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柔道整復師と介護福祉【第115回:障害福祉サービスの基礎知識ver3】

柔道整復師と介護福祉 特集

共同生活援助(グループホーム)報酬改定の施行時期が決定、処遇改善加算以外は4月開始。新処遇改善加算については令和6年6月1日施行となり、4月と5月については従来の処遇改善加算が適用されます。

基本報酬の見直し

世話人の配置による区分は廃止、手厚い人員配置は加算で評価

現行の基本報酬では、世話人の配置数に応じて区分が設定されています。これは手厚い人員配置を評価するためのものです。しかし今回の報酬改定で、手厚い人員配置は新設の「人員配置体制加算」で評価することになり、基本報酬での評価はなくなりました。これにより世話人の配置数に応じた基本報酬の区分は廃止されます。

その他の主な見直しについて

障害支援区分ごとの基本報酬は、重度障害者の受け入れなどの支援内容や経営実態などを踏まえた単位数に見直されます。一人暮らしやパートナーとの暮らしなどを支える、退居後の支援に対する基本報酬が新設されます。

個人単位での居宅介護などの利用に関する特例措置は延長になりましたが、居宅介護などを8時間以上利用する場合は基本報酬が5%減算となります。

自立生活支援加算(Ⅰ)または(Ⅲ)を算定していた利用者がグループホームを退居した後、利用者の居宅を訪問し、以下の要件を満たす支援を行った場合の基本報酬です。

  1. 退居月から3か月間(市町村が必要と認めた場合は6か月)に限り算定できます。
  2. 一人暮らしなどへの移行にあたって会議を開催し、利用者の意向を反映した個別支援計画を作成すること。
  3. おおむね週1回以上利用者の居宅を訪問して心身や環境、生活の状況などを把握し、情報提供、助言、相談、関係機関との連絡調整などの支援を実施すること。

報酬改定後の基本報酬の単位数

介護サービス包括型の基本報酬

世話人配置4:1以上、5:1以上の区分は廃止されます。

日中サービス支援型の基本報酬

世話人配置3:1以上、4:1以上の区分は廃止されます。

外部サービス利用型の基本報酬

世話人配置4:1以上、5:1以上の区分は廃止されます。

処遇改善加算の見直し

【令和6年3月25日追記】令和6年度の処遇改善関連の加算は一本化され「福祉・介護職員等処遇改善加算」!

令和6年度の報酬改定では、現在の「福祉・介護職員処遇改善加算」「福祉・介護職員等特定処遇改善加算」「福祉・介護職員等ベースアップ等支援加算」が一本化され、新しく「福祉・介護職員等処遇改善加算」になります。今回の改定には、複雑化していた仕組みを整理することで取得しやすい加算にする狙いがあります。なお、改定に対応するために就業規則や賃金規程などの変更が必要な事業所もあることから、令和6年度末まで経過措置期間が設けられています。

福祉・介護職員処遇改善臨時特例交付金

令和6年2~5月分の賃上げを目的として「福祉・介護職員処遇改善臨時特例交付金」が交付されます。これは現行の処遇改善関連加算に上乗せされるものです。対象はベースアップ等支援加算を算定しており(令和6年4月から算定見込みも含む)、令和6年2月分から実際に賃金改善を実施する事業所です。

なお、本交付金は、指定権者が市町村の事業所でも都道府県が届出先です。詳しい要件などは厚生労働省および各都道府県の情報をご確認ください。

新しい処遇改善加算の概要

一本化後の処遇改善加算は、現行の各種加算・各区分の要件や加算率を組み合わせた上で、Ⅰ~Ⅳの4区分に分かれています。

新しい処遇改善加算のイメージと各区分の趣旨

処遇改善加算を除く加減算後の総報酬単位数に、加算率をかけたものが処遇改善加算の単位数になります。なお、令和6年度末までの経過措置期間中は、これまで取得していた3加算の加算率を維持したうえで今回の加算率の引上げを受けられるなど、激変緩和措置が講じられます。

新加算のベースアップ等要件

新しい処遇改善加算では「新加算(Ⅳ)の加算額の1/2以上を月額賃金の改善に充てる」という配分ルールになっています。

職員の生活安定や福祉人材の確保のため、ボーナスなどの一時金ではなく「月給」の向上を実現することが目的です。

現行のベースアップ等支援加算を取得していない場合

現行のベースアップ等支援加算を取得していない事業所が新加算を取得する場合、既にベースアップ等支援加算を取得している事業者との公平性の観点から、新加算のうち現行のベースアップ等支援加算に相当する額の2/3以上の新たな月額賃金改善が必要です。

職種間の賃金配分ルールの統一

職種間の賃金配分ルールは「福祉・介護職員への配分を基本とし、特に経験・技能のある職員に重点的に配分することとするが、事務所内で柔軟な配分を認める」に統一されます。現行加算では職種間での賃金バランスが課題でしたが、事業所ごとの柔軟な運用が可能になります。また特定処遇改善加算におけるグループごとの配分要件がなくなるため、書類なども簡素化される見込みです。

職場環境等要件の見直し

職場環境等要件では障害福祉分野の人材確保に向け、適切な業務分担の推進や離職防止のための取り組みなどが定められています。今回の改定では、取り組み項目数を増やすことや有給休暇取得促進に関する取り組みの具体化、生産性向上および経営の協働化に関する項目の拡充が検討されていますが、実際の見直しは令和7(2025)年度になる予定です。

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