞらえて整体を例えてみましょう。

自動車免許を持った人は免許の特性上原付にも乗れます。さて、ここで「整体」です。自転車に近い感じでしょうか。免許がないと乗ってはいけないのではなく、乗れるかどうかの乗り物というイメージです。そして、大事なのがここ。
乗れるのは良いけれど、その乗る人が道路交通法を知ってるかどうか。でも、自転車に乗ることが悪い訳ではありません。自転車という乗り物自体が悪い訳でもありません。車やバイクに乗る人が自転車に乗れば当たり前に交通ルールを知っていてそのルールを守って道路を走ります。ただ、問題なのが交通ルールを知らないで自転車に乗っている人です。 身体の基礎を知らずに無謀な整体という名の行為で人の身体に触れている整体師さんが問題なんだと思います。つまり、整体という行為そのものが悪ではなく交通ルールここで言えば身体のつくりなどの基礎医学を解った上で整体をしているのか、自転車と同じでただ乗れるからという理由で乗っている。つまり整体という技術が出来るからやっているということが問題なんでしょう。なので、医師でも柔道整復師でも鍼灸師やあん摩マッサージ指圧師などは医学的な基礎を学んで国家資格という免許がありその責任を背負った上で治療を行っている。自転車を庭で乗るのと公道を走るのでは訳が違いますし、責任と法律がのしかかってくることを知った上で自分がどちらで乗るべきなのかを判断する必要があると思います。

患者さん自身は患者さんを歩行者だとしてその道にどんな危険があるかを予知したり気をつけて歩かなければいけない。免許のないドライバーが車やバイクに乗るのも怖いですが交通ルールを知らない自転車が同じ歩道を走っていることにも気をつけなくてはなりません。大事なのは見分ける目です。
ナンバーの付いていない車や整備されていない車が走っていても怖いですね。簡単に見分けを言うと院外に金額が表示されていたらルールを知らない無免許ドライバーだと思ってもらっていいでしょう。インフルエンザの注射、一本○○円なんて書いてある医療機関見たことないですよね。国家資格を持っているからこそルールがあり金額を院外に掲示してはいけないってルールがあるからそれを当たり前に守っているだけなんです。

そのへんを知った上で自身の身を守っていただければ。

田中一行先生(明治国際医療大学鍼灸学部鍼灸学科卒・はり師きゅう師鍼灸学士)
龍華鍼灸院院長 群馬県渋川市
(田中先生引用承諾済)

Visited 39 times, 2 visit(s) today