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柔道整復師国家試験対策【第32回:リハビリテーション医学 その2】

分野別問題 国家試験対策

本日はリハビリテーションの2回目です。
今回も前回と同様に基礎的な部分を中心にお送りしていますので基礎固めに利用して下さい。

問題

問題1リハビリテーションの概念で誤りはどれか。

  1. 完全参加とは障害者がまとまり平等に活動することである。
  2. 障害の原因となる疾病を防ぐ。
  3. 障害を予測しその軽減を図る。
  4. リハビリテーションは本来復職、復権、名誉回復の意味がある。

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解答 1

完全参加とは、「障害者は一人の人間として評価されるべきで、非障害者と差別されてはならない。」ということです。(障害者に対する社会的な偏見を除去しなければならない)

※補足事項

リハビリテーションの定義
「障害を受けた者を、彼のなし得る最大の身体的、精神的、社会的、職業的、経済的な能力を有するまでに回復させることである。」

リハビリテーションの理念

  1. 総合的リハビリテーション
    医学的リハビリテーションだけでなく職業的、社会的、心理的視野から障害者を見て行う。=機能の改善だけを求めるだけでなくQOLの向上を目指す。
  2. 自立生活
    日常生活における他人への依存を最小にするために、自分で納得できる選択に基づいて、自らの生活をコントロールすること。
    例→自分の仕事を自分でやりとげること。自分で意思決定すること。
    ※ 介助を受ける場合でも、障害者が主であり介助者が従という関係が望ましい。

問題2 能力低下の解決方法で誤りはどれか。

  1. 日常生活動作訓練
  2. 家屋改造
  3. 残存機能の利用
  4. 利き手交換

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解答 2

家屋改造は社会的不利に対する解決方法です。
国際障害分類をマスターするのは難しいですが、最低限こちらをマスターしましょう。

問題3 誤った組合せはどれか。

  1. カバット・ノット法 ─ PNF
  2. フェイ法 ─ 感覚刺激
  3. ボイダ法  ─ 脳性麻痺
  4. ブルンストローム ─ 脳卒中

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解答 2

中枢神経系障害に対する運動療法には以下のものがあります。

  1. フェイ法
  2. ボバース法
    片麻痺・脳性麻痺に用いる。
  3. ボイダ法
    脳性麻痺に用いる。
  4. ルード法
    感覚刺激によって筋収縮を引き出したり抑制する。
  5. カバット・ノット法
    PNF(固有受容性神経筋促通法)
  6. ブルンストローム法
    脳血管障害から生じる共同運動パターンを中心に組み立てて行う訓練法より も片麻痺回機序が有名。
  7. フレンケル体操
    深部感覚障害による失調に対する体操。

組合せ問題の出題率が高いです!覚えましょう。

問題4廃用症候群に含まれないのはどれか。

  1. 静脈血栓症
  2. 失禁・便秘
  3. 起立性低血圧
  4. 関節強直

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解答 4

廃用症候群には以下のものがあります。これをヒントに覚えてください。

問題5深達度が最も深い温熱療法はどれか。

  1. ホットパック
  2. 赤外線
  3. 超音波
  4. 極超短波

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解答 3

問題6超音波療法について誤りはどれか。2つ選べ。

  1. 最も深部に到達できる。
  2. 体内に金属があると使用できない。
  3. ペースメーカー使用者には使用できない。
  4. 浮腫に使用できる。

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解答 2・3

超音波はペースメーカー、体内金属どちらも施術できます。
※以下補足事項です。

問題7自助具はどれか。2つ選べ。

  1. リーチャー
  2. リフター
  3. 手すり
  4. 多機能ベッド

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解答 1・3

自助具とは、障害者が使用するもので、目的の動作の手助けをするものです。下記のものがあります。

  1. 食事用自助具
  2. 整容動作自助具(メーク用具を含む)
  3. トイレ用自助具
  4. 入浴用自助具
  5. 通信用、事務用自助具
  6. 炊事用自助具(頚髄損傷・脳血管障害・慢性関節リウマチ患者の日常生活用具)
  7. 更衣用自助具(ボタンエイド・ソックスエイド)
  8. リーチャー

※下肢長に注意しましょう。

問題8車椅子の部品でないのはどれか。

  1. キャスター
  2. ハンドリム
  3. リフター
  4. フットレスト

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解答 3

リフターとは介護機器です。スキーのリフトを思い浮かべてください。

以下車椅子のパーツです。教科書でシェーマも見ましょう。

大車輪・ハンドリム・自在輪・背もたれ・にぎり・座席・肘当て・ブレーキ・レッグレスト・フットレスト・がわ当て・たすき・ハブ・ティッピングレバー・バックパイプ・ベースパイプ・バンパー・フロントパイプ

問題9小脳性運動失調の特徴でないのはどれか。

  1. 筋トーヌスの低下
  2. 反復変換運動障害
  3. 踵膝テスト陽性
  4. 固縮

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解答 4

固縮は主にパーキンソン病で見られる症状です。単なる小脳障害では起こりづらいです。

※以下運動失調の補足事項です。

  1. 小脳性運動失調
  2. 深部感覚障害による運動失調=脊髄性運動失調
    ・脊髄後索障害
    ・ロンベルグ徴候陽性―閉眼により倒れる。
    ・歩行障害は視覚代償により計測歩行を行う。
  3. 迷路性運動失調
    ・起立位、歩行位においての平衡障害。
    ・四肢運動障害は無い。ロンベルグ徴候陽性
    ・歩行は千鳥足。必ず眼振を伴う。

問題10 次の中で日常生活に最も支障をきたす失語症はどれか。

  1. ブローカ失語
  2. ウェルニッケ失語
  3. 健忘失語
  4. 伝導失語

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解答 2

失語症を重症度順に並べると、全失語→ジャーゴン→ウェルニッケ失語→ブローカ失語→健忘失語→伝導失語です。これは必ず覚えましょう。さらに余裕があるなら下記表も覚えてください。

問題11片麻痺患者に対する指導で誤りはどれか。

  1. 衣服は患側から脱ぐ。
  2. 階段は健側から昇る。
  3. 敷居は患側から杖と一緒にまたぐ。
  4. 溝は健側から越える。

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解答 1

下記内容を覚えてしまいましょう。

衣服(脱) →健側から
衣服(着) →患側から
階段(昇) →健側から
階段(降) →患側から
溝を越える →健側から
敷居をまたぐ→患側から杖と一緒に
自動車に乗る→健側から

問題12 脳卒中について誤りはどれか。

  1. 老人では脳出血が脳梗塞より多い。
  2. 痙性麻痺から弛緩性麻痺に変化する。
  3. 言語障害には失語症と構音障害とがある。
  4. 仮性球麻痺では嚥下障害が起こる。

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解答 2

弛緩性麻痺から痙性麻痺に移行します。
脳卒中の回復機序を復習しましょう。脳卒中発生後はある決まった経過をたどります。それを脳卒中回復機序といいます。覚えましょう。

  • 連合反応
    一部の筋に強い収縮を起こさせると他の部位の筋に収縮を起こさせられる。
    例:片麻痺で健側を収縮させることにより患側に収縮を起こす事が出来る。
  • 共同運動
    随意的に運動を起こせるが、その運動は一定の組み合わせのみで発生する。
    間接的に運動を起こす。
    例:膝関節を屈曲したいときは股関節を屈曲させる。

問題13第6頚髄損傷で可能な動作はどれか。

  1. 坐位
  2. 起き上がり
  3. 寝返り
  4. プッシュアップ

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解答 3

下記はある高さが障害された場合、どこまでの動作が可能かという表です。覚えましょう!

問題14脊髄損傷の合併症にみられないのはどれか。

  1. 排尿障害
  2. 褥創
  3. 失認
  4. 関節拘縮

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解答 3

脳卒中の合併症

  1. 運動障害
    片麻痺 筋固縮(鉛管現象、歯車様現象などの錐体外路障害)と不随意運動。
    失調症(測定障害、交互運動障害、企図振戦、失調性歩行)
  2. 感覚障害
    ※運動麻痺の程度とは必ずしも一致しない。
  3. 言語障害
    失語症 構音障害
  4. 失行と失認
  5. 排泄障害
    ※初期は尿閉、後期は失禁・頻尿  ※便秘になりやすい。
  6. 嚥下障害
    仮性球麻痺が多い。
  7. 視野障害
  8. 神経症状と心理症状

脊髄損傷の合併症

  1. 排尿障害
    完全尿閉-自動膀胱-自律膀胱となる。尿路結石、尿路感染症となりやすい。
    ※排尿後の残尿量は50ml以下が望ましい。
  2. 褥瘡
    予防手段として体位変換が重要 ※可能であれば2時間ごとに行う。
  3. 痙性
    治療として、筋弛緩剤の投与などがある。
  4. 関節拘縮
  5. 痛み
    心理面も関与している。
  6. 排便障害
    排便感覚は毎日出なくても、1~2日おきでもよい。
  7. 自律神経機能障害
    <起立性低血圧>
    T5以上の脊髄損傷では、交感神経も麻痺して血管収縮が傷害。
    <自律神経過反射>
    高位損傷者(T5以上)に見られる急激な高血圧きたす反射現象。
    ※脳から抑制が無くなる為、麻痺域からの刺激によって交感神経が異常興奮して起こる。
    ※血圧は200mmHg以上にもなり、徐脈・頭痛・悪感・非麻痺域の発汗が起こる。
    <うつ熱>
    上位胸髄損傷・頚髄損傷では麻痺域の発汗が無い為、体温調節ができない。
    ※夏季にうつ熱になりやすい。
  8. 異所性骨化
    股関節・膝関節を中心として発症しやすい。

失行と失認は高次脳機能障害と言われ、脳に障害がおきたときに見られます。注意しましょう。

問題1525歳男性。交通事故による頚椎脱臼骨折で頚髄損傷となる。 受傷直後より排尿障害に陥った。
この患者の適切な排尿後残尿量はどれか。

  1. 50ml
  2. 100ml
  3. 150ml
  4. 200ml

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解答 1

脊髄損傷の合併症の中に排尿障害があります。そのため、残尿後の残尿量に基準が設けられています。
くわしくは以下参考及び覚えましょう。

脊髄損傷の合併症

  1. 排尿障害
    完全尿閉-自動膀胱-自律膀胱となる。尿路結石、尿路感染症となりやすい。
    ※排尿後の残尿量は50ml以下が望ましい。
  2. 褥瘡
    予防手段として体位変換が重要。※可能であれば2時間ごとに行う。
  3. 痙性
    治療として、筋弛緩剤の投与などがある。
    ※痙性の問題点
    ・拘縮の原因になりやすい。
    ・体位変換が困難となり褥瘡をおこしやすい。
    ・寝具、尿具、食器をはねのけたりしてADLに支障をきたす。
  4. 関節拘縮
  5. 痛み
    心理面も関与している。
  6. 排便障害
    排便感覚は毎日出なくても、1~2日おきでもよい。
    ※対策
    ・十分な水分を摂る。
    ・線維成分の多い食物を摂る。
    ・下剤や坐薬、浣腸の使用。
    ・用手摘便
    ・肛門部の刺激など、排便反射の誘発。
  7. 自律神経機能障害
    <起立性低血圧>
    T5以上の脊髄損傷では、交感神経も麻痺して血管収縮が傷害。
    <自律神経過反射>
    高位損傷者(T5以上)に見られる急激な高血圧きたす反射現象。脳から抑制が無くなる為、麻痺域からの刺激によって交感神経が異常興奮して起こる。血圧は200mmHg以上にもなり、徐脈・頭痛・悪感・非麻痺域の発汗が起こる。
    <うつ熱>
    上位胸髄損傷・頚髄損傷では麻痺域の発汗が無い為、体温調節ができない。
    夏季にうつ熱になりやすい。
  8. 異所性骨化
    股関節・膝関節を中心として発症しやすい。

問題16アテトーゼ型脳性小児麻痺で誤った特徴はどれか。

  1. 原因には水頭症がある。
  2. 大脳基底核、中脳の障害である。
  3. 四肢麻痺を呈することが多い。
  4. 知能低下はない。

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解答 1

小児麻痺の分類と特徴を簡単に記して起きます。

痙直型
最も多い。
 原因は未熟児、水頭症など
 大脳皮質運動野(錐体路)の障害。
 ※出産時外傷による場合は片麻痺になりやすい。※はさみ状歩行を呈す。

アテトーゼ型
痙直型に次いで多い。
原因は出産時無酸素脳症、核黄疸など。
大脳基底核、中脳の障害
※顔面、四肢の不随意運動を生じる。
※四肢麻痺を呈する事が多い。
※知能低下はなし。      

失調型
原因は水頭症など。小脳の障害。

問題17五十肩の体操はどれか。

  1. ウィリアムズ体操
  2. コッドマン体操
  3. フレンケル体操
  4. ベーラー体操

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解答 2

  1. ウィリアムズ体操は腰痛体操です。
  2. コッドマン体操は五十肩の体操です。
  3. フレンケル体操→問題3の解説参照のこと。
  4. ベーラー体操は腰椎椎体圧迫骨折(脊椎伸展運動による腰仙筋強化)の体操です。

プロフィール

西村 雅道

医学博士 柔道整復師 鍼灸師
一社)国際整体協会 和整體学院 インストラクター
和整體学院臨床センター センター長

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