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スペシャルインタビュー:檜原村村長 坂本義次氏

インタビュー 特集

檜原村の人口は、約2200人、東京都唯一の村である。清流が流れ川のせせらぎと鳥の囀りが聞こえる檜原村は、メルヘンのような世界で、訪れる人に安らぎを与えてくれる。 村長の坂本義次氏は、自身の哲学を持ち、理念実行の人と定評がある人物である。そんな坂本村長が打ち出した政策は、どれも住民に手厚く愛情あふれるものがある。熱血漢の坂本村長の精鋭部隊である村の職員達は協力を惜しまず、住民に寄り添い、共に歩み続けることで益々檜原村の存在価値を高めている。
誰もが一度は訪れてみたい場所、イヤ永住してみたくなる村づくりに拍手を送りたい。
坂本村長に村の取り組みについて話していただいた。

いかなる災害がやって来ようとも、わが檜原村は、村と村民が一体となって助け合い、守る体制は万全です!

檜原村村長 坂本義次氏

檜原村村長
坂本 義次   氏

―日本の社会保障制度について坂本村長のお考えをお聞かせください。

私は、2つのことを考えています。1つは、年金制度です。何故かというと、年金は制度として義務化されているのでしょう。なのに納めない人がいるのはどうしてなのか?年金制度の財源が無いことや、これからの給付金は下がる等について言われていますが、それは納める人が少ないからです。其処のところを何故国は対応しないのか、と。しかも国民年金を納めない上に、生活が困窮しているからと生活保護を受給します。これまで何も負担してこなかった人が何故支給されるのか。片や年金を納めてきた人が年金だけで生活をすると、生活保護を受けている人達よりも、もっと苦労しています。一生懸命頑張って国民年金を支払い続けた人より、何も積まないで、食べられないから国が生活保護で面倒みてくれと、どうしてそういうことが許されるのか。これを安倍総理に伝えたい(笑)。冗談はさておき、国民の義務として年金が制度化されているのであれば、税金と一緒に年金を徴収すれば良いんです。結局、自由に納める制度を作っているから納めない人も出てくる訳です。義務として納めるように罰則を作るべきです。昔は、市町村で徴収していましたので、全ての人が納めました。しかし今は、市町村から移して、仕組みを変えたことで、納付率がドーンと下がってしまったのです。以前は納付率が99.9%という数字、100%と言っても良いくらい納付率が良かったんです。国民は、一定の負担をして初めて権利を得る。国民年金を納めないで生活保護を受けるなんて私はもってのほかだと思います。支払えないのであれば、その理由についてキチッと手続きをした人は別ですが、何もしないで放置したまま、若い頃は好きなようにお金を使って、年をとってお金がないから生活保護を受けるという人達のことを私は言っている訳ですが、要するに真面目な人達が大事にされる制度にしなければダメでしょう。〝国民年金を支払わないでもかまうことはない。窮すれば生活保護を受ければいいんだ〟という考えでは、国が崩壊してしまいます。なにしろ皆さんから集めたお金で運用することが、大前提ですので、その大前提が崩れて、しかも払わない人達は国の制度の恩恵を何も受けないのかというと、そういう人ほど受ける可能性が高いのです。国が其処にメスを入れなくては、福祉にいくらお金を注いでも足りません。従って、制度の見直しをすべきだと思っています。

もう1つは、終末医療に関してです。端的に言えば、もう復帰出来そうも無い方に心臓を器械で動かしたり、全く反応が無い方に酸素吸入や流動食を摂取させるなど行っています。例えば、僅かでもその方が自立して歩ける可能性があるのであれば医療行為は続けた方が良いと思いますが、どうみても延命治療でしかない治療をいっぱい行っています。高い税金を支払って、医療は無料のスウェーデンやデンマークでは終末医療に関して、自分で呼吸できないや自分で食べられないのであれば、もう仕方がないということで、我が国のような医療は行っていないと言われています。要するに過剰な医療というのは、物凄くお金がかりますので、自治体の中で福祉関係の予算がどんどん上がっています。やはり、助かる人を死なすということはあってはならないことですが、延命だけの治療は必要なのかということです。これについては、医療の中で見直すべきであり、必要な医療に徹するべきであろうと思います。私が危惧しているのはこの2つですが、そうしなければ、いくら消費税を上げても追いつきません。

―人口減少社会に突入しました。超高齢化の進展と少子化に対する檜原村の取組みを教えてください。

檜原村では独自な政策を行っており、高齢者支援においては、買い物支援、外出支援、ゴミの収集支援、高齢者の安全自動車の購入費補助、免許返納者への支援、等を行っています。高齢者が事故を度々起こすのを見て、4年前4期目の当選をした時に、自分自身も安全ブレーキ装置が付いた車両を購入しまして、これを村民に対して助成することにしました。東京都が8月に打ち出した後付けの補助ブレーキは、東京都が10万円を限度に9割を助成し、個人負担1万円でやれますということですので、檜原では其の1割を村でみますというのを付け加えて10月からは無料で出来ることにしました。

ゴミの収集支援についても、拠点に出せない人は他の車で戸別収集を行っています。見守りサービスについては、一人暮らし或いは老人夫婦に対し、日本郵便が見守りサービスを始めましたので希望者に申し込んでもらうと、本来は個人契約ですが、村が一括契約で全額補助しています。郵政が見守りサービスをスタートさせてもう3年位になりますが、日本で最初に檜原村が郵政と自治体との契約をしました。

同様に詐欺防止電話もそうです。実は4年前に振込詐欺の電話があちこちにかかったことがありまして、何らかの対策をしようと考えていた時に、日経新聞にシャープが振込詐欺防止機能付き電話を発売したという記事が掲載されていました。〝あ、これだ〟ということで直ぐに予算を組みまして、希望者の家に業者が電話を持っていって設置して、初期設定もして全て無料です。大雑把にいうと世帯が約1000軒です。従って1軒1万5千円の電話を付けても1千5百万です。それで2・3千万の振込め詐欺の元が取れてしまうのです。

もっとさかのぼると平成21年度に国が火災報知機をつけなさいという制度を作って、それに向けて、10年前にじゃ村は火災報知機を1軒につき2万円補助を出して全部付けようとなりました。中には付けたくないという家が1軒ありました。私は100%を目指したので100%にしないとダメだとして、消防署を通じて付けるようにしました。10年経ちましたので機種の取り換えと電池の交換についても村で全部行っています。つまり、火災による命を守ろうということです。

檜原村は、公共交通機関がバスのみで都道を外れると移動手段が少なく車を手放せない高齢者が多い。しかし、高齢者による事故が多いことから、安全自動車の購入費補助制度を作って今年で3年目です。安全自動車購入への補助は50万円です。また免許を返納した方にも3年間1万円ずつ支給しています。

他にも高齢者へのインフルエンザの助成、肺炎球菌ワクチンも初回と2回目までは、無料です。というのも、他の自治体よりも30年位、高齢化が先行していましたので、檜原村に住んでいることによって他に住むよりも安心して住めるという村づくりを行っている訳です。また、子育て支援については、出生祝い金を支給しており、1人産むと5万円が支給され、2人産むと10万円、3人になると20万円が支給されます。この10月から国の幼児教育・保育無償化が始まりますが、保育料の助成ということで檜原村では、10年程前から、例えば1万円の保育料を6カ月収めると3万円が返金されます(5年ほど前からは第2子以降は全額返金されます)。給食費も支払っていただいて8割返金しますから、2割の負担で済みます。他にもオムツやミルク購入のための補助、子どもの医療費も無料です。ただし、税金や水道料金、村営・公営住宅の使用料等公共料金で未納がある方は補助対象になりません。

こんな面倒なことをやっている自治体は他には無いと思います。つまり、一応親の責任で義務を果たしていただくような、真面目な人が得をするようなシステムです。職員は大変ですが、やはり真面目な村民が大事にされなければダメでしょう。其処を厳しく、きれいに全て収めている方に対して何らかの支援をするということです。条件は若干ありますが返納不要の奨学金制度もあります。例えば子どもが沖縄の大学に行こうが北海道の大学に行こうが親が檜原村に住んでいれば支給します。卒業して、ここに戻ってきて1年住めば、返済1年先送り、20年住めば返済不要です。皆さん檜原村の財政を心配されますが、実は私が平成15年に村長に就任して2年くらいの間に職員を20%位削減しました。当然私の給料も下げて、職員の給料と退職金も条例を作って下げました。私自身の給料は、前の村長よりも4年間で退職金合わせて1千万下げました。村の税収は2億円ですが、コストダウンしたお陰で、採算がとれるようになった訳です。先ほどお話したように、〝払うものは払ってもらおうよ〟と。その代わり村民を大事にするということですね。

―近年、社会保障費の財源が苦しくなっていることに加えて、高齢社会で医療費も介護費も大変な増加が見込まれ、それに伴い在宅ケアを含め包括型の医療ケアシステムの構築が求められております。檜原村で現在取り組まれている地域包括ケアシステムの構築状況についてお聞かせください。

医療と介護などを一体的に提供するのが地域包括ケアシステムだと考えていますが、出来ることからということで進めています。やはり、地域に住み続けることを考えると、村の医療と介護サービスのみで補うのはかなり難しい部分もあります。先ほどもお話しましたが、買い物支援だとか外出支援、ゴミの収集支援とか見守りサービス等、ニーズに沿った充実を、これまではかってきております。やはり、檜原の医療機関は診療所が1つのため、専門的な医療の充実は難しいのですが、患者さんから要望があれば往診にも伺います。介護については事業所自体が村内に少ないので、村内外の事業所との連携強化のため昨年から医師会と契約を結び、「ICT」のシステムを導入し、村内外の事業所と様々な会議を開く上で時間や距離的な問題もありますので、今後効率化をはかっていきます。

―また地域包括支援センターの力量差も言われており、地域力が弱くなっている現在、「互助」による支援体制が機能する可能性についてもお聞かせください。

確かに地域力というのは衰弱してきている部分はあります。しかしながら国がいうところの住民全体で高齢者を支えるための団結力というのは、昔から住んでいる方が多いので、次第に空き家になったところもありますが、近所におばあさんが一人で住んでいれば、オカズを作って持っていくとか、〝今日病院に行きたいけれどバスに乗れない、送ってほしい〟というと送り迎えをしてくれる近所の方が居るんです。こういうことは、生活支援の一部ですが、一応近隣で共助は出来ていると考えております。ただし、そういう体制の構築となると如何だろうというのは多々あります。これまでは、ピンポイントで助けるという互助をやって来ています。つまり、地域としては近所づきあいの中で支援をし合っている面がいまだにありますので、其処の部分を頼りながら行政的な支援も行っている状況です。介護保険においても事業所が少ないために、保険料を支払っていてもサービスを受けきれない部分があります。そうなるとやはり役所側が何らかの手当てをしながら支えていくというようなことは、檜原村ではずっと行ってきておりますし、家が点在していますので、地域力プラス村で支え合っております。

―介護の人材不足、在宅系看護師不足等、人材が不足していると聞きます。檜原村において、人材は足りているのでしょうか。

昔は、殆ど村内の人材で間に合っていましたが、現在は送り迎えをしていることもあり、村外から来られている方もいらっしゃいますし、またベトナムから働きにみえている方もおられます。所謂人材不足と言われている中で、国が人材に対してのハードルを上げていますので、当然の如くハードルが高くなればやれる人が少なくなる訳です。とくに今は、介護に関する資格免許が無いと働けません。助手みたいな形で実際に何年間勤務したらその資格が取れるというのであれば良いのですが、今は有資格者でなければ採用されないという背景がありますので、人材確保が困難になっています。やはり施設は、基準をみたしていなければ、介護保険の対象にならないため、基準をみたさなければなりません。結果的に欠員が出た場合の余剰人員の確保等もあり、そういう意味でも、今は非常に大変になっていると言えると思います。

―待機児童対策について中々解消されていかない原因は何所にあるとお考えでしょうか?

檜原村では待機児童はゼロです。数年前に、いずれ保育園がいらなくなる、子どもが居なくなると言われたことがありました。ところが、居なくなるといわれた当時には子どもの数は20数人でしたが、今は47名です。かつて檜原村では、村営住宅はゼロでした。私が就任してから村営住宅を造り始めました。最初に6棟を造って、入居されました。次に10棟を造って、抽選で入居されました。全部で33棟を造って全てを子育て住宅として、若い夫婦で子ども1人、子ども2人、子ども3人を点数制にして入居して頂きました。今年も村営住宅を30坪の土地に5棟造ります。なにしろ檜原村の保育園は、快適な環境で他から来た人は、〝まるでコートダジュールみたい〟と仰る方もいるほどです。しかも小中学校の子どもの机も全部檜の木です。コンクリートの校舎に、全部木を組んで、塗装はしません。木が呼吸するので、一定の湿度を保つため、免疫力を高める効果があり、病気になりにくい。従って、インフルエンザによる学校閉鎖は12年間連続でゼロです。

ここ数年、「待機児童ゼロ」ということで大騒ぎしていますが、難しいなと思うのは、人は移動する生き物です。檜原村に固定して住んでくれるのであれば、計画は立てられます。しかし、人は何処でも移動するんです。また役所が保育園を建てるにあたって、先ず計画を立てて、設計をして少なくとも数年はかかります。つまり、人は移動することを考えると、毎回待機児童ゼロなんていうことは無理です。今まで仕事をしていなかったお母さんが今日から仕事をしたいという時に、いつでも保育園に自由に入れるようにするには、どうすれば良いんだという話です。

―やはり、医療のいきづまりといいますか、今後は治す医療ではなく、生活支援型の医療を目指すといわれているお医者様も多くいらっしゃいます。生活支援、QOLの向上をはかっていくことは今後重要になっていくと思います。檜原村でも健康教室、転倒予防教室等、予防医療の取り組み並びに様々な取り組みをされていると思いますが、その指導者はどうやって選ばれているのでしょうか?

予防については、関係団体に要請して、地域毎にサロンみたいな高齢者の集まりがありますので、其処に理学療法士さんや体操の指導者を派遣して、介護予防教室等を年間を通して行っており、しかもそこにコミュニティがあることで、いつも来ている人が来なかったら、〝如何したんだろう〟といった見守り的な部分も含めて行っております。指導者については社会福祉協議会の職員で、運動指導員の講習を受けてその資格を持った者であるとか、理学療法士さんや保健師さん、栄養士さんが担当しています。理学療法士さんは、リハビリ病院から来てくださっています。必要に応じて各地域、もしくは「やすらぎの里」という施設に来て頂いて予防のための運動教室などを開催しています。以前、柔道整復師の方の所へ通うかたちで機能訓練を行っていましたが、利用者があまりいらっしゃらなかったので、現在はやっておりません。逆に柔道整復師の方が出向いてくれるのであれば、やり方もあるのかなとは思いますが、村内に接骨院が無いので、中々継続的には難しい面があります。

―昨今、地球規模で大災害が多発しています。先日の台風では停電等の被害が大きく、災害への備えの大切さが言われておりますが、檜原村の防災対策について聞かせてください。

先日の台風で一番驚いたことは、災害対策本部を災害が起きてから設置していることです。それでは、ダメなんです。今回の台風にしても、檜原村では何をやっているかというと、日曜日に課長が出てきて泊まっています。私が顔を出して災害本部を作って、更に秋川消防署からプロの応援が12人入っております。

どうしてこういうことをやっているのかというと、実は27、8年前に道路に土砂が流出して、孤立したことがあるのです。一番困ったことは、都道33号線がストップしてしまうと応援も入れません。いま完成がいつかは分かりませんが新たなバイパスを東京都が作ってくれています。そのことがありましたので、これからは孤立対策をキチンとやろうということで、台風が来るというと、台風の進路がアバウトで、まあ檜原村には来ないだろうと思いながらも必ず対策本部を作ります。対策本部を必ず作って、沢沿いの危険な家に明るい内に避難をさせて、自治会館やコミュニテイセンター等、全部の会館を開けて、しかもそこに職員を張り付けて、毛布とか食べ物、水などの防災用品を配布します。何処の自治体にも救急の備蓄庫はありますが、檜原では各家庭にキャスター付きのオレンジ色の箱に、水・食糧・救急キット・等を、全ての家庭に配布しています。やはり、高齢の方で防災備蓄庫まで行くことが出来ない方がおりますので、そういった物資が家になければ困ります。キャスター付きのものを全ての家庭に配布して、賞味期限が切れたら買い換えています。

つまり、「100・ゼロ」で良いということです。〝100回災害対策本部を作ったけれど、ゼロでいいよね〟として、行っております。災害対策本部を作ったから災害を防げるという訳ではないけれども、要するに災害に対する姿勢です。災害に対しては過去の苦い経験があって、東京消防庁の町田等から桧原村に消防署の指揮官が応援に来て泊ってくれるんです。防災服を来て、副村長、課長もみな泊まって、それも自前の寝袋です。檜原村の職員は全員が寝袋を持っています。しかも殆どの職員が救急救命士の資格を取得しており、私も資格を持っています。かなり前に檜原村では、雪が凄くて自衛隊の除雪車を要請したことがあり、それで痛い思いをしましたので、ホイルローダーを購入しまして、職員に免許を取らせましたので、誰でも雪かきが出来ます。

たまたま私は、消防関係をやっていたり、過去の災害現場で、病院の無い場所で雨の中、妊娠している方をおんぶして連れて行ったこともあります。いかに安全対策を行うかとして、自治体の役目を全うする気持ちで頑張っております。

―今後、病院で死ぬことが出来ない時代がやってくる中で、どのような地域社会を構築できるか。地域における健康づくりを従来型の健康政策のみではなく、機能の集約化、住居環境及び交通網の整備などまちづくりの視点も加えた総合的な施策の構築等についてはどのようなお考えをおもちでしょうか。

やはり必要な医療はかかると思っておりますが、昔のようには社会的入院というのは、もう出来なくなると思っています。ただ檜原村の場合、在宅での「看取り」というのは中々難しく、というのも医療機関が1つしかありませんし、24時間体制を行っていません。またホームヘルパー等も24時間体制では動いておりません。結局、看護者や介護者が居た上で、在宅での看取りというのは可能ですが、とにかく単身の高齢世帯が多く、身体機能、ADLが落ちてしまった方の退院後の行き先としては、どうしても老健施設を経由して特養という形になってしまっているのが現状です。出来る限り、在宅でということを考えますけれども、現状では難しい。村で持っている診療所は、医師2人体制です。以前は常勤2名でしたが今は常勤1名で、もう1名については非常勤ではありますが、勤務して頂いております。しかし土曜日の午後、日曜日は診療していませんので、住民から不満が出ることもあります。休日の際は檜原村と3自治体で運営する「阿伎留医療センター」等、村外の医療機関に連絡をとって診てもらうしかありません。

檜原村の医療環境で少々自慢できることは、もう10年前にCTスキャンを入れて、読映する専門のドクターがいないので四国の高松にある「森クリニック」という病院に画像を光で送っております。園遊会の時に、皇后陛下から〝檜原村の医療は如何ですか〟と尋ねられて〝大きい病院はないけれどもCTを入れて四国に画像を送っています〟とお伝えしましたら、〝あら、進んでいますね〟と褒められました。皇后陛下は、画像を転送する仕組みのことを知っておられました。また、たまたま職員から聞いたことで、事実かどうかは確かめておりませんが、その当時のパナソニックの「画像転送システム」は檜原村がモデルであると仰られていたそうです。

―檜原村の将来ビジョンなどについてもお願いします。

こんな村ですから地理的ハンデはもうぬぐえない訳です。じゃ如何するか。やはり環境を武器に、次の若者にここに住んでもらいたい、住み続けてもらいたいということで、そのためには何が必要だろうと模索した結果、やはり生活の基盤となる上下水道の整備が重要であるとなりました。檜原村には水源が2つあるんですが、1つのほうの水源は、去年で更新がすべて終わりました。こちらの水系の水は、セラミックの筒を40個つけて、濾していますから、微生物を全部除去してしまうのです。つまり膜濾過している超綺麗な水を飲んでいます。また下水に関しては、あと1年で、人口の85%以上に下水が整備されます。ということで、川が以前よりもっともっと綺麗になったこともありまして、今年は「全国きき鮎グランプリ」で2度目の準グランプリを獲得しました。

最近は、かなり若者が増えていますが、あまり働き場所がないので、これからは産業振興も重要と考えております。今年は木を使ってコースターや物差し等のグッズを作る会社が工場を藤倉に作っています。もう1つは檜の木の葉を過熱蒸留してアロマオイルを作る会社が出来ました。来年はオール木造のおもちゃ美術館を開館します。やはり、これからは、ものづくりをする、所謂「匠」と称されるような人に移り住んでもらいたいと考えております。

坂本義次(さかもとよしじ)氏プロフィール

【生年月日】昭和20年2月2日
【学歴・職歴】 昭和46年3月東京経済大学卒業。平成5年4月檜原村消防団長。同6年4月会社役員。同11年5月檜原村村議会議員。同15年5月檜原村長、現在に至る。
【趣味】ゴルフ・音楽鑑賞・オカリナ演奏・フルートを始める。
【座右の銘】チャンスは二度ない

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