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柔道整復師国家試験対策【第25回:一般臨床 その2】

分野別問題 国家試験対策

いよいよ本番まで残り2週間程度となってきました。本日は、前回の続きとして一般臨床の後半部分をお送りします。

内分泌代謝

問題1下垂体機能亢進症について誤りはどれか。

  1. 大部分は下垂体腺腫による。
  2. 先端肥大症は高身長となる。
  3. 骨端線閉鎖後は四肢末端・顔面部の肥大が生じる。
  4. 高血圧・糖尿病・高脂血症をみる。

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解答 2

下垂体機能亢進症
下垂体前葉からの成長ホルモンの過剰産生分泌のため骨、軟部組織、各臓器の異常成長と代謝異常が起こる疾患
病因は大部分が下垂体腺腫による

骨端線閉鎖以前に過剰分泌が生じると
→ 下垂体性巨人症
(長管骨発育促進=高身長)

骨端線閉鎖以後に過剰分泌が生じると
→ 先端肥大症
(四肢末端・顔面末梢部の肥大)
※ 身長は伸びない

下垂体から分泌されるホルモンにより副腎,甲状腺,プロラクチン等のホルモンが分泌亢進となり以下の症状が出現する 高血圧,高脂血症,糖尿病,皮脂・発汗量の増加,多毛,色素沈着,性腺機能低下,乳汁分泌

問題2 甲状腺機能亢進症について正しいのはどれか。

  1. 甲状腺に生じる細菌感染により発症する。 
  2. 成人前の女性に好発する。
  3. 体重減少・精神症状をみる。
  4. 甲状腺刺激ホルモン(TSH)が上昇する。

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解答 3

甲状腺機能亢進症
甲状腺の活動が亢進し、甲状腺ホルモンが過剰分泌となり血中のホルモン濃度が上昇しすぎるため生じる疾患

免疫異常(自己免疫疾患)が原因とされる
血中に甲状腺刺激物質(抗甲状腺刺激ホルモン/抗TSH受容体抗体)が増加

発症 → 女性に多く、男性の約四倍
好発年齢 → 20~50歳
三徴症状 →
甲状腺腫(びまん性)…軟らかい
頻脈
眼球突出

振戦,食欲亢進,体重減少,精神不安定,月経異常 微熱,血圧上昇,心房細動,発汗増加,
つまり甲状腺ホルモンの作用が亢進

問題3甲状腺機能低下症は次のうちどれか。2つ選べ。

  1. アジソン病
  2. 粘液水腫
  3. クレチン症
  4. グレーブス病

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解答 2・3

甲状腺機能低下症
甲状腺ホルモンの産生が低下し、血中甲状腺ホルモンが低下
身体の代謝が円滑に行われない。

粘液水腫
中年女性に多い 原発性と続発性に分類
皮膚乾燥,圧痕を残さない浮腫(粘液水腫),徐脈 低血圧,寒がり,精神活動低下,月経過多,心嚢水貯留,便秘

クレチン症
先天性甲状腺ホルモン合成障害,甲状腺無形成や低形成
身体矮小(小人で身体バランスが悪い),知能低下,骨年齢遅延,(骨端線開存)

問題4アジソン病について正しいのはどれか。

  1. 副腎皮質機能亢進状態である。
  2. 症状は急激に進行し、特にストレスがかかった時増悪する。
  3. 体重減少・色素沈着・低血圧をみる。
  4. 血中のACTH濃度は減少する。

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解答 3

アジソン病(副腎皮質機能低下症)
副腎皮質が破壊され、副腎皮質ホルモン分泌能が低下している状態

病因 →
副腎結核,自己免疫

症状 →
徐々に進行(ストレス負荷時に増強)
全身倦怠感,体重減少,低血圧,皮膚色沈着 低血糖,体毛脱落,精神症状,消化器症状

糖質コルチコイド,電解質コルチコイド,アンドロジェン(性ホルモン)の分泌低下!

問題5原発性アルドステロン症でみられないものはどれか。

  1. 低ナトリウム血症
  2. 尿中カリウム値上昇
  3. 高アルドステロン血症
  4. 低レニン血症

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解答 1

原発性アルドステロン血症(コーン症候群)
血中アルドステロンが過剰に分泌される疾患
副腎皮質の腫瘍や過形成によることが多い

成人女性に多い

アルドステロン過剰

腎遠位尿細管からのナトリウムイオンの再吸収過剰(高Na血症):
高血圧

尿細管へのカリウムイオンの分泌増加
(低カリウム血症=尿中カリウム増加)
筋力低下,周期性四肢麻痺

血漿浸透圧が上昇するため、口渇となるアルドステロン過剰となるため、レニン―アンジオテシン―アルドステロンの負のフィードバック機序によりレニンは低下する

問題6クッシング病について誤りはどれか。

  1. 糖質コルチコイド過剰分泌による。
  2. 満月様顔貌となる。
  3. 多毛・浮腫・高血圧をみる。
  4. 血中ACTH濃度は低下する。

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解答 4

クッシング病/症候群(副腎皮質機能亢進症)
副腎皮質ホルモンである糖質コルチコイドの慢性的な過剰分泌

ACTH依存性 →
下垂体性(クッシング病)
異所性ACTH生産腫瘍

非ACTH依存性 →
副腎皮質腫瘍と過形成

クッシグ症候群とは下垂体性以外の病態による副腎皮質機能亢進症をいう
皮下脂肪沈着(満月様顔貌,中心性肥満)赤色皮膚線状,糖尿病,高血圧,浮腫,性欲低下,筋力低下,易骨折性,多毛 ざ瘡(にきび),無月経,易感染性(抗免疫作用,抗炎症作用)

問題7副甲状腺機能低下症で認められないものはどれか。

  1. 神経・筋の異常興奮
  2. 痙攣
  3. 低Ca血症
  4. 低リン血症

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解答 4

副甲状腺機能低下症のポイント

定義⇒
副甲状腺からの副甲状腺ホルモン分泌不全・分泌不応によって起こる 低カルシウム血症・高リン血症を呈する疾患

症状
神経・筋の異常興奮(テタニー)トルソー徴候・クボステック徴候陽性
よって答えは4.となる。

問題8次の組み合わせで誤りはどれか。

  1. 先端巨大症 ――――― 骨端閉鎖前の成長ホルモン分泌亢進
  2. バセドウ病 ――――― 甲状腺ホルモン分泌亢進
  3. クッシング症候群 ―― コルチゾル分泌亢進
  4. アジソン病 ――――― アルドステロン分泌低下

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解答 1

先端巨大症
骨端閉鎖後に発生する成長ホルモン分泌亢進。手足末端や顔面部の肥大が特徴。

バセドウ病
甲状腺ホルモン分泌の亢進により発生する。眼球突出、甲状腺腫、頻脈、振戦を呈する。20-50歳女性に多く発生する。

クッシング症候群
コルチゾル分泌亢進によって発症する。中心性肥満、満月様顔貌、無月経、骨脆弱などを認める症候群。

アジソン病
副腎皮質ホルモン機能低下症。色素沈着や消化器症状を代表とする疾患である。

栄養障害

問題9 糖尿病について正しいのはどれか。

  1. インスリンの分泌異常による低血糖状態である。
  2. Ⅰ型糖尿病は若年者に発症することが多い。
  3. 口渇・多飲・乏尿を呈する。
  4. 糖尿病性ケトアシドーシス昏睡ではビオー呼吸を呈する。

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解答 2

糖尿病
グルコースの吸収に関与するインスリンの不足による過血糖状態
インスリン依存型と非依存型に分類される

依存型(Ⅰ型糖尿病)
若年者に発症
インスリンの分泌不全
自己免疫の関与
痩せ型が多い

非依存型(Ⅱ型糖尿病)
成人発症が多い
インスリン分泌は有り→作用不足
肥満型と非肥満型がある

高血糖状態のため口渇,多飲,多尿となる グルコース利用によるエネルギー代謝が出来ないため脂肪を使用しエネルギーを得るためケトン体(代謝産物)が上昇する → ケトアシドーシス(クスマウル呼吸)

問題10糖尿病合併症で誤りはどれか。

  1. 腎障害
  2. 視力障害
  3. 中枢神経障害
  4. 血管障害

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解答 3

糖尿病による合併症

  1. 糖尿病性腎症
  2. 糖尿病性網膜症
  3. 糖尿病性ニューロパチー(末梢神経炎)
  4. 末梢血管炎

※一般に中枢神経の障害は認められない。

問題11誤りはどれか。

  1. 骨粗鬆症 ― 病的骨折
  2. 骨軟化症 ― 低身長
  3. 高脂血症 ― 黄色腫
  4. 痛風 ――― 骨破壊

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解答 2

骨粗鬆症
骨の絶対値の減少により骨梁が希薄化する
→ わずかな外力もしくは外力無で骨折(病的骨折)を起こることがある

骨軟化症
ビタミンD不足により骨の石灰化障害が生じ、類骨(骨基質)の増加が生じる
→ 骨が石灰化しない=軟らかい骨
易骨折性,歩行障害,筋力低下,骨痛(伸長の変化はなし)
※骨端軟骨閉鎖の有無により疾患名が異なるので注意
くる病(閉鎖前),骨軟化症(閉鎖後)

高脂血症
コレステロール,遊離脂肪酸,リン脂質,トリグリセリドのいずれかの脂質一つでも増加している状態
自覚症状はないが、心筋梗塞,冠動脈硬化,脳梗塞などに移行しやすい キサントーマ/黄色腫(体表にあらわれる脂肪のイボ状の脂肪腫)は進行するとみられる

※痛風結節
関節内に尿酸ナトリウムが沈着するために、体表から関節の膨隆をみるもの 耳介,足,アキレス腱,手関節などにみる

問題12次の組み合わせで誤りはどれか。

  1. ビタミンD欠乏 ~ O脚形成
  2. ビタミンC欠乏 ~ 出血傾向
  3. ビタミンB1欠乏 ~ 四肢末端知覚異常
  4. ビタミンB2欠乏 ~ 血液凝固

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解答 4

ビタミンB2欠乏では、口角炎・舌炎などが発生し、血液凝固は起こらない。
ビタミンD欠乏は、骨軟化症・くる病によるO脚形成が認められる。
ビタミンC欠乏では、壊血病による出血傾向をみとめる。
ビタミンB1欠乏では、脚気による四肢末端知覚異常が認められる。

泌尿器障害

問題13腎不全について正しいのはどれか。

  1. 急性腎不全では初発症状として尿量増加がおこる。
  2. 慢性腎不全では血清尿素窒素が低下する。
  3. 急性腎不全では血尿をみる。
  4. 慢性腎不全では低カリウム血症となる。

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解答 3

腎不全
急激に腎機能が低下した状態
→ 不必要な物質(窒素化合物)の排泄能低下=高窒素血症
→ 水の再吸収能低下=体液恒常性維持不能

病因

腎前性
腎に入ってくる血液量の減少による
心不全,脱水,血漿蛋白減少,外傷,腎血管閉塞

腎性
腎血管(糸球体)の透過性亢進,間質の炎症
急性糸球体腎炎,血管炎,膠原病etc

腎後性
尿の通貨障害
悪性腫瘍,前立腺肥大,尿路結石 急性腎不全:発症期,乏尿期,利尿期,回復期にわけられる
乏尿(尿量400ml以下/日),浮腫,高血圧,頭痛,不整脈,意識障害
血尿・蛋白尿,血清尿素窒素・クレアチニン上昇,高カリウム血症 代謝性アシドーシス,貧血などをみる
※腎機能の回復あり
慢性腎不全:数ヶ月~数年に渡って腎機能が低下し、体液恒常性維持が出来ない状態
※腎機能回復がない
尿毒症,心不全,低カルシウム血症(その他症状は急性とほぼ同様)

問題14ネフローゼ症候群の四徴でないのはどれか。

  1. 高尿酸血症
  2. 低蛋白血症
  3. 高血圧
  4. 高脂血症

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解答 1

ネフローゼ症候群
大量の蛋白尿(高蛋白尿),低蛋白血症,浮腫,高脂血症の4つの症状をもちあわせる

→ 血漿蛋白の減少:易感染性(グロブリン),浮腫(アルブミン)

問題15ネフローゼ症候群の症状でないものはどれか。

  1. 蛋白尿
  2. 高コレステロール血症
  3. 低蛋白血症
  4. 血尿

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解答 4

ネフローゼ症候群のポイント
定義⇒大量の蛋白尿・低蛋白血症・高脂血症・浮腫を主徴とする症候群

症状
ネフローゼ症候群 四主徴(大量蛋白尿・低蛋白血症・高脂血症・浮腫)
⇒ 低アルブミン・低ガンマグロブリン血症

問題16慢性腎炎について誤りはどれか。

  1. 浮腫を呈する
  2. 自覚症状が強く認められる
  3. 高血圧を呈する
  4. BUN値上昇する

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解答 2

腎炎のポイント

定義

急性糸球体腎炎 =
先行感染に続いて1~3週間の潜伏期のあとに急性発症する
糸球体腎炎

慢性糸球体腎炎 =
急性糸球体腎炎が1年以上治癒せず持続しているもの
または、蛋白尿・血尿などの尿異常所見が1年以上持続しているもの

※ 先行感染菌⇒ A群β型溶血性連鎖球菌

症状

急性糸球体腎炎 四主徴 = 乏尿・高血圧・肉眼的血尿・浮腫

慢性糸球体腎炎 三主徴 = 高血圧・顕微鏡的血尿・浮腫

慢性の場合では、自覚症状がほとんど認められない
血清尿素窒素値(BUN値)上昇・血清クレアチニン値上昇・蛋白尿陽性

神経系

問題17 頭蓋内圧亢進症状でないものはどれか。

  1. 頭痛
  2. 項部強直
  3. 徐脈
  4. 鬱血乳頭

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解答 2

頭蓋内圧亢進症状
1)頭痛 2)悪心嘔吐 3)徐脈 4)鬱血乳頭

髄膜刺激症状
1)頭痛 2)悪心嘔吐 3)項部強直 4)ケルニヒ徴候

問題18脳血栓症について誤りはどれか。

  1. 心臓弁膜症・不整脈の既往者に多い。
  2. 症状は段階的に出現する。
  3. 頭痛・意識障害はさほど強くない。
  4. 麻痺を強く呈する。

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解答 1

脳梗塞は脳血栓や脳塞栓により生じる

脳血栓
動脈硬化などにより血栓が形成され、血管を閉塞し発症する
※ 脳の血管で生じた血栓!

1 →
心臓弁膜症や不整脈(心房細動など)により形成された血栓が脳血管へ流れて行った結果起こる脳梗塞は、脳塞栓のことです

2 →
脳血栓により生じる脳梗塞は発症前から一過性の片麻痺,感覚障害,失語症etcを繰り返し、それらの症状は一時間以内に消失する(一過性脳虚血:TIA)
⇒つまり発症は緩徐で段階的

3 →
頭痛・意識障害はさほどではない

4 →
麻痺症状は梗塞の程度により強くなることもある

問題1940歳女性 日中、庭掃除中に突然後頭部への強い頭痛を生じ、直後、意識消失により病院へ搬送された。特にこれまで大きな疾病の既往歴は認められない。本文章から推察される疾患はどれか。2つ選べ。

  1. 脳出血
  2. 脳血栓症
  3. 脳塞栓症
  4. くも膜下出血

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解答 1・4

脳血管障害の発症と症状によるスクーリング

突然発症:脳出血 くも膜下出血 脳塞栓症

段階的に発症:脳血栓症

主として頭痛・意識障害:脳出血 くも膜下出血

主として麻痺、言語障害:脳血栓 脳塞栓

問題20パーキンソン病について正しいものはどれか。2つ選べ。

  1. 表情にこわばりがある。
  2. 片側のみに出現する。
  3. 振戦を認める。
  4. バランス感覚が低下する。

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解答 2

パーキンソン病のポイント

定義
中脳黒質のメラニン細胞の変性による生じる神経疾患
ドーパミンの生成不足による

症状

振戦⇒静止時振戦(丸薬丸め様運動)

筋固縮・強剛⇒ 筋トーヌス亢進による鉛管現象・伸張反射亢進 寡動・

無動⇒ 筋固縮により自然な運動減少(スムーズに出来ない)
⇒ 仮面様顔貌

姿勢調節障害⇒ バランス感覚の低下・前かがみ姿勢

跛行⇒ 小刻み歩行・突進歩行・すくみ足
症状出現は片側発症だか、進行により両側性に発生する
両側性出現の場合、左右差が出現する

問題21パーキンソン病の症状について誤りはどれか。

  1. 姿勢調節障害
  2. 筋トーヌス異常亢進
  3. 精神障害
  4. 自律機能正常

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解答 4

パーキンソン病
中脳の黒質にあるメラニン細胞の変性により、化学伝達物質のドーパミンが分泌されないため、錘体外路性運動障害が出現する
※黒質は視床,線条体,レンズ核etcなどと連絡をとり身体の円滑な運動の調節を行う

四主徴 ⇒
①振戦
②筋固縮 → 
筋トーヌス(緊張)亢進により生じる … 鉛管現象,
伸長反射亢進による … 歯車現象
③寡動
④姿勢調節障害

3 →
うつや痴呆などの精神障害を生じる

4 →
自律神経障害として便秘,排尿障害,低血圧,発汗過多などの症状を呈する

問題22筋萎縮性側索硬化症であやまりはどれか。

  1. 症状は片側のみに出現する。
  2. 筋の変性は認められない。
  3. 球麻痺を呈する。
  4. 自律神経障害は認められない。

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解答 1

筋萎縮性側索硬化症のポイント

定義
運動ニューロンの変性による発生する神経疾患(筋の変性ではない)
進行性の筋力低下・筋萎縮障害
⇒ 感覚神経・自律神経障害は認められない
中年~高齢者に多く発症

分類
普通型・球型(球麻痺型)・偽多発神経炎型

症状
筋力低下・筋萎縮
⇒ 両側性に出現、左右差は乏しい
⇒ 眼球運動筋は障害されない

異常感覚
⇒ 自発痛・冷感・熱感・腫脹感など
上位・下位運動ニューロン症状

※ 体性運動性神経障害であるため、自律機能(排尿・内蔵機能)は障害されない

問題23筋萎縮性側索硬化症について誤りはどれか。

  1. 下位運動ニューロンのみの障害である。
  2. 平滑筋は障害されない。
  3. 中年に好発する。
  4. 筋力低下は左右非対称である。

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解答 1

筋萎縮性側索硬化症
上位・下位の運動ニューロンの変性がおこり、運動障害をきたす

1 →
上位運動ニューロン,下位運動(前角)ニューロンどちらの障害もありえます

2 →
自律神経は障害されないため
※肛門括約筋,排尿筋,心筋,平滑筋は障害されず、感覚障害も認められない!
※外眼筋も障害されない → 眼球運動障害は認められない!

4 →
筋力低下は一肢遠位部から生じ、左右非対象性のことが多い

問題24ギランバレー症候群について誤りはどれか。2つ選べ。

  1. 感覚障害が強く出現する。
  2. 前駆症状として感冒症状を認める。
  3. 呼吸筋は侵されない。
  4. 病的反射は陰性である。

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解答 2

ギランバレー症候群のポイント

定義
上気道・消火器の先行感染から発生する末梢神経の急性炎症性脱髄疾患である

症状
運動麻痺・感覚麻痺を生じるが主症状は運動障害である
⇒ 左右差の乏しい弛緩性麻痺を呈する
呼吸筋も障害

問題25ギランバレー症候群について誤りはどれか。

  1. 神経軸索に対する自己免疫疾患である。
  2. 風邪症状が初発する。
  3. 麻痺は弛緩性麻痺である。
  4. 自律神経障害を認める。

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解答 1

ギランバレー症候群
末梢神経の髄鞘に対する自己免疫疾患(急性炎症性脱髄疾患)
運動麻痺(筋力低下)を呈する

1 →
軸索ではなく髄鞘(ミエリン鞘)に対する

2 →
神経症状の前駆症状として風邪(感冒様)症状や消化器症状を呈する

3 →
末梢神経麻痺では弛緩性麻痺をみる(遠位から近位に生じる)

4 →
自律神経遠心(運動)性神経も障害されるため
不整脈,頻脈,起立性低血圧,高血圧などをみる

問題2660歳男性 半年前ほどから、日常生活動作時の関節の動きの悪さを自覚し始め、最近では常に筋肉がこわばっているような感じという。また、とっさに行う動作も鈍くなってきており、最近、家族からは表情にゆとりがない(つまらなそう)と指摘されることが多いという。病院での精密検査の結果、ある疾患の疑いが強いと診断された。 最も考えられるものはどれか。

  1. 重症筋無力症
  2. パーキンソン症候群
  3. ギランバレー症候群
  4. 進行性筋ジストロフィー症

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解答 2

重症筋無力症
神経筋接合部の問題により、脱力、易疲労感を特徴とする筋疾患
眼瞼下垂、胸腺腫を特徴とする。

パーキンソン病
中脳黒質の変性により、全身の筋の筋固縮が発生し、無動症や寡動症を呈する。
全身動作や関節運動がスムーズに行えなくなる。

ギランバレー症候群
末梢神経の脱髄性疾患であり、下肢から上行性に拡大する運動麻痺、感覚麻痺を 特徴とする。

進行性筋ジストロフィー症
腰肢帯筋の変性により脱力を生じる筋疾患である。
仮性肥大やアヒル歩行、とはん性起立を呈する。

問題27 重症筋無力症について誤りはどれか。

  1. アセチルコリン受容体に対する自己免疫疾患である。
  2. 骨格筋脱力・易疲労性を症状とする。
  3. 上肢の脱力がもっとも高頻度に認められる。
  4. 胸腺腫を合併する。

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解答 3

重症筋無力症
アセチルコリン受容体に対する抗体により受容体の数が減少し、興奮伝導が阻害され、筋の脱力,易疲労性が生じる自己免疫疾患

3 →
眼障害(複視,眼瞼下垂)が頻度高い

4 →
30%の患者に胸腺腫の合併あり

膠原病

問題28全身性エリテマトーデスについて誤りはどれか。2つ選べ。

  1. 高齢女性に多く発症する。
  2. 顔面部に蝶形紅斑を認める。
  3. 光線過敏となる。
  4. 臓器障害は起こらない。

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解答 1・4

全身性エリトマトーデス(紅斑性狼瘡:SLE)
全身性炎症疾患で、多臓器障害を特徴とする自己免疫疾患

1 →
出産可能な若い女性に多い

2 →
「顔面の蝶形紅斑」は必ず覚えましょう

3 →
日光に当たると悪化する皮膚疾患を呈することもあり

4 →
各組織中に沈着した免疫複合体により、多臓器不全に陥る(腎、中枢神経など)

※ 腎障害(ループス腎炎),神経障害(中枢神経ループス)もみられます

問題29関節の破壊を特徴とする膠原病はどれか。

  1. リウマチ熱
  2. 関節リウマチ
  3. 全身性エリテマトーデス
  4. 多発性筋炎

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解答 2

関節リウマチは関節破壊を特徴とする膠原病である。
リウマチ熱は、心筋と関節を破壊を特徴とする。
全身性エリテマトーデスは、多臓器不全を特徴とし、多発性筋炎は骨格筋破壊を特徴とする。
尚、関節リウマチの好発部は、PIP関節・MP関節・手関節・環軸関節・膝関節があげられる。

問題30関節破壊を特徴とする膠原病はどれか。

  1. 全身性エリテマトーデス
  2. 関節リウマチ
  3. 強皮症
  4. 皮膚筋炎

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解答 2

膠原病
リウマチ性、自己免疫性、結合組織性という三つの様相を兼ね備えている疾患である。

関節リウマチは中でも、関節構成に関係する結合組織が主として破壊されていくものであり、関節自体をも破壊する疾患である。

全身性エリテマトーデスは、全身の結合組織破壊を呈し、多臓器不全を特徴とするもの。

強皮症は、主に皮膚の結合組織を侵し、皮膚筋炎は皮膚、骨格筋を中心に侵すものである。

感染症

問題31後天性免疫不全症候群について誤りはどれか。

  1. CD4リンパ球が障害される。
  2. 無症状期が長い。
  3. 急性期に抗体検出が可能となる。
  4. 新生児の場合、潜伏期は短い。

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解答 3

定義 ⇒
レトロウィルス属のヒト免疫不全ウィルス(HIV)感染
CD4リンパ球感染

感染後の全経過は、数年から数十年⇒潜伏期長い
※ 新生児AIDSは潜伏期が短い

感染経過のフローチャート

急性期
発熱・リンパ節腫腫脹・消化器症状が一過性に出現 …
数週で軽快する
初期には、抗体産生が起こらない

無症候性キャリア期 …
感染後約10年間
無症状で経過、抗体産生が起こる

AIDS関連症候群

AIDS …
日和見感染・悪性腫瘍合併
⇒ カポジ肉腫・カリニ肺炎・サイトメガロウィルス感染・真菌感染症などを発症

問題32後天性免疫不全症候群について誤りはどれか。

  1. 液性免疫障害である。
  2. 潜伏期が長期である。
  3. 日和見感染を起こす。
  4. 悪性腫瘍が出現しやすい。

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解答 1

後天性免疫不全症候群(AIDS)
HIV(ヒト免疫不全ウィルス)の感染によっておこる

1 →
AIDSウィルスはリンパ球(特にヘルパーT細胞:CD4)を選択的に障害する
※ヘルパーT細胞はBリンパ球の形質細胞への分化を促進
※ヘルパーT細胞はTリンパ球の細胞障害性T細胞(CD8)への分化を促進

2 →
感染後はHIV感染者(陽性)となり、免疫不全状態となるまでには数年から 10数年かかるため
※HIV感染者となっても後天性免疫不全症候群(AIDS)を発症しなければ エイズとはいえない!

3 →
日和見感染 … 抗癌剤や免疫抑制剤などの使用により健常者では感染が成立しない。弱毒菌による感染症を起こすことをいう

※日和見感染を起こす病原体
①緑膿菌 ②プロテウス菌 ③セラチア菌 ④カンジタ菌 ⑤アスペルギルス菌 ⑥サイトメガロウィルス ⑦ヘルペスウィルス

4 →
カポジ肉腫,悪性リンパ腫などの悪性腫瘍の発症率が高い

如何でしたでしょうか。
一般臨床は必修、一般問題とも得点科目としておきたい部分です。浅く広くしっかりと把握して望んで下さい。昨年度のバックナンバーも目を通しておくこともお勧め致します。

プロフィール

西村 雅道

医学博士 柔道整復師 鍼灸師 柔道整復師専科教員免許
一社)日本整体協会インストラクター
北斗総合整骨院院長

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