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柔道整復師国家試験対策【第33回:整形外科学その1】

分野別問題 国家試験対策

今月からは2ヵ月にわたり整形外科をお送りします。
整形外科学は中々ポイントを絞ることが困難な科目ですが、これまでの出題傾向から比較的出題の多い部分から出題しています。あまり手広く追求しすぎると出口が見えなくなり易いので、最低限のポイントを抑えるぐらいがちょうど良いかと思います。

問題1 X線を使用しない画像診断はどれか。2つ選べ。

  1. 関節造影
  2. CT
  3. 磁気共鳴イメージング
  4. 超音波診断法

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解答 3・4

画像診断でX線を使用するものには必ず「影」の字がつきます。それ以外は暗記しましょう。
以下の内容はさらに覚えなければならない追加事項です。

  1. 骨関節のX線撮影 ※X線使用
    • 単純撮影→前後・側方・斜位・機能撮影を必要に応じて行う。
    • 断層撮影→単純撮影ではっきりしない部位や病変を詳しくみるために行う。
  2. 関節造影 ※X線使用
    • ヨード造影剤を使用。
    • 膝半月損傷、腱板損傷などの診断に有用である。
  3. 脊髄腔造影法 ※X線使用。
    • ヨード造影剤を使用。
    • 脊髄腫瘍、椎間板ヘルニア、脊柱管狭窄症などの診断に有用である。
  4. 血管造影法 ※X線使用。
    • ヨード造影剤を使用。
    • 腫瘍、血管障害の診断や炎症と腫瘍の鑑別に有用。
  5. コンピュータ断層撮影法(CT) ※X線使用。
    • X線撮影したものをコンピュータ処理したもの。
    • 骨破壊、椎間板ヘルニアの診断に有用である。
  6. RIシンチグラフィー
    • 放射能元素を静注しその集積をみる。
    • 炎症や悪性腫瘍のある部位では放射能の高い集積を示す。しかし鑑別は難しい。骨壊死を起こし血流のない部分では逆に放射能の集積を欠く。
  7. 磁気共鳴イメージング(MRI)
    • 骨壊死の診断に有用。
  8. 超音波診断法
    • ガングリオンの診断に有用。

問題2 軟骨無形成症で誤りはどれか。

  1. 常染色体優性遺伝である。
  2. 知能が低下する。
  3. 四肢短縮型の小人症である。
  4. O脚を呈する。

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解答 2

全身性の骨・軟部疾患について問う問題です。
各疾患の遺伝形式は必ず覚えるようにしてください。
そして軟骨無形成症はモルキオ病と比較して出題されます。両者の違いを意識しながら覚えましょう。

  1. 軟骨無形成症
    • 特徴
      常染色体優性遺伝。長管骨の骨幹端が強く障害。
      ※骨は弱くない。※知能正常 ※生命予後良好
    • 症状
      四肢短縮型小人症。鞍鼻、前頭部突出、亀背、側弯、O脚を呈する。
  2. モルキオ病
    • 特徴
      常染色体劣性遺伝。
      ムコ多糖症の一種(Ⅳ型)。骨端、手根、足根が強く障害。
    • 症状
      体幹短縮型小人症。難聴、角膜混濁、扁平椎、鳩胸、外反膝(X脚)
      骨盤がワイングラス状変形を呈す。

問題3骨形成不全症について誤りはどれか。

  1. 常染色体劣性遺伝である。
  2. 病的骨折を起こす。
  3. 青色強膜を呈する。
  4. 難聴を呈する。

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解答 1

骨形成不全症は柔整総論でも病的骨折として出題される可能性があります。
しっかりと覚えてください。

骨形成不全症

  • 特徴
    常染色体優性遺伝。骨基質、コラーゲンの変異
    骨形成長は正常。(骨端軟骨に異常なし)
  • 症状
    骨折しやすい。(容易に治癒する)青色強膜、難聴を呈す。

問題4急性化膿性骨髄炎について正しいのはどれか。2つ選べ。

  1. リンパ行性感染が多い。
  2. 長骨骨幹端に多い。
  3. 疼痛は軽度な持続性鈍痛である。
  4. 慢性化すると難治性となる。

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解答 2・4

疼痛は激痛です。ちなみに安静時にも見られます。注意しましょう。
リンパ行性ではなく血行性です。ちなみに癌の転移はリンパ行性転移が多いです。

以下急性化膿性骨髄炎の重要事項です。覚えましょう。

  • 特徴
    骨の化膿性炎症で原因菌は黄色ブドウ球菌が多い。
    小児に多い。血行性感染が多い。開放性骨折、術後の感染にて発症する。
  • 好発部位
    長骨骨幹端(大腿骨、脛骨、上腕骨)
  • 症状
    腐骨を形成する。疼痛は激痛である。
    ※X線→初発時に所見なし。1~2週で骨膜反応、破壊像を確認できる。
  • 治療
    排膿後に強力な化学療法を行う。
    ※慢性化すると難治性となる。
  • 鑑別診断
    ユーイング肉腫、骨肉腫と鑑別が必要。

問題5 ディシェンヌ型筋ジストロフィーについて誤りはどれか。

  1. 伴性劣性遺伝である。
  2. 男性に現れる。
  3. 非進行性である。
  4. ガワーズ徴候がみられる。

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解答 3

神経・筋系統疾患についての問題です。
進行性筋ジストロフィー(Duchene型)については以下の通り覚えてください。

  • 特徴
    伴性劣性遺伝。進行性に筋の変性をきたす。
    男性にのみ出現。※20歳ころまでに死亡することが多い。
  • 症状
    腰部、肩甲部の筋萎縮 ⇒翼状肩甲
    下腿三頭筋の筋萎縮  ⇒仮性肥大
    登攀性起立(Gowers徴候)、アヒル歩行(動揺性歩行、鵞鳥歩行)、前弯歩行

問題6骨肉腫の好発部位はどれか。

  1. 大腿骨下端
  2. 骨盤
  3. 脊椎
  4. 頭蓋骨

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解答 1

骨肉腫についての問題です。以下のことを覚えましょう。

  • 特徴
    原発性悪性骨腫瘍のうち最多。10~25歳の男子に多い。
  • 好発部位
    大腿骨下端、脛骨上端の骨幹端
  • 症状
    X線像では骨膜反応、スピクラ、コッドマン三角がみられる。
    血清アルカリホスファターゼ値、好中球が上昇する。
  • 治療
    切断、抗がん剤の併用

問題7強直性脊椎炎について正しいのはどれか。

  1. 関節リウマチの特殊型である。
  2. 40歳以上に多い。
  3. 脊柱が後弯する。
  4. 女性に多い。

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解答 1

強直性脊椎炎についての問題です。
脊柱は前弯します。関節リウマチに似ていますが、男性に多いです。
以下、追加事項です。覚えましょう。

  • 特徴
    慢性関節リュウマチの特殊型。※ただし男性に多い。
    10~20歳に多く。仙腸関節、股関節、椎間関節などの大関節が多い。
  • 症状
    脊椎が前彎し、竹棒状の変形(bamboo spine)を示す。※進行性である。
    ※リウマチ因子は陰性、HLA-B27抗原を持つ人が多い。
    ※乾癬性関節炎、潰瘍性大腸炎、クローン病を合併することもある。

問題8女性に起こりやすい骨端症はどれか。

  1. 第1ケーラー病
  2. モートン病
  3. セーバー病
  4. 第2ケーラー病

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解答 4

骨端症の中で女性に多いものとして第2ケーラー病(フライバーグ病)があります。
性別・発症年齢・部位・予後はおさえること!

モートン病は絞扼性神経障害で女性に多い(第3・4中足骨骨頭間)です。

以下各疾患の重要事項です。

  1. 第1ケーラー病
    • 特徴
      足舟状骨の無腐性骨壊死、小児(5~8歳)の男子、※予後は良好
    • 症状
      X線所見では扁平化をみる。
    • 治療
      足底板の挿入
  2. 踵骨骨端症(Sever病)
    • 特徴
      外力の繰り返しにより起こる骨端核の炎症。思春期のあり男子に多い。
      ※症状は自然に消失し、予後良好。
    • 症状
      踵骨後方に疼痛あり。
      ※X線所見→骨端核の硬化、分節化をみる。
    • 治療
      足底板の挿入
  3. 第2ケーラー病(Freiberg病)
    • 特徴
      中足骨頭の無腐性骨壊死、思春期(7~18歳)の女性に多い。
      ※予後は不良
    • 好発部位
      第2中足骨頭
      ※第3・4中足骨頭の場合もあり。
    • 症状
      可動域制限、骨頭部の腫大、変形を呈す。
    • 治療
      足底板の挿入

問題9リウマチの診断基準で誤っているのはどれか。2つ選べ。

  1. 関節の変形
  2. リウマトイド結節
  3. 非対称性関節炎
  4. X線像の変化

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解答 1・3

リウマチの診断基準は以下の通りです。覚えましょう。

  1. 朝のこわばり
  2. 3関節以上の腫脹
  3. 手・MP・PIPの各関節の腫脹
  4. 左右同時の対称性関節炎
  5. リウマトイド因子陽性
  6. 血清リウマトイド因子陽性
  7. X線像の変化

4項目以上を満たせばリウマチと診断されます。
見た目の変形や関節痛などは基準とはなりません。

問題10変形性関節症について誤っているのはどれか。

  1. 関節軟骨に障害がみられる。
  2. 関節液は混濁する。
  3. 高齢者の膝関節に多発する。
  4. 股関節では男性より女性に多い。

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解答 2

関節液は正常では無色または淡黄色の透明で、変形性関節症では黄色透明となります。
化膿性炎症やリウマチでは混濁がみられます。
以下、変形性関節症(OA)の重要事項です。覚えましょう。

  • 特徴
    関節の老化現象による軟骨、骨変性、骨棘形成、嚢胞を生じる。中年以後の女性に多い。
    ※老化現象によるもの 一次性変形性関節症
    ※炎症・外傷によるもの 二次性変形性関節症(先天性股関節脱臼によるOAも二次性!)
  • 好発部位
    膝関節
  • 症状
    自発痛は少ない。運動痛、起床時のこわばり。
  • 治療
    重症の場合は人工関節置換術も考慮する。

問題11脳性小児麻痺について正しいものはどれか。

  1. 脳の進行性障害である。
  2. 最も多いのはアテトーゼ型である。
  3. 痙直型は大脳基底核が障害されている。
  4. 永続麻痺である。

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解答 4

脳性小児麻痺(CP)についての重要事項を覚えましょう。
以下、変形性関節症(OA)の重要事項です。覚えましょう。

  • 特徴
    胎児から新生児(生後4週以内)までに生じた脳の非進行性病変によるもので、永続麻痺を起こす。
  • 原因
    全体として仮死分娩によるものが多い。※新生児の核黄疸によるものは10%
  • 分類

問題12先天性筋性斜頚について誤っているのはどれか。2つ選べ。

  1. 両側性が多い。
  2. 自然治癒はほとんどみられない。
  3. 頭部は患側に屈曲する。
  4. 患側への回旋制限がみられる。

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解答 1・2

頭部は患側に曲がり、顔面は健側に回旋し、回旋制限は患側でみられます。(自分でやってみるとよくわかるはずです)殿位分娩で頭部がひっかかって胸鎖乳突筋に血腫や短絡が発生して起きる病態ですが、一側性で多くが自然治癒します。以下参考内容です。

  1. 先天性筋性斜頚
    • 特徴
      一側の胸鎖乳突筋の血腫・短縮で生じる。殿位分娩に多い。
    • 症状
      胸鎖乳突筋の緊張によって、頭部は患側へ屈曲、顔面は健側へ回旋する。
      ※健側への回旋制限はなし、患側への回旋制限あり。
    • 治療
      殆どが自然治癒する。※マッサージは良くない。
  2. 痙性斜頚
    • 特徴
      精神的要因、錐体外路系障害、パーキンソン症候群などにより頚部筋の発作的緊張が起こり発生する。
  3. 炎症性斜頚
    • 特徴
      椎体前リンパ節炎症に対する反射性緊張によって生じる。
      10歳前後の小児に多い。※予後は良好である。
    • 症状
      C0.1.2間で回旋位拘縮が起こる。※まれに残存することもある。

問題13次のうち誤っているのはどれか。

  1. 尺骨神経麻痺 ― ギヨン管症候群
  2. 橈骨神経麻痺 ― 母指橈側外転不可能
  3. 腕神経叢麻痺 ― 分娩麻痺
  4. 正中神経麻痺 ― モンテギア骨折

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解答 4

モンテギア骨折の際には橈骨神経が損傷されるときがあります。
以下、それ以外の末梢神経損傷の注意事項です。

  1. 橈骨神経麻痺
    • 特徴
      上腕骨骨幹部骨折、上腕骨顆上骨折、モンテギア骨折でみられる。
    • 症状
      知覚障害は母指と示指との背側指間部のみが固有支配域でそこが障害される。
  2. 正中神経麻痺
    • 特徴
      上腕骨顆上骨折後、フォルクマン拘縮、手根管症候群で発生。
    • 症状
      高位麻痺では祝禱指位をとる。
  3. 尺骨神経麻痺
    • 特徴
      肘部管症候群、ギヨン管症候群で発生。
    • 症状
      骨間筋麻痺のため2~5指の開排不能。Fromentサイン陽性。

問題14予後が悪いのはどれか。2つ選べ。

  1. 第一ケーラー病
  2. キーンベック病
  3. パンナー病
  4. 年長児のペルテス病

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解答 2・4

骨端症は各疾患を一つずつ覚えることも大事ですが、以下のようにそれぞれの特徴から疾患を絞りだせるようにしましょう。

  1. 成人で発症するもの
    キーンベック
  2. 女子に多いもの
    ブラウント、フライバーグ
  3. 予後良好のもの
    小児のペルテス、年長児のブラウント、オスグット、第1ケーラー

このように覚えましょう。

問題15筋萎縮性側索硬化症について正しいのはどれか。

  1. 眼球運動障害がみられる。
  2. 構音障害がみられる。
  3. 感覚障害がある。
  4. 女性に多い。

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解答 2

球麻痺(延髄運動神経細胞の障害)による構音障害が見られます。

※以下、補足事項です。

  • 特徴
    原因不明の脊髄前角細胞、脳幹運動細胞の変性
    20歳以上で発症。(60歳前後の男性が多い。)
    進行性で予後不良
  • 症状
    四肢筋萎縮(上位筋から左右非対称に筋力低下は進む。)
    運動麻痺(最終的に呼吸筋麻痺で死亡)
    球麻痺(嚥下障害、構音障害、舌の萎縮麻痺)
    ※膀胱直腸障害、知覚障害はない

問題16腰椎椎間板ヘルニアで正しいのはどれか。

  1. L5/S1が最も多い。
  2. X 線では確定診断できない。
  3. ラセーグテストは上位腰椎の病変を調べる。
  4. L5神経根障害のときは前脛骨筋の筋力が低下する。

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解答 2

椎間板はX線には写らないため確定診断はできません。ラセーグテスト(SLR)は下位神経根の検査法です。ちなみに上位はFNSテストです。

以下、椎間板ヘルニアの補足事項です。

頚椎椎間板ヘルニア

  • 特徴
    30歳代以降に多い。※スパーリングテスト、ジャクソンテスト
  • 好発部位
    C4.5.6頚椎間に多い。

腰椎椎間板ヘルニア

  • 特徴
    20~40歳に多い。
    ※FNSテスト(大腿神経伸展試験)
    ※ラセーグテスト(下肢伸展挙上テスト)
    ※X線像にて椎間板の狭小化あり→確定診断にはならず。MRIは確定診断できる。
  • 好発部位
    L4.5間、L5.S1間、L3.4の順に多い。

プロフィール

西村 雅道

医学博士 柔道整復師 鍼灸師
一社)国際整体協会 和整體学院 インストラクター
和整體学院臨床センター センター長

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