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柔道整復師国家試験対策【第30回:衛生学 その2】

分野別問題 国家試験対策

皆様こんにちは。今月も先月に引続き衛生学をお送りします。

問題

問題1第二種の学校伝染病はどれか。2つ選べ。

  1. 結核
  2. 麻疹
  3. ポリオ
  4. ジフテリア

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解答 1・2

学校伝染病は以下をポイントとして覚えましょう。

学校伝染病の分類は平成19年から改正されました。注意しましょう。

  1. 第一種
    1類+2類感染症(下記参考)から結核を除いたもの。
  2. 第二種
    インフルエンザ、百日咳、麻疹、流行性耳下腺炎、風疹、水痘、咽頭結膜熱、結核
  3. 第三種
    コレラ、細菌性赤痢、腸管出血性大腸菌感染症、腸チフス、パラチフス、流行性角結膜炎、急性出血性結膜炎、その他伝染病

以下参考

問題2 最も古い職業病はどれか。

  1. ケイソン病
  2. 白ろう病
  3. 酸欠症
  4. じん肺

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解答 4

じん肺は最も古いもので有名です。
以下、職業病についての補足事項です。覚えましょう。

問題3誤っている組み合わせはどれか。2つ選べ。

  1. 熱中症 ─ 白ろう病
  2. 振動障害 ─ デェーンソー作業
  3. 有機溶剤中毒 ─ ベンゼン
  4. じん肺 ─ トルエン

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解答 1・4

職業病についての問題です。下記の表を覚えてください。
まず職業病とは「職場の労働環境や作業条件によって引き起こされる人為な病気」のことを言います。

上記の通り、白ろう病は振動障害に含まれます。じん肺はアスベスト(石綿)によるものです。
ベンゼン・トルエンは有機溶剤中毒に含まれます。

問題4平成16年の学校管理下における死亡原因で最も多いのはどれか。

  1. 突然死
  2. 自殺
  3. 頭部外傷
  4. 溺死

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解答 1

学校管理下での死亡原因は、1位は突然死(約60%)、2位は頭部外傷・溺死です。
学校管理下とは学校内で起こる死亡原因とも言い換えることができます。学校保健対象年齢に対する死亡率とは別の内容です。引っかからないようにしてください。

問題5 被用者保険でないのはどれか。

  1. 船員保険
  2. 共済組合
  3. 社会保険
  4. 国民健康保険

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解答 4

医療保険については将来業務を行う上で、必要不可欠な知識です。
下記の通り分類されます。覚えましょう。

被用者保険…被保険者が事業所で働く人々

  1. 社会保険(健康保険)
    組合管掌健康保険、政府管掌健康険
  2. 船員保険
    加入者は船員
  3. 共済組合
    加入者は教職員

国民健康保険…被保険者が一般地域居住者(自営業の人など)

問題6 喫煙と関係がないのはどれか。

  1. 急性膵炎
  2. 食道癌
  3. 急性心筋梗塞
  4. 肺扁平上皮癌

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解答 1

一般臨床参照 急性膵炎と喫煙との関連は低いと思われます。

その他衛生学で喫煙と関連して覚えなくてはならないものを記載します。

ブレスローの7つの健康習慣
適正な睡眠時間。喫煙をしない。適正体重を維持する。過度の飲酒をしない。定期的にかなり激しい運動をする。朝食を毎日食べる。間食をしない。

問題7精神の病気について正しいのはどれか。

  1. 躁うつ病は自然に回復することが多い
  2. 神経症の治療は薬物療法が主である
  3. 統合失調症は男性に多くみられる
  4. アルコール依存症は低下傾向にある

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解答 1

以下のようになります。

  1. 神経症の治療は精神療法が主である。
  2. 統合失調症には男女差はない。
  3. アルコール依存症は増加傾向にある。(ストレス+飲酒の大衆化などによる。)
  4. 以下参考です、余力があれば覚えましょう。
  • てんかんは医学上精神病に入らないとする人も多い。
    →脳の慢性障害のため。
    行政上は精神保健福祉法の対象となりうる。
  • 神経症は精神障害のひとつだが、精神病ではない。
  • 一般に精神病とされるもの
    →総合失調症、躁うつ病。

問題8措置入院を行うことができるのはどれか。

  1. 都道府県知事
  2. 保健所長
  3. 厚生労働大臣
  4. 指定医

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解答 1

精神保健における入院医療の入院形式には下記のものがあります。覚えましょう。

入院形式

問題9わが国の現在(平成16年)の下水道処理人口普及率は次のうちどれか。

  1. 約97%
  2. 約81%
  3. 約75%
  4. 約68%

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解答 4

下水道処理人口普及率(平成16年現在)→68.1%
※欧米諸国に比べると低率です。(イギリス97%)

そのほか下水道における注意事項

下水道の浄化
→嫌気的処理 (腐敗層、イムホフ槽、消化槽を用いる。)
→好気的処理 (ばっ気槽を用いる活性汚泥法が主体。)

問題10有機物質の浄水処理過程で生成される発癌物質はどれか。

  1. トリクロロエチレン
  2. 遊離残留塩素
  3. カドミウム
  4. トリハロメタン

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解答 4

以下のようになります。

  1. 有機溶剤であり、合成原料、洗剤、溶剤で使用され、地下水汚染が問題となっている。
  2. 浄水場での消毒の際に塩素と水が反応してできる。水中に溶存している有効塩素。
  3. 4大公害裁判の1つで、イタイイタイ病の原因物質。

※以下参考です。覚えましょう。

  • 井戸水の検査
    衛生研究所または保健所が行う。
  • ミルス・ラインケ現象
    上水道のろ過給水が水系伝染病の死亡率のみならず、一般の死亡率も減少させるという現象。

問題11屋内の空気汚染において重い中毒にかかる危険性があるのはどれか。

  1. 窒素酸化物
  2. 一酸化炭素
  3. 二酸化炭素
  4. メタノール

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解答 2

一酸化炭素は不完全燃焼時に発生し、ヘモグロビンと強く結合するため、酸素の利用を妨げます。
空気中の一酸化炭素が5000ppmでは死亡します。
屋内空気汚染の基準値です。覚えましょう。

一酸化炭素 = 10ppm以下

二酸化炭素 = 0.1%以下
※学校では0.15%以下

問題12 屋内気候基準の項目に含まれないのはどれか。

  1. 湿度
  2. 換気量
  3. 気流
  4. 温度

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解答 2

屋内気候の基準項目:温度、湿度、気温、感覚温度です。

問題13食中毒を起こすものでないのはどれか。

  1. クリプトスポリジウム
  2. 黄色ブドウ球菌
  3. レジオネラ菌
  4. 腸炎ビブリオ

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解答 3

レジオネラ症(在郷軍人病)はレジオネラ菌による感染症で、院内肺炎を起こします。食中毒との関連は低いです。以下、食中毒についてポイントをまとめました。覚えましょう。

  1. 病因物質の順位
    1位はブドウ球菌 2位はサルモネラ菌 3位は腸炎ビブリオ
  2. 食前加熱無効のもの
    黄色ブドウ球菌のエンテロトキシン、フグ毒のテトロドトキシン、ボツリヌス菌の芽胞
  3. 神経麻痺症状を起こすもの
    ボツリヌス菌のボツリヌス毒素、フグ毒のテトロドトキシン、毒キノコの一部
  4. 潜伏期間の短いもの
    黄色ブドウ球菌のエンテロトキシン、フグ毒のテトロドトキシン

問題14毒素型食中毒を起こすものでないのはどれか。2つ選べ。

  1. 黄色ブドウ球菌
  2. サルモネラ属菌
  3. 腸炎ビブリオ
  4. セレウス菌

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解答 2・3

食中毒に関する重要なものには下記表を参照の上覚えましょう。どれも大事な内容です。

問題15食中毒による病因で最も多いのはどれか。

  1. ブドウ球菌
  2. 腸炎ビブリオ菌
  3. サルモネラ菌
  4. ボツリヌス菌

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解答 1

解答の通りです。
以下、食中毒についてポイントをまとめました。覚えましょう。

  1. 病因物質の順位
    1位はブドウ球菌 2位はサルモネラ菌 3位は腸炎ビブリオ
  2. 食前加熱無効のもの
    黄色ブドウ球菌エンテロトキシン、フグ毒テトロドトキシン、ボツリヌス菌の芽胞
  3. 神経麻痺症状を起こすもの
    ボツリヌス菌ボツリヌス毒素、フグ毒テトロドトキシン、毒キノコの一部
  4. 潜伏期間の短いもの
    黄色ブドウ球菌エンテロトキシン、フグ毒テトロドトキシン

問題16保健所の事業について誤っているものはどれか。

  1. 助産師に関する事項
  2. 人口動態統計に関する事項
  3. 歯科保健に関する事項
  4. 食品衛生に関する事項

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解答 1

助産師に関する事項はありません、保健師に関する事項が正解です。
それ以外、保健所の事業には下記のものがあります。覚えましょう。

  1. 人口動態統計、母子保健、老人保健、精神保健、歯科保健
  2. 特定疾患など長期療養者の保健
  3. 感染症予防(AIDS、結核、性病など)
  4. 栄養改善、食品衛生(国民栄養調査(毎年)食中毒予防対策など)
  5. 環境衛生(住宅環境上下水道管理など)

問題17 医療機関の廃棄物処理について誤っているのはどれか。

  1. 処分委託後でも排出者に責任がある。
  2. 自分の病院での焼却はしてはいけない。
  3. 処理業者は都道府県の許可が必要である。
  4. オートクレーブ滅菌後のガーゼは一般廃棄物としてみなされる。

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解答 2

病院内で密閉した容器で運搬し、焼却・滅菌処理後に一般廃棄物として処理可です。以下廃棄物処理について重要なものです。覚えましょう。

廃棄物

  1. 一般廃棄物(ゴミとし尿)
    市町村が処理。
  2. 産業廃棄物(汚泥など)
    事業者の責任で処理。放射能性物質はのぞく。
  3. 医療機関のゴミ
    焼却・オートグレーブで滅菌したものは一般廃棄物として処理。

1日1人当たり約1kgのゴミを排出

ゴミ処理方法
1位は焼却、2位は埋め立て

バーゼル条約
有害廃棄物の国境を越える移動、及びその処分の規制に関する条約。

問題18終末医療に関係がないのはどれか。

  1. アルマ・アタ宣言
  2. 尊厳死
  3. ターミナルケア
  4. ホスピス

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解答 1

終末医療とは現代の医療では治癒の見込めない終末期にあるがん・難病などの患者を対象に、全人的な観点にたって痛みの緩和などを中心に行われるケアのことをいいます。
関連キーワードとしては、ホスピス、尊厳死です。

  • ターミナルケアとは終末医療のことです。
  • アルマ・アタ宣言とはWHOがアルマ・アタで行った宣言で、発展途上国の保健・医療サービスの供給へのアプローチを唱えたものです。

プロフィール

西村 雅道

医学博士 柔道整復師 鍼灸師
一社)国際整体協会 和整體学院 インストラクター
和整體学院臨床センター センター長

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