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柔道整復師国家試験対策【第28回:運動学 その2】

分野別問題 国家試験対策

今回も前回に引き続き運動学をお届けします。
前回の部分の復習要素もありますので活用してください。

問題

問題1主要姿勢筋群ではないものはどれか。

  1. 頚部伸筋群
  2. 脊柱起立筋群
  3. 大腿二頭筋
  4. 腓腹筋

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解答 4

抗重力筋とは重力に抗して立位姿勢を保持する筋(=重心線のずれを補正する筋)をいいます。
下記の表を参考に覚えましょう。

この他主要姿勢筋群と言われるものがあります。それも覚えましょう。

主要姿勢筋群
頚部伸筋群、脊柱起立筋群、ハム、ヒラメ筋

問題2肩関節の水平屈曲、水平伸展運動について正しいのはどれか。2つ選べ。

  1. 運動軸は垂直軸である。
  2. 運動軸は水平前頭軸である。
  3. 運動面は前頭面である。
  4. 運動面は水平面である。

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解答 1・4

肩関節の運動方向と面、軸の関係をマスターしましょう。

肩関節の水平屈曲、水平伸展の運動
→水平面、垂直軸

肩関節の屈曲、伸展
→矢状面、水平前頭軸

肩関節の外転、内転
→前頭面、水平矢状軸

※参考

①矢状面
→身体を前から後ろに通り、左右に二分する垂直面

②前頭面(前額面)
→身体を前後に二分する垂直面

③水平面
→身体を上下に二分する面
①垂直軸
→垂直方向の軸 水平面と同じ運動
例 顔を横に向ける、上肢の回内回外

②水平矢状軸
→前後方向の軸 前頭面と同じ運動
例 頭を横に倒す、上肢の横に上げる

③水平前頭軸
→左右方向の軸 矢状面と同じ運動
例 頭を前に倒す、膝を曲げる

問題3てこについて正しいのはどれか。2つ選べ。

  1. 股関節と中殿筋の関係は第3のてこである。
  2. 小さな力で大きな荷重に対抗できるのは第2のてこである。
  3. 荷重点が中心に位置するのは第2のてこである。
  4. 運動のスピードが速いのは第1のてこである。

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解答 2・3

股関節と中殿筋の関係は第1のてこです。
運動のスピードが速いのは第3のてこです。

※参考 「てこ」とは下記の三つの重要点があり、それらの順序で3つの「てこ」に分かれます。
・支点(a)・力点(f)・荷重点または作用点(w)

  1. 第1のてこ(シーソー型、安定性のてこ)
    ・支点が真ん中・環椎後頭関節と頚部伸筋群の関係・股関節と中殿筋の関係
  2. 第2のてこ(力のてこ)→小さな力で大きな荷重に対抗できる。力の効率が良い。
    ・荷重点が真ん中・顎関節と舌骨上筋群の関係・肘関節と腕橈骨筋の関係
  3. 第3のてこ(運動のてこ)→小さな荷重でも大きな力を必要とする。効率悪い。運動のスピードが速い。
    ・人体中もっとも多い。・力点が真ん中・肘関節と上腕二頭筋の関係
    ・膝関節とハムストリングスの関係

問題4肩甲骨に作用する筋で間違った組み合わせはどれか。

  1. 僧帽筋下部 ― 引き下げ
  2. 前鋸筋   ― 外転
  3. 小胸筋   ― 上方回旋
  4. 菱形筋   ― 内転

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解答 3

筋のおさらいです。最低限覚えましょう。

僧帽筋  停止=肩峰、肩甲棘、鎖骨外側1/3
     作用=上部→挙上
        中部→内転
        下部→引き下げ
        全体→上方回旋、内転

前鋸筋  停止=肩甲骨内側縁
     作用=外転、上方回旋

小胸筋  停止=烏口突起
     作用=外転、引き下げ、下方回旋

菱形筋  作用=肩甲骨挙上、内転、下方回旋

問題5 肩関節の内旋に作用する筋はどれか。

  1. 大胸筋
  2. 三角筋
  3. 棘下筋
  4. 小円筋

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解答 1

同じく筋のおさらいです。最低限覚えましょう。

大胸筋  停止=大結節稜
     作用=内転・内旋

三角筋  前部→屈曲、水平屈曲
     中部→外転
     後部→伸展、水平伸展
     全体→外転

棘下筋  停止=大結節
     作用=外旋

小円筋  停止=大結節
     作用=外旋

問題6膝関節について誤っているのはどれか。

  1. 外側半月の形状はO字状である。
  2. 前十字靭帯は大腿骨が前方に移動するのを防ぐ。
  3. 膝関節は完全伸展位になる時に外旋し、完全伸展位からの屈曲初期に内旋する。
  4. 側副靭帯は膝関節伸展時に緊張する。

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解答 2

前十字靭帯は脛骨が前方に出るのを防ぎます。その他、膝関節の機能を簡単にまとめました。覚えましょう。 膝関節は形態的には外側顆が大きい。しかし関節面は内側顆の方が大きい。

  • 内・外側側副靱帯
    →内側側副靱帯は内側半月に付着する。
  • 前・後十字靱帯
    →前十字靱帯は脛骨が前方へ移動するのを防ぐ。
     後十字靱帯は脛骨が後方へ移動するのを防ぐ。
  • 伸展時弛緩する靱帯
    →後十字靱帯のみ
  • 屈曲時弛緩する靱帯
    →内・外側側副靱帯
  • 内・外側半月
    →内側半月はC字、外側半月はO字
    ※役割
     適合性、可動性を良好にする。
     緩衝作用
     内圧を平均化
     滑液の分散化

膝関節の運動

  • 完全伸展位から
    屈曲初期→ころがり運動
    中間期 →ころがり・すべり運動
    屈曲終期→すべり運動
    ※外側顆のほうがころがり運動が強い。
  • 終末強制回旋運動
    →完全伸展位になるときに外旋運動をする。
    ※完全伸展位から屈曲初期するとき内旋運動をする。

問題7 誤っているのはどれか。

  1. 恥骨筋の作用は股関節の屈曲と内転である。
  2. 大腿骨頭靭帯は股関節の内転のみで緊張する。
  3. 大殿筋の作用は股関節の伸展と外旋である。
  4. 縫工筋の作用は膝関節の伸展と外旋である。

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解答 4

筋のおさらいです。縫工筋は解剖学でも重要で覚えなくてはならないものです。他選択枝も覚えましょう

縫工筋
→起始=上前腸骨棘
 停止=脛骨粗面内側(鵞足の形成)
 作用=股関節の屈曲・外転・外旋+膝関節の屈曲・内旋
 ※この作用のため、あぐら筋とも言われる

恥骨筋
→支配神経=大腿神経・閉鎖神経の二重支配
 ※解剖との違いに注意!

大殿筋
→停止=殿筋粗面

問題8 足の回外作用がないものはどれか。

  1. 長母指伸筋
  2. 長指伸筋
  3. 後脛骨筋
  4. 長母指屈筋

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解答 2

筋のおさらいです。足部の運動に関係する筋も大事です。必ず覚えましょう。

回外=前脛骨筋、長母指伸筋、後脛骨筋、長指屈筋、長母指屈筋

回内=第3腓骨筋、長指伸筋、長・短腓骨筋

※参考

前脛骨筋
作用=背屈・回外

長母指伸筋
作用=背屈・回外

長指伸筋
作用=背屈・回内

第3腓骨筋
作用=背屈・回内 ※腱は外果前方を通過する。

長・短腓骨筋
作用=底屈・回内 ※腱は外果後方の腓骨筋支帯を通過する。

後脛骨筋
作用=底屈・回外・内転

長指屈筋
作用=底屈・回外・第2~5趾の屈曲

長母指屈筋
作用=底屈・回外・母趾の屈曲

問題9正常歩行で立脚相から遊脚相への変換期に最大活動をするのはどれか。

  1. 前脛骨筋
  2. 下腿三頭筋
  3. 股関節内転筋群
  4. ハムストリングス

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解答 3

歩行周期中の筋活動はすべて覚えるのは大変ですが、これだけは忘れないでください。

前脛骨筋
歩行周期全般に活動。 遊脚相から立脚相への移行期に強く活動。

下腿三頭筋
立脚相全般に活動し、特に末期に強く活動。

股関節内転筋群
遊脚相の振り出しに際して働く、立脚相から遊脚相への変換期に強く働く。

ハムストリングス
遊脚相から立脚相への移行期に活動する。

問題10 生後に出現して持続する反射はどれか。

  1. ガラント反射
  2. バランス反応
  3. ランドウ反射
  4. ホフマン反射

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解答 2

反射の内容は覚えなくていいです。どれが原始反射なのか、どれが生後に出現して持続する反射なのかはわかるようにしましょう。

生後に出現して持続する反射
パラシュート反射、立ち直り反応、平衡反応(バランス反応)、下肢伸展反射

病的反射の一部も乳児期に現われます。神経の発達が進むにつれて消失します。

問題11 運動発達で誤りはどれか。

  1. 1歳 - 処女歩行
  2. 2歳 - 転倒しないで走れる
  3. 3歳 - スキップができる
  4. 6歳 - 成人型歩行

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解答 3

スキップができるようになるのは5歳です。3歳では早すぎます。
遂行可能な運動順序を下記に記します。が、期間はあくまでも参考です。順序を覚えましょう。

1~2ヶ月:初期起立がみられる。自律歩行
4ヶ月  :首がすわる
6ヶ月  :寝返りできる
8ヶ月  :つかまり立ち
10ヶ月 :つたい歩き
12ヶ月 :処女歩行
18ヶ月 :めったに転倒しないで走れる。
2歳   :転倒しないで走れる。
3歳   :片足立ちができる。
4歳   :ケンケンができる。
5歳   :スキップができる。
6歳   :成人型歩行となる

問題12運動を学習する上で最初に習得することが望ましいのはどれか。

  1. 速度
  2. 正確性
  3. フォーム
  4. 適応性

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解答 3

運動を学習するに下記の4つの要素が必要になります。また、この順序で学習していくのでこのまま覚えてしまいましょう。

フォーム→正確性→速度→適応性

問題13小児歩行の特徴で誤っているのはどれか。

  1. 踵接地をする。
  2. 支持基底を広くする。
  3. 上肢の降りがない。
  4. 歩行率が高い。

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解答 1

踵から接地するのではなく、足底全面による接地となります。
小児歩行の特徴の特徴は全て必ず覚えましょう。

  1. 踵接地がない
    足底全面で接地となる。
  2. 支持基底を広くする
    重心が高位で不安定なため。前額面での安定性は比較的よい。
    矢状面上は不安定で前後に転びやすい。
  3. 上肢の振り運動がない
    肩関節外転、肘関節屈曲
  4. 歩行率が高い

プロフィール

西村 雅道

医学博士 柔道整復師 鍼灸師
一社)国際整体協会 和整體学院 インストラクター
和整體学院臨床センター センター長

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