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ビッグインタビュー 【新・柔整考⑤】 業界内外の声をお聞きする!

新・柔整考 特集

近年、役員の不祥事が続いた(公社)東京都柔道整復師会。法令遵守、コンプライアンスの徹底をはかることを第一義として、信頼回復をどのように図るのかが問われている。
(公社)東京都柔道整復師会の新会長に就任された瀧澤一裕氏に改革方針と今後の展望についてお聞きした。

信頼を回復するために(公社)東京都柔道整復師会は一丸となって改革に取組みます!

(公社)東京都柔道整復師会 会長 瀧澤一裕氏

―多くの柔道整復師は瀧澤新会長に誠実な改革を期待していると思います。どのような改革をされようとしていらっしゃるのか教えてください。

今回の選挙で、全役員が入れ替わった形になります。不正会計疑惑だけではなく国家試験漏洩問題も含め、信頼を相当失ってしまいましたので先ず信頼回復が第一と考えまして、学校をはじめ、顧問議員の先生、関東厚生局等々、様々な関係各所に謝罪に伺いました。やはり悪いことは悪いと深く反省をして、再発防止についてもしっかり対策を立て二度とこのようなことが起こらないようにやっていきますということで、地方の日整学会へ参加させて頂きいろんな箇所にお伺いさせて頂きました。やはり地方の先生方からもかなりのお叱りを受けました。同じ柔道整復師が、ご迷惑をおかけしたということで先ずは謝罪、再発防止と信頼回復をしっかりやらせて頂きますということをお伝えしました。なにしろ国家試験というものは相当責任が重い。柔道整復師は国家資格ですから、その信用性を失ったということは、想像以上に大きなことだと厳粛に受け止めております。

具体的な改革については2つあります。1つは不正をしっかりと明らかにして透明性のある組織にすること。もう1つは衆知を集めること。一部の人間だけが会の運営を行うのではなくいろんな人の力を結集して、この難局を乗り切って行こうというところが大命題であります。当会の運営にあたっては、役員が入れ替わりましたが、その下に執行部員という実務をこなす先生達を配置しております。その執行部員の若返りを図りました。新しい感覚を持っている先生たちに入っていただき、改革を推し進める様々な計画作りにも参加してもらっています。私も過去に執行部員を16年くらいやらせて頂きましたが、今までは若い先生の感性が反映されづらいところがありました。例えば、鋭い意見や斬新なアイデアを出してもそれがなかなか聞く耳を持ってもらえない。従って若い先生達もだんだん意見を言わなくなっていくというような部分が実際にありました。今は若い執行部員の先生達の柔軟なアイデアを役員達がしっかり聞くようにして、当会の運営に反映するようにしています。また、山口綱孝先生には常任顧問に就いて頂きました。葛飾区の丸山先生に顧問、金丸建三先生、橋本昇先生には相談役、前々会長の春原先生にも顧問になって頂いて、ベテランの先生方にもいろんなご意見をお聞きしながら進めているところで、豊富な経験知と様々な人脈の中でご指導いただく部分は多いです。つまり、若い力や斬新なアイデアプラス先輩方の経験知との融合を図り、会の運営を進めているところです。

―女性の先生も執行部に入られているんですね。

はい、組織管理部担当の理事ということで入って頂いています。私自身が以前文京区の支部長を務めておりました。文京区では、副支部長に女性の先生をお願いしているのですが、かなり優秀でいろいろ助けていただきました。また私が執行部員の時に、東京マラソンの救護の担当でしたが、頑張っている女性のチームがあって、そのチームを担当させて頂きました。仕事ぶりを見ていますとかなり優秀な先生が多い。是非とも今回の執行部には女性の先生に入って頂きたいということで、牧内くみ子先生に入って頂きました。

―改革委員会について教えてください。

実は先ほど述べましたように不正会計疑惑の問題が浮上しておりましたので、会員の皆さんに透明性をもって明らかにするということが選挙公約でした。しかしながら、前執行部から業務の引き継ぎを完全に拒否されて、何も分からない状態からの新体制スタートでした。あまりに無責任すぎるので弁護士さんとも相談しましたが、結局自力でどうにかするしかありませんでした。実は、そういったこともあり目の前の執務で理事者全員が手いっぱいになっていましたので、緊急措置として有志を募り「改革委員会」という名称で、会計の部分を我々の代わりに調べてもらおうと立ち上げたのが経緯です。「改革委員会」は会長の直轄の機関です。おもに実務的なこと、伝票等をしっかり確認するといったことを改革委員会で行っていただいております。いずれしっかりとしたチームを作りたいとは思っていますが、現在は主に会計の部分、伝票等を洗っていただくという限定的な役割になっております。選挙で多くの会員の先生方から信任を頂きましたので、それは我々の責任だとして、困難だからやらないという選択肢はありません。力を集めて一丸となって努めていきます。また伊藤前会長の時に立ち上げました「第三者委員会」については、調べたところ十分に透明性が保たれるとは言い切れない部分がありました。そこで「第三者委員会」と言う同じ名称ではなく、「改革委員会」という別名をつけています。

―厚労省の療養費検討専門委員会でオンライン請求のタイムスケジュールを提出されたと長尾日整新会長が話されておりました。瀧澤会長はオンライン請求について、どのようにあるべきだと思われますか?

東京都では会員がどうしても多いので、紙ベースの請求という形をとっておりました。現在はデータ受け付けの準備を進めております。勿論、未だ紙は残っている訳ですが、そこは積極的に着々と進めていきます。年齢の高い先生方についても当会の事務局で電子機器とか、インターネットの環境に暗い先生をフォローするために、いま事務局の改革も行っており、人員を効率化することによって、人員の余裕をつくっています。そういう方を担当してきめ細かく代わりにやってあげる等、そういうところまで行いたいと当会では考えております。

―救護の体制等についても教えてください。

都柔整で「トレーナー及び災害対策チーム」を立ち上げました。有志の先生達に集まっていただいて、先月意見交換会を行ったところです。どういうことかと言いますと、平時には、例えば柔道大会をはじめいろいろなスポーツの大会等に、トレーナーなり救護が求められておりますが、そういう大会でチームの先生方のスキルアップ等を普段行っておいて、いざという時に対応できるようにしています。ファーストエイドにおいて、スポーツと災害は重なる部分がありますので、有事の時にはそのチームがそのまま救急の派遣チームになるといったチームを作りました。

2011年3月11日の東日本大震災の時には、当会副会長の渡部理一が震災直後の週末からずっとボランティアで福島県との県境の宮城県の新地町に行っておりました。実は、何か我々に出来ないかということで、行政や都柔整の対応を待っていると時間がかかってしまうため、準備して行こうじゃないかとあちこちに電話をしたところ、宮城県や岩手県では、人は足りていました。しかし福島に近い場所では、放射能が高かったので人が居なかったのです。放射能を浴びてもいいという覚悟で、実は私も何度か同行させて頂きました。やはり、そういった災害の時にこそ、私たちが社会に恩返しをする絶好の機会だと思っています。先日も墨田区長のところに行きまして、墨田区は災害対策がかなり進んでいる所です。墨田区長ともいろんな話をしてどういう風に行政と対応をしたら良いのかについてお話をしました。また先日、熊本県の周年式典に出席しまして、熊本県の災害担当の方と熊本地震の時にはどんな対応をされたのですかと、いろんなお話をお聞きして、熊本社団の事務所も見学させて頂きました。しかも赤十字の奉仕団の方を紹介して頂いて東京もそういう活動が出来ないかということをお聞きしました。

―各県の支部が健康フェスタ等のブースに出展する等、柔道整復師をアピールする方策については?

私の文京支部では、健康フェスタみたいなところに出展させていただいて、柔道整復師のアピールを行っていますし、各支部でも行っております。柔道整復師の認知度というのは〝接骨院の先生〟といえば分かってくださる人も居りますが〝柔道整復師って何?〟という部分についてはしっかりとアピールしていかなければいけないと思っています。実は当会では、秋の段階で「柔整フェスタ」というのを行おうということで計画をしていましたが、時間的な問題とか、予算的な問題で一旦そこは棚上げになってしまいました。しかしながら来年度はなんとか「柔整フェスタ」を、お祭りみたいな形で柔道整復師をいろいろアピールするような催し物を是非やりたいと考えて、いま準備を進めているところです。実は、今年の夏に沖縄で社団の若い先生を中心にそういう催しを開催しています。やはり若い先生の発想というのは全然違いますので、そういうところを参考にさせていただいて、当会の行事にも是非とも取り入れたいと考えております。

―瀧澤会長は接骨医学会の社会医療分科会に所属されておりますが、社会医療分科会は、どのようなことが求められていると思われますか?

前田和彦先生は医事法がご専門の先生ですから、我々柔道整復師には法律的な知識、解釈等も含めてもっと必要なのではないかということや、法律的なことをどんどんと吸収して実務にも生かしていかなければならないと思ったのが入会の最初の動機です。もう一つは、前田先生の研究室ではありませんが、私も前田先生の学校で社会福祉学修士の勉強をしておりました。社会医療分科会の良いところは社会学、つまり社会医療のかなり様々な分野を研究することが出来ます。従って、長野県の牛山先生がされている歴史的なものに法律がからんでいたり、介護も当然そこに入りますし、行政の対応について研究することもありますから、そういう柔軟性があるところが良い分科会であると思います。一昨年私も、東京の分科会で「コロナ禍の施術と柔道整復師の現状について」の講演をさせてもらいました。実際に接骨院ではどういう対応だったのか、コロナウイルスに対する行政の対応等について述べました。

―今後の展望等について

現在、当会の大命題としては、会員数を増やしていくことです。たくさんの柔道整復師の声を集めて、日整がその声を国に届けるというのが公益社団の職能団体としての本来の在りようだと思っています。柔整業界全体が不安要素を抱えている今こそ、会員数を増やすことを第一命題として掲げております。2つ目は、会員の収入を増やすということです。近年は療養費の減少や、接骨院・整骨院の急激な増加の影響で経営的に苦しんでいる先生も多いです。やはり当会に入っている先生たちの収入が増えるように、生活が豊かになっていくように、いろんな策を講じて先生達のサポートをしたいという風に考えております。3つ目が、柔道整復師として、また都柔整としての誇りを取り戻すことです。都柔整には、我々の先輩たちが長年にわたって地域の発展や健康増進に貢献してきた実績があります。また先輩たちが尽力して築き上げてきた行政との信頼関係もあります。その伝統を引き継いで、その土台の上に新たに発展をさせていきたい。東京都柔道整復師会に入っていて良かったなと思っていただきたいんです。そのためにはやはり会員数も収入も多くなければいけないと思います。「昔は良かったけど、今は大変なんだよ」という先生達をいかに引っ張っていけるか。これからの未来を担う若い先生たちに向けて、夢が持てるように、柔道整復師の仕事に誇りを持って地域に貢献が出来るようにということを目標にしています。

地域との密着については、地域住民の年齢層や文化、生活スタイルなどが大きく変化している以上、やはり新しい形も必要になってくると思います。どんな形に変わっても、その地域でちゃんと柔道整復師の業をしっかりと根付かせれば、その地域からも信用されると思います。東京都が先陣を切って、いろんな改革を行って良いものを作っていこうと、都柔整一丸となって頑張っているところであります。

瀧澤一裕(たきざわかずひろ)氏 プロフィール

1969年8月4日生まれ。東京都出身。瀧澤整骨院院長。2023年公益社団法人東京都柔道整復師会会長に就任。「世代を繋ぐ、未来を紡ぐ」をモットーに会務に尽力中。プライベートでは3児の父。

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