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柔道整復師国家試験対策【第36回:外科学その2】

分野別問題 国家試験対策

先月に引き続き、外科学をお届けします。

問題1 心原性ショックの原因となるものはどれか。

  1. 食道静脈瘤破裂
  2. 心タンポナーデ
  3. 外傷性出血
  4. 薬物中毒

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解答 2

①循環血流量異常、②心臓機能低下、③血流分布不均衡の3つに分類されています。
しかし、従来の分類も覚えておきましょう。なぜなら出題基準がそうなっているからです。内容は以下の通りです。

ちなみに、~原性ショックとは~が原因で起こるショックという意味です。

問題2意識レベル(JCS)で昏睡はどれか。

  1. 20
  2. 30
  3. 200
  4. 300

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解答 4

意識レベルの問題です。
これは一般臨床でも聞かれることがあります。下記は必ず覚えましょう。

Japan Coma Scale (JCS)

意識状態

問題3ハンドル外傷による損傷はどれか。2つ選べ。

  1. 顔面の損傷
  2. 縦隔の損傷
  3. 股関節の損傷
  4. 肝損傷

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解答 2・4

外傷の部分からの問題です。ここではどちらかというと②腹部外傷のほうが頻出ですが、今回はドライバー外傷です。覚えましょう。

①ドライバー外傷

②腹部外傷

車内にいるときのドライバーの位置とフロントガラス、ハンドル、ダッシュボードの位置関係をイメージすれば、間違えることはないはずです。

問題4蜂巣炎について誤っているのはどれか。

  1. びまん性急性化膿性炎症である。
  2. 原因菌としてレンサ球菌とブドウ球菌があげられる。
  3. 波動が触れる。
  4. 切開排膿は無効である。

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解答 3

蜂巣炎(蜂窩織炎)についてです。問題のように膿を排出する炎症と比較して覚えましょう。

蜂巣炎

  • 特徴
    疎性結合組織の中を拡大進行するび慢性急性化膿性炎症。
  • 原因菌
    連鎖球菌、ブドウ球菌
  • 症状
    び慢性腫脹、高熱、熱感 ※膿瘍との鑑別は波動が触れないことである。
    ※切開しても膿の排出はほとんどないため無効。

参考として膿瘍についても記載しておきます。

膿瘍

  • 特徴
    膿が限局性に貯留したもの。 ※体腔に膿が貯留したものを蓄膿という。
  • 症状
    体表の膿瘍では炎症の四主徴の他に波動を触れる。

問題5誤っている組み合わせはどれか。

  1. 丹毒 - 溶血性レンサ球菌
  2. 面疔 - 多発性
  3. 膿瘍 - 波動
  4. 蜂巣炎 - びまん性腫脹

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解答 2

炎症に関する問題です。面疔は顔面にできる「せつ」です。
多発性に生じる「せつ」は「癰(よう)」と言います。以下それ以外の炎症性疾患の特徴です。

  1. 丹毒
    • 特徴
      皮膚や粘膜の表層の急性漿液性炎症である。
    • 原因菌
      溶血性連鎖球菌
    • 好発部位
      眼、鼻腔周囲、下腿、外陰部に多い。
      (他の外科的感染症はブドウ球菌による化膿性炎症であるものが多いです。)
    • 特徴
      毛嚢、皮脂腺への細菌の侵入により、毛嚢を中心に周囲の皮下組織にまで及ぶ限局性の急性化膿性炎症である。
    • 原因菌
      ブドウ球菌、連鎖球菌(まれ)
  2. 面疔
    • 特徴
      顔面に発生した癤をいう。 ※髄膜炎や敗血症を起こしやすい。
    • 原因菌
      ブドウ球菌、連鎖球菌(まれ)
    • 特徴
      多発性に起こる癤をいう。
    • 原因菌
      ブドウ球菌、連鎖球菌(まれ)
  3. 膿瘍
    • 特徴
      膿が限局性に貯留したもの。 ※体腔に膿が貯留したものを蓄膿という。
    • 症状
      体表の膿瘍では炎症の四主徴の他に波動を触れる。
  4. 蜂巣炎
    • 特徴
      疎性結合組織の中を拡大進行するび慢性急性化膿性炎症。
    • 原因菌
      連鎖球菌、ブドウ球菌
    • 症状
      び慢性腫脹、高熱、熱感 ※膿瘍との鑑別は波動が触れないことである。
      ※切開しても膿の排出はほとんどないため無効。

問題6 切開排膿が有効でないのはどれか。

  1. 膿瘍
  2. 蜂巣炎
  3. ひょう疽
  4. 毛のう炎

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解答 2

蜂巣炎は膿をほとんど排出しません。よって切開排膿は無効となります。そのほかの疾患の大事なところは以下の通りです。

  1. ひょう疽
    • 特徴
      指趾の急性化膿性炎症をいう。
    • 症状
      内圧上昇により、神経、血管、骨の破壊を起こすこともあり。拍動性の激痛あり。
    • 治療
      切開排膿が原則 ※抗菌薬は効きにくい。
  2. 毛嚢炎
    • 特徴
      毛嚢に限局した急性化膿性炎症である。
      ※眼瞼にできた場合は麦粒腫といい、いわゆるものもらいとなる。
    • 原因菌
      ブドウ球菌

問題7輸血の副作用に含まれないのはどれか。

  1. 発熱
  2. アレルギー
  3. 循環障害
  4. 胃潰瘍

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解答 4

輸血の副作用については以下の項目だけ覚えましょう。胃潰瘍は熱傷のストレスによるカーリング潰瘍があります。

不適合輸血
輸血後まもなく発熱、胸絞扼感、呼吸困難、血尿などの症状が出現する。

発熱
最も多い。

その他
アレルギー・感染・輸血後移植片対宿主病・循環障害

問題8良性腫瘍の特徴はどれか。

  1. 発育形式は浸潤性である。
  2. 境界は不明瞭である。
  3. 転移はしない。
  4. 発育速度が速い。

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解答 3

良性腫瘍と悪性腫瘍の特徴を覚えましょう。以下の表は病理学でも大事になってきます。
まず腫瘍の分類です。

上皮性腫瘍
→良性、悪性(癌腫)

非上皮性腫瘍
→良性、悪性(肉腫)

腫瘍の比較

問題9一卵生双生児間での移植はどれか。

  1. 自家移植
  2. 同系移植
  3. 同種移植
  4. 異種移植

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解答 2

移植の分類と内容をしっかりと覚えましょう。

問題10献血の適応とならない場合はどれか。

  1. 16歳の女性。
  2. 体重が45㎏の男性。
  3. 肝炎の既往歴がある。
  4. ヘモグロビン量が13g/dlである。

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解答 3

輸血の適応による問題です。覚えにくいですが覚えてください。まず、輸血の適応は「失われた循環血液量の補充」です。供血者の条件として以下の表を覚えましょう。

この条件に当てはまらなければ輸血をしてはいけません。

問題11輸液の目的に当てはまらないのはどれか。

  1. 膠質浸透圧の維持
  2. 酸塩基平衡の調整
  3. 栄養成分の補給
  4. 血球細胞の補給

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解答 4

輸液の目的についての問題です。ぜひ覚えてください。

  • 維持輸液
    水分・電解質を補充する
  • 補充輸液
    異常喪失分の補充
  • 栄養輸液
    栄養分の補給

水分・電解質バランスの維持、膠質浸透圧の維持、酸塩基平衡の調整、栄養成分の補給、血液成分の補給

血球細胞の補給は輸血に含まれます。引っかからないでください。

問題12動脈性出血で誤っているのはどれか。

  1. 鮮紅色で拍動性の出血である。
  2. 緊急止血操作が必要である。
  3. 患部直接圧迫による止血は有効ではない。
  4. 大量に出血が起こる。

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解答 3

出血には下記のような種類がありますが、動脈性出血は緊急を要す出血の一つです。患部を直接圧迫することは完全なる止血操作ではありませんが応急処置として有効です。

問題13 最も抜糸の早い部位はどれか。

  1. 背部
  2. 腹部
  3. 腫脹部
  4. 顔面部

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解答 4

手術についての問題です。以下の内容のみ覚えましょう。
まず問題内容ですが、抜糸ができるということは縫合部が癒着しやすいということです。顔面は皮膚も薄く皮膚が接着しやすいため一番早いです。(美容の問題もあります。) 具体的な日数は以下の通りです。

抜糸法
成人ではおよそ7日です。

問題14誤っている組み合わせはどれか。

  1. 筋膜・筋肉 - 筋膜縫合
  2. 神経 - 神経鞘縫合
  3. 血管 - 外翻縫合
  4. 消化管 - 外翻縫合

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解答 4

各部位の縫合の仕方を問う問題です。血管は外翻縫合です。理由は血栓形成を防ぐためです。
消化管は内翻縫合です。以下、まとめの表です。覚えましょう。

ちなみに皮膚切開法についてのポイントも記載します。覚えましょう。

ランゲル皮膚割線
メスは皮膚のしわと平行に入れ、切開を行う。

問題15全身麻酔でないのはどれか。

  1. 伝達麻酔
  2. 吸入麻酔
  3. 静脈麻酔
  4. 直腸麻酔

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解答 1

麻酔についての問題です。何が局所麻酔なのか、何が全身麻酔なのか覚えましょう。

麻酔の分類

ちなみに吸入麻酔で広く使用される麻酔薬は「笑気ガスN2O」です。

問題16 麻酔前投薬の目的に当てはまらないのはどれか。

  1. 催眠
  2. 鎮静
  3. 気道分泌促進
  4. 鎮痛

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解答 3

麻酔前投薬の目的もよく出題される内容です。覚えましょう。気道分泌促進ではなく抑制です。理由は以下の表の通りです。理由もしっかりと理解して覚えてください。

注意点

  • 高齢者・全身衰弱者は投薬量を少なめにする。
  • アルコール多飲者では多めにする。

問題17脳死の判定基準に含まれないのはどれか。

  1. 意識レベル300
  2. 脈拍消失
  3. 瞳孔固定
  4. 対光反射消失

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解答 2

脳死判定基準についての問題です。定義とともに必ず覚えましょう。

脳死の判定基準

脳死判定基準意識レベル300 = 昏睡状態

定義に心機能は保持されているが・・・という記述があります。基本的に心機能が保持されていれば、脈拍は触れるはずです。脈拍消失を脳死にむすびつけることはできません。

問題18奇異呼吸がみられる胸部損傷はどれか。

  1. 緊張性気胸
  2. 閉鎖性気胸
  3. 動揺性胸郭
  4. 外開放性気胸

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解答 3

奇異呼吸とは吸気時に骨折部胸壁は陥凹し呼気時に膨隆する呼吸のことを言います。それが現れるということは動揺性胸郭を疑いましょう。以下胸部損傷の概要です。必ず覚えましょう。

如何でしたか?
来月は最後になります。関係法規をお届けします。

プロフィール

西村 雅道

医学博士 柔道整復師 鍼灸師
一社)国際整体協会 和整體学院 インストラクター
和整體学院臨床センター センター長

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