これだけは知っておいて【第3回:年始「柔道整復師」が、すべきこと】
明治国際医療大学 教授 長尾 淳彦
新年明けましておめでとうございます。
私達、柔道整復業界はこの数十年間、今年こそ!今年こそ!と期待を込めた想いを年初に唱えている。しかし、業界として、今年こそ何をどうしたいのか?具現化するために何をどうするのか?という具体的なビジョンが明確に示されなかったと思う。
業界全体で何をすべきか?
公益社団法人 日本柔道整復師会(以下、日整)は、一昨年(平成25年)から内にはコンプライアンスの重要性と危機管理能力の充足を説き、外には「柔道整復」の成り立ちやその必要性を丁寧に知らしめ、健全な業界発展の礎を着実に行っていると思う。
昭和63年当時は組織率ほぼ100%近かった日整も今や組織率30%である。といえども業界の牽引役には変わりない。
昭和11年に各都道府県柔道整復師会会長と各都道府県知事・各社会保険事務局長(現在は厚生(支)局長)との三者協定を結び料金表などを定めて委任払いの方式をとり患者の事務的経済的負担の軽減のため運用された。昭和63年7月14日までは社団法人日本柔道整復師会の会員外はこの受領委任の取扱いは出来ず、47都道府県社団によって、会員の保険や学術に関する講習会や研修会が行われ、柔道整復師の法令遵守、学術研鑽は当たり前のことで業界内統制は図られていた。
柔道整復師養成学校は、昭和30年には、全国で5校であり、一学年の定員数は121名であった。その後は14校で推移し、一学年の定員数は1050名が続いていた。
ところが、平成10年、福岡地裁で「柔道整復師養成施設の新設を認めない」という厚生省の言い分を取り消す判決が出た。
判決が出た後、全国に養成学校が急激に出来はじめ、平成25年には、養成校(3年制)94校、大学(4年制)13校、計107校と急増し、一学年の定員数は7000名を超えるに至っている。 これにより、就業柔道整復師数は平成12年30830名が平成24年58573名と190%増となり、施術所数も平成12年24500所が平成24年42431所で173%増となっている。
日整会員で無くとも受領委任の取り扱いが出来、養成校の急増とそれに伴う柔道整復師の急増が昭和63年から業界の変革を起している。
柔道整復師業界の健全な成長には国(政府)との協調が必要不可欠である。
先の衆議院選挙前に日整は政権与党である自由民主党に下記の要望を提出した。
- 療養費受領委任協定の見直しを図られたい
- 「新規」柔道整復師施術管理者の強化について
- 柔道整復師の施術に係る療養費の適正な料金設定を図られたい
- 柔道整復師卒後臨床研修の制度化を図られたい
- 地域包括ケアシステムへ柔道整復師が参入できるように図られたい
- 生活保護患者の接骨院への通院の円滑化を図られたい
- 柔道整復師養成施設の急増防止対策(設置基準の見直し等)を図られたい
その他、国税・地方税等の税制改正も併せて要望している。
個々の柔道整復師も上記要望を念頭に置き、市町村会議員、都道府県会議員、衆参議院議員と会われるときは政党関係なく柔道整復師として「要望」すると大きなベクトルが国を動かす。年始の挨拶回りには是非、上記「要望」を関係議員にお願いしましょう。
柔道整復師の明るい未来のために!
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