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柔道整復師国家試験対策【第27回:運動学 その1】

分野別問題 国家試験対策

これまで約二年にわたり国家試験の主要教科(解剖、生理、一般臨床医学、病理学、柔道整復)に対する主要ポイントと問題演習をお届けしてきました。
今年度はサブ科目(運動、整形、リハ、外科、衛生、法規)をお送りしていきます。4月、5月は運動学の最低限押さえておきたい部分をお届けします。

問題

問題1誤りはどれか。

  1. 物体には静止・運動の現状を保とうとする性質がある。
  2. 加速度は力の大きさに正比例する。
  3. 加速度は力の働く方向と反対方向に働く。
  4. 作用・反作用の法則は運動の第3法則といわれる。

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解答 3

これは運動の法則に関する問題です。運動の法則には全部で3つあります。

第1法則(慣性の法則)
物体に外力が働かなければ静止している物体はいつまでも静止している。 運動をしている物体はいつまでも等速運動を続ける。 物体には静止・運動の現状を保とうとする性質がある。

第2法則(加速度の法則)
加速度は力の大きさに正比例する。 加速度は物体の質量に反比例する。 加速度は力の働く方向と同一方向に働く。

第3の法則(作用・反作用の法則)
物体Aに物体Bが作用した場合、物体Aからも物体Bに作用(反作用)する。

内容をしっかりと理解しつつ暗記してください。

問題2脊髄に反射中枢を持つ反射はどれか。2つ選べ。

  1. 交差性反射
  2. 迷路から頭部に作用する立ち直り反射
  3. 踏み直り反射
  4. 陽性支持反応

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解答 1・4

反射についてはまず、以下のようなその反射の反射中枢を覚えてください。反射中枢とは反射路のUターンポイントのことです。

大脳皮質が関与する反射については「跳んで踏み踏み」と覚えると効果的です。その他、丸暗記でも結構です。しっかりと覚えましょう。

問題3脊柱の運動で最も回旋運動可動域が大きいのはどれか。

  1. 第5腰椎と第1仙椎間
  2. 第1頸椎と第2頸椎間
  3. 第2胸椎と第3胸椎間
  4. 第4腰椎と第5腰椎間

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解答 2

椎間関節の可動性を問う問題です。脊柱は部位によって得意な運動と不得意な運動があります。下記の内容は優先的に覚えてください。それ以外は余裕ができたときに覚えましょう。

屈伸が得意な部位→ 頚椎、腰椎部
※特にL5-S1間で最大。

側屈が得意な部位→ 頚椎部
※C1-C2間は全くできない。

回旋が得意な部位→ 頚椎部、次いで胸椎部
※Oc-C1間(環椎後頭関節)は全くできない。
※C1-C2間で最大。

問題4 肩甲骨の内転に作用する筋はどれか。

  1. 肩甲下筋
  2. 前鋸筋
  3. 小胸筋
  4. 菱形筋  

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解答 4

運動学の筋は作用について聞かれることが多いです。このテストで出題される筋は必ず覚えましょう。

ちなみに肩甲骨の外転に作用する筋は前鋸筋と小胸筋だけです。加えて、この二つの筋の出題率は非常に高いので、この機会に是非覚えてください。

問題5肩甲骨の上方回旋に作用しない筋はどれか。2つ選べ。

  1. 僧帽筋
  2. 小円筋
  3. 前鋸筋
  4. 小胸筋

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解答 2・4

同じく筋のおさらいです。最低限覚えましょう。

僧帽筋はかなり面倒に感じてしまうかもしれませんが、しっかりと覚えてしまえば、意外と覚えやすいです。がんばりましょう。

問題6前腕の回外に作用する筋はどれか。

  1. 上腕筋
  2. 肘筋
  3. 上腕二頭筋
  4. 浅指屈筋

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解答 3

同じく筋のおさらいです。最低限覚えましょう。

まずは停止から覚えましょう。それとその筋が2関節筋なのかそうでないか、も意識するとよりいいでしょう。 上記の肘筋ですが、回内の作用は意外とイメージできない筋かもしれません。そういったイメージのつきにくい筋は丸暗記のほうがよろしいかと思います。

問題7正中神経支配でないのはどれか。

  1. 長母指屈筋
  2. 背側骨間筋
  3. 長掌筋
  4. 浅指屈筋 

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解答 2

支配神経のおさらいです。覚えましょう。(-)は後回しにしましょう。

ちなみに支配神経については実は筋骨の中で覚えるよりも解剖神経系で覚えたほうが暗記しやすい場合もあります。(もちろん個々人のやり方にお任せします。)

問題8膝関節の運動で誤りはどれか。

  1. 内側側副靱帯は内側半月に付着する。
  2. 前十字靱帯は脛骨が前方へ移動するのを防ぐ。
  3. 後十字靭帯は脛骨が後方へ移動するのを防ぐ。
  4. 形態的に外側顆より内側顆の方が大きい。

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解答 4

膝関節の機能について問う問題です。以下のことは必ず覚えましょう。

1.内・外側側副靱帯
内側側副靱帯は内側半月に付着する。

2.と3.前・後十字靱帯
前十字靱帯は脛骨が前方へ移動するのを防ぐ。
後十字靱帯は脛骨が後方へ移動するのを防ぐ。

4.膝関節は骨の形態的には外側顆が大きい。しかし関節面の面積は内側顆の方が大きい。

引っかからないようにしてください。骨の模型をみながら確認してください。

問題9背屈と外反に働く筋はどれか。

  1. 長腓骨筋
  2. 前脛骨筋
  3. 長母指趾筋
  4. 第3腓骨筋 

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解答 4

足部の運動に関係する筋は非常に大事で、これらを覚えることによって他教科に渡り、解ける問題の数もかなり増えます。必ず覚えましょう。

※この順序で暗記したほうが効率がよいため、選択肢は順不同となります。

2.
前脛骨筋   作用=背屈・回外
3.
長母趾伸筋  作用=背屈・回外
長趾伸筋   作用=背屈・回内
4.
第3腓骨筋  作用=背屈・回内 ※腱は外果前方を通過する。
1.
長・短腓骨筋 作用=底屈・回内 ※腱は外果後方の腓骨筋支帯を通過する。
後脛骨筋   作用=底屈・回外・内転
長趾屈筋   作用=底屈・回外・第2~5趾の屈曲
長母趾屈筋  作用=底屈・回外・母趾の屈曲

問題10 底屈に作用しないのはどれか。

  1. 長母指屈筋
  2. 短腓骨筋
  3. 長指伸筋
  4. 後脛骨筋 

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解答 3

底屈に作用する筋は、後脛骨筋・長指屈筋・長母指屈筋・長、短腓骨筋です。

背屈に作用する筋は、前脛骨筋・長母指伸筋・第3腓骨筋・長指伸筋です。

以下、補足事項になります。覚えれば、他教科の強化にもなります。

  1. 前脛骨筋   作用=背屈・内返し
  2. 長指伸筋   作用=背屈・外返し
  3. 第3腓骨筋  作用=背屈・外返し ※腱は外果前方を通過する。
  4. 長・短腓骨筋 作用=底屈・外返し ※腱は外果後方の腓骨筋支帯を通過する。
  5. 後脛骨筋   作用=底屈・内返し・内転
  6. 長指屈筋   作用=底屈・内返し・第2~5趾の屈曲
  7. 長母指屈筋  作用=底屈・内返し・母趾の屈曲

問題11外返しに作用するものはどれか。2つ選べ。

  1. 長指屈筋
  2. 長腓骨筋
  3. 前脛骨筋
  4. 第3腓骨筋  

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解答 2・4

内返しに作用する筋は、前脛骨筋・長母指伸筋・後脛骨筋・長指屈筋・長母指屈筋です。

外返しに作用する筋は、第3腓骨筋・長指伸筋・長、短腓骨筋です。

問題12内側縦アーチでかなめ石となるものはどれか。

  1. 距骨
  2. 舟状骨
  3. 内側楔状骨
  4. 第1中足骨  

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解答 2

内側縦アーチのかなめ石は舟状骨である。
以下、補足事項です。余力があればおぼえましょう。

  1. 内側縦アーチ
    踵骨—距骨—舟状骨—内側楔状骨—第1中足骨 ※かなめ石(keystone)=舟状骨
  2. 外側縦アーチ
    踵骨—立方骨—第5中足骨 ※かなめとなる関節=踵立方関節
  3. 前方横アーチ
    第1中足骨頭(種子骨)—第2~5中足骨頭 ※頂点=第2中足骨頭
  4. 後方横アーチ
    内・中間・外側楔状骨—立方骨 ※頂点=中間楔状骨

問題13重心点について誤りはどれか。

  1. 身体があらゆる方向に自由に回転しうる点である。
  2. 身体各部の重量が相互に平衡である点である。
  3. 基本矢状面、基本前額面、基本水平面の3面が交差する点である。
  4. 第2仙椎の後方に位置する。

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解答 4

重心点の3要素とそれ以外の特徴を問う問題ですね。以下の内容で覚えましょう。

重心点の3要素

  • 身体があらゆる方向に自由に回転しうる点
  • 身体各部の重量が相互に平行である点
  • 基本矢状面、基本前額面、基本水平面の3面が交差する点

仙骨の前方(第2仙椎)に位置
※成人男子は身長の約56%に位置する。成人女子は身長の約55%に位置する。
※女子のほうが重心は低い。
※重心は低いほど安定性が良い。
※小児は重心が高いため、安定性が悪い。

問題14運動技能の4要素に含まれないのはどれか。

  1. フォーム
  2. 速度
  3. 適応性
  4. 柔軟性

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解答 4

まず「運動技能」というものを説明します。
運動技能とは、ある運動課題を遂行するとき、最終的には身体各部の運動が全体運動として統一されていきます。
この一連の運動系列を運動技能といいます。当然、訓練や経験で変化します。
この運動技能を獲得するための大事な要素が4つあり、以下の順序を経て得ます。

運動技能の4要素 フォーム → 正確性 → 速度 → 適応性

柔軟性も大事かもしれませんが、引っかからないようにしましょう。

問題15歩行に関する用語で誤りはどれか。

  1. 歩幅とは一側踵が接地して、対側踵が接地するまでをいう。
  2. 重複歩距離とは一側踵が接地して、同側踵が接地するまでをいう。
  3. 歩隔とは両側の踵間の間隔をいう。
  4. 歩行率とは単位時間あたりの歩数で、大人は高く、小児は低い。

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解答 4

歩行を学習する上で重要な用語がいくつかあります。下記をおぼえましょう。

問題16安定性に影響を与える要因で誤りはどれか。

  1. 重心の高さは低い程安定性は良い。
  2. 単一構造物よりも分節構造物の方が安定性は良い。
  3. 床との接触面の摩擦抵抗が大きい程安定性は良い。
  4. 支持基底と重心線の関係は安定性に関与する。

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解答 2

安定性に影響を与える要因は下記表を覚えましょう。

問題17歩行周期について誤っているのはどれか。2つ選べ。

  1. 抑制期とは遊脚相であり脚が体幹の前方にある。
  2. 加速期とは遊脚相であり脚が体幹の後方にある。
  3. 遊脚相は正常歩行では歩行周期の約60%をしめる。
  4. 同時定着期は一歩行周期中に10%ずつ2回ある。

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解答 1・3

歩行周期の大事なポイントです。覚えましょう。

  1. 立脚相
    抑制期、立脚中期、推進期からなる。歩行周期の60%を占める。
  2. 遊脚相
    加速期、遊脚中期、減速期からなる。歩行周期の40%を占める。
  3. 同時定着期
    一歩行周期中に10%ずつ2回=計20%ある。

問題18歩行時の筋活動について正しいのはどれか。

  1. 前脛骨筋は立脚相末期に特に強く働く。
  2. 大殿筋は立脚相初期に特に強く働く。
  3. 股関節外転群は骨盤を安定位に保持する。
  4. ハムストリングは立脚相から遊脚相への移行期に強く働く。

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解答 2

以下、覚えましょう。

  1. 前脛骨筋
    遊脚相から立脚相への移行期に強く働く。
  2. 大殿筋
    立脚相初期に強く働く。
  3. 股関節外転筋群
    内転方向への動きを制御する。重心の左右方向への移動を制御。
  4. ハムストリング
    遊脚相から立脚相への移行期に強く働く。

※さらにわかりやすくまとめたのが下記の表です。参考にしてください。

問題19原始反射はどれか。

  1. 下肢伸展反射
  2. モロー反射
  3. バランス反応
  4. パラシュート反射

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解答 2

原始反射とは早期に出現し月齢が進むに連れて徐々に消失する反射です。

モロー反射、ガラント反射、ランドウ反射、把握反射、交差性反射、緊張性反射、踏み直り反射、足踏み反射などがある

それ以外の選択枝は生後に出現して終生持続する反射です。
下記はわかりやすく表にしました。参考にしてください。

プロフィール

西村 雅道

医学博士 柔道整復師 鍼灸師
一社)国際整体協会 和整體学院 インストラクター
和整體学院臨床センター センター長

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