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柔道整復師国家試験対策【第22回:柔道整復学 その2】

分野別問題 国家試験対策

前回に引続き柔整を出題します。
今回は必修問題24問 一般問題22問となっています。一般問題は皆さんの不得意な傾向が強い下肢を中心に出題しました。いずれも基本的な部分です実践してみて下さい。

必修問題

問題1骨組織が完全に離断される骨折はどれか。

  1. 亀裂骨折
  2. 陥没骨折
  3. 若木骨折
  4. 骨膜下骨折

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解答 2

  1. 不全骨折
  2. 完全骨折
  3. 不全骨折
  4. 不全骨折

骨組織が完全に離開した状態は完全骨折である。完全骨折と不全骨折の区別は重要であり区別できる様にする。以下の不全骨折については好発部位と合わせて必ず覚える。

≪不全骨折≫
①亀裂骨折  好発部位…頭蓋骨・肩甲骨・寛骨(腸骨)
②若木骨折  好発部位…鎖骨・前腕骨
③陥凹骨折  好発部位…頭蓋骨
④竹節状骨折 好発部位…橈骨遠位端部
⑤骨膜下骨折 好発部位…脛骨骨幹部
⑥骨膜損傷

問題2複数骨折はどれか。

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解答 2

  1. 1本の骨の1ヶ所で骨折する単発骨折(単数骨折)である。
  2. 1本の骨の2ヶ所で骨折する複数骨折(二重骨折)である。
  3. 1本の骨の3ヶ所以上で骨折する重複骨折である。
  4. 2本以上の骨で骨折する多発骨折である。

骨折線の数による分類では分類と内容が混同しない様に整理して理解する。

問題3脱臼の固有症状で誤りはどれか。

  1. 弾発性固定を認める。
  2. 関節部が変形する。
  3. 骨幹軸が変化する。
  4. 関節窩が空虚となる。

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解答 3

骨幹軸が変化する場合は骨折で診られる症状であり脱臼では関節軸が変化する。

骨折と脱臼の固有症状は区別できる様に必ず覚える。

≪骨折固有症状≫
①異常可動性
②軋轢音
③転位・変形

≪脱臼固有症状≫
①弾発性固定
②関節部の変形
…関節軸の変化・脱臼関節の変形・脱臼肢長の変化・関節窩の空虚・骨頭の位置異常

問題4自家矯正能力が期待できない転位はどれか。

  1. 短縮転位
  2. 側方転位
  3. 捻転転位
  4. 屈曲転位

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解答 3

捻転転位は自家矯正が不能である。

自家矯正の程度には限界があるが側方転位・屈曲転位・短縮転位は自家矯正が可能である。捻転転位や骨片転位した関節内骨折では自家矯正が期待できない。

問題5偽関節の発生原因で誤りはどれか。

  1. 関節包内骨折
  2. 開放性骨折
  3. 短期間固定
  4. 持続的圧迫力

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解答 4

  1. 関節包内骨折では解剖学的に関節面には骨膜が無く骨膜性仮骨が欠如しており、炎症により増量した関節液が骨癒合を障害する。
  2. 開放性骨折では細菌感染の可能性が高く感染性偽関節を起こす原因となる。
  3. 固定期間が不足した場合には骨折部に常に外力が作用して仮骨形成が行われずに偽関節形成の原因となる。
  4. 偽関節の多くは骨癒合に障害を起こす原因がある場合に発生するが骨折部に持続的な圧迫力が加わる場合は骨癒合に有利な条件となる。

偽関節とは骨癒合が完全に停止して6ヵ月以上経過した状態であり発生原因として局所的原因・全身的原因・治療的原因があり理解する必要がある。

発生原因

局所的原因…
①骨癒合障害作動力(圧迫力は骨癒合好適条件)
②血行状況不良部
③骨片欠損
④血腫分散・流出
⑤軟部組織介在
⑥関節包内骨折<

全身的原因…
①体質異常
②内分泌異常
③栄養障害

治療的原因…
①整復・固定状態不良
②短期固定
③過度牽引療法

問題6長期臥床による合併症でないのはどれか。

  1. 沈下性肺炎
  2. 脂肪塞栓症
  3. 尿路感染症
  4. 廃用性萎縮

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解答 2

脂肪塞栓症は骨折部から流出する骨髄滴が血管内に流入して臓器で塞栓症を起こすので長期臥床が原因で発生しない。
長期臥床が原因で発生する続発症は臥床により体位変換する事が困難な為に起きる。

長期臥床による続発症

①褥瘡
…持続的圧迫による皮膚の血行障害で圧迫部では皮膚壊死が起きる。
※腓骨頭周辺部が圧迫を受けた場合には総腓骨神経麻痺が出現する。
②沈下性肺炎
…臥床位の継続で肺の循環血液が重力により停滞して易感染性となる。
③深部静脈血栓症
…長期臥床により血液の鬱滞が起こり静脈内で血栓が生じ臓器で捕捉されて塞栓症が発生する。
④筋萎縮
…患肢の不使用による関節拘縮や筋萎縮(無為性萎縮・廃用性萎縮)が生じる。
⑤尿路感染症
⑥認知症

問題7骨折の治療法について正しいのはどれか。

  1. 遠位骨片に近位骨片を適合させて整復する。
  2. 関節拘縮には徒手矯正運動を行う。
  3. 原則として機能的肢位で固定する。
  4. 等尺性運動は固定除去後より開始する。

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解答 3

  1. 近位骨片の位置に応じて遠位骨片を適合させて整復する。
  2. 関節拘縮に対しては自動運動を主体に行うことが原則であり無理な徒手矯正運動では軟部組織損傷を拡大させて骨化性筋炎などを起こす原因となる。
  3. 固定肢位は損傷により異なるが原則として機能的肢位=良肢位に固定する。
  4. 運動療法は自動運動を主体に固定に含まれない関節を関節拘縮の防止と循環促進を目的として固定直後より等尺性運動を開始する

問題8徒手整復が最も困難な脱臼はどれか。

  1. 顎関節前方脱臼
  2. 月状骨掌側脱臼
  3. 母指MP関節水平脱臼
  4. 習慣性膝蓋骨外側脱臼

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解答 3

MP関節脱臼では種子骨や軟部組織が嵌入しやすく徒手整復が困難となることが多い。

母指MP関節脱臼は背側脱臼(垂直脱臼・水平脱臼)・掌側脱臼・側方脱臼に分類され垂直脱臼が最も多く発生する。水平脱臼は種子骨が嵌入した状態が多く複合脱臼と呼ばれ徒手整復が不能である。掌側脱臼では手掌腱膜に嵌頓した状態が多く観血療法の適応例が多い。

問題9関節捻挫の初期処置について誤りはどれか。

  1. 患部を安静に保持することが最も重要である。
  2. 関節血腫には圧迫固定を行い吸収を促進させる。
  3. 循環促進を目的とする為に温熱療法を行う。
  4. 受傷肢位を制限する肢位で一定期間固定を行う。

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解答 3

  1. 関節捻挫ではRICE療法を基本原則に行いRest(安静)が最も重要である。
  2. 腫脹や血腫には患部に圧迫力を加えて過度な腫脹を抑制する。
  3. 受傷初期では患部の炎症を最低限に抑制する為にIce(冷却)を行い局所の循環を低下させる。
  4. 関節捻挫では靱帯損傷を伴うことが多く受傷肢位の制限と共に損傷断端を接近させる肢位で固定を行う。

軟部組織損傷では組織内圧上昇の原因となる出血を抑えて炎症症状を最小限に止める事が必要である。初期処置はRICEを基本原則にRest(安静)・Ice(冷却)・Compression(圧迫)・Elevation(高挙)を行う。さらに、Support(固定・補助)を行い患部を安静に保つことが大切である。

問題10肋骨骨折について正しいのはどれか。

  1. 第1肋骨に最も多く発生する。
  2. 直達外力では骨折端が外方に向く。
  3. 胸郭運動により疼痛が増強する。
  4. 骨片転位による変形が著しい。

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解答 3

  1. 肋骨骨折の好発部位は第5~8肋骨であり第7肋骨が最も多い。
  2. 直達外力で骨折した場合には骨折端が内方に向く。
  3. 胸郭運動により骨折部に動揺が生じて疼痛が増強する。
  4. 肋骨骨折は一般に転位することは少なく変形を呈することは稀である。

肋骨骨折について以下の内容に関しては必ず覚える。

≪特徴≫
①発生頻度
…乳幼児は稀な骨折⇒幼児で肋骨骨折を認めた場合は幼児虐待(DV)を疑う
②好発部位
…第5~8肋骨に多く第7肋骨が最も多い、前腋窩線上および乳頭線上

≪発生機序≫
①直達外力…骨折端は胸腔内方に向く
②介達外力…骨折端は胸腔外方に向く⇒屈曲骨折第Ⅲ型
③疲労骨折…ゴルフスイング⇒左側の肋骨結節から肋骨角の間に好発する

≪症状≫
①疼痛…深呼吸時痛・咳、くしゃみなど胸郭運動により激増する
②介達痛…圧迫痛
③圧痛…限局性圧痛
※肋骨骨折は単純X線撮影で診断が困難な事が多く疼痛は診断材料として有用である
④変形…一般に転位・変形は認められない
※変形が著明な場合には動揺性胸郭を疑う

問題11上腕骨顆上伸展型骨折の後遺症で誤りはどれか。

  1. フォルクマン拘縮
  2. 無腐性骨壊死
  3. 肘関節屈曲障害
  4. 内反肘変形残存

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解答 2

上腕骨顆上伸展型骨折では遠位骨片への血流は骨端側より供給されている為に無腐性骨壊死は少ない。

上腕骨顆上伸展型骨折は合併症が多く整復固定が困難な事もあり治療が困難な骨折である。合併症の出題頻度は高く原因と合わせて理解する必要がある。

上腕骨顆上伸展型骨折の合併症

阻血性拘縮=フォルクマン拘縮
※緊縛包帯・過度腫脹・鋭角固定・骨片転位未整復などの
 理由から前腕屈筋群に急激な退行性変性が生じる。
神経損傷…正中神経麻痺・橈骨神経麻痺・尺骨神経麻痺
※尺骨神経は遠位骨片の後方を走行する為に圧迫を受けることは少ない。
骨化性筋炎
※強力な手技療法・強制的他動運動は骨化性筋炎を助長させる為に
後療法は自動運動を主体に行う。
肘関節運動障害…肘関節屈伸運動
※遠位骨片の後上方転位の残存により肘関節屈曲運動障害が多く発生する。
形態的変形…内反肘変形・外反肘変形
※遠位骨片は内転・内旋転位を呈することが多く内反肘変形を後遺することが多い。

問題12コーレス骨折の治療法について誤りはどれか。

  1. 屈曲整復法は高度斜骨折に適応される。
  2. 手関節軽度掌尺屈位で固定する。
  3. 固定期間中は手指の自動運動を行う。
  4. 治療経過中の長母指伸筋腱断裂に注意する。

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解答 1

屈曲整復法は短縮転位が高度な横骨折に適応される。

コーレス骨折は近位骨片が回内転位を呈して遠位骨片が短縮・背側・橈側・回外方向に転位する。骨片転位を防止させる前腕回内位・手関節軽度掌尺屈位で固定を行う必要がある。しかし、手関節掌尺屈位が強い場合(コットン・ローダー肢位)では正中神経を圧迫して手根管症候群の原因となる為に注意が必要である。
固定期間中は固定に含まない手指の自動運動を行い浮腫の軽減に努める。さらに、治療経過中に長母指伸筋腱が断裂する事があり固定期間中から母指IP関節の伸展障害の出現に注意する。

問題13肩関節烏口下脱臼で正しいのはどれか。

  1. 肩関節内転・内旋強制で発生する。
  2. 三角筋部の膨隆が増大する。
  3. 肩峰下に脱臼骨頭を触知する。
  4. 肩関節軽度外転位で弾発性固定される。

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解答 4

  1. 肩関節前方脱臼の発生機序は肩関節に外転・外旋力が強制された際に肩峰と大結節が衝突して槓杆作用が働き脱臼する
  2. 骨頭が烏口突起下に転位する為に三角筋部の膨隆が消失して肩峰部が突出する
  3. 解剖的に上腕骨頭は肩峰下に位置しており脱臼により骨頭が烏口突起下に転位する
  4. 烏口下脱臼では肩関節は軽度外転約30~40°位に弾発性固定される

肩関節前方脱臼は烏口下脱臼と鎖骨下脱臼に分類され出現する症状に差異があり理解する必要がある。

≪烏口下脱臼≫
外観…
三角筋部の膨隆が消失して肩峰が角状に突出する
三角筋胸筋三角=モーレンハイム氏窩が消失する
肩関節は約30°外転位にある
上腕軸は外転・内旋位を呈する
 弾発性固定…肩関節30°外転位で弾発性固定される
※上腕骨外科頚外転型骨折と外観が類似する

≪鎖骨下脱臼≫
※烏口下脱臼の症状に加えて下記の症状がみられる
外観…
上肢の外転度は烏口下脱臼より強くなる
上腕は仮性短縮する

問題14肘関節後方脱臼で正しいのはどれか。

  1. 肘関節部に過伸展力が加わり発生する。
  2. 肘関節部は過伸展位を呈する。
  3. 肘関節の関節包後面が断裂する。
  4. 肘頭はヒューター線上に位置する。

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解答 1

2.
肘関節後方脱臼では肘関節軽度屈曲30~40°位で弾発性固定される。
3.
肘関節部の関節包前面が上腕骨遠位端部により損傷を受けて脱臼する。
4.
肘頭は上腕三頭筋腱により中枢側に牽引されて肘頭高位となりヒューター線及びヒューター三角は崩れる。

肘関節部に過伸展力が強制された際に肘頭は肘頭窩に衝突して上腕骨遠位端部を前方に押し出し関節包の前面を損傷して脱臼する。特徴的な症状としては上腕三頭筋が緊張することにより肘頭は中枢に転位して肘頭高位となり上腕三頭筋腱は索状に触れる。
肘関節後方脱臼では骨折を合併することが多く上腕骨内側上顆骨折・上腕骨外顆骨折・橈骨頭骨折・尺骨鈎状突起骨折に注意が必要である。

問題15肘内障について誤りはどれか。

  1. 2~4歳の幼小児に好発する。
  2. 橈骨輪状靱帯が不全脱臼する。
  3. 肘関節過伸展強制で発生する。
  4. 前腕回外運動制限が著明である。

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解答 3

肘内障は急激に手を引くなどの動作により牽引力が加わり発生する。

肘内障は2~4歳の幼小児に特徴的な障害で親が子供の手を急激に引くなどの動作により肘関節部に急激な牽引力が強制されて橈骨輪状靭帯が引かれて橈骨頭より逸脱した橈骨輪状靭帯の亜脱臼状態である。

≪症状≫
外観…前腕回内位で下垂する
機能障害…
患肢の挙動を拒む=動かさない⇒鎖骨骨折との鑑別診断が必要
前腕回外運動制限が著明である
③肘関節の軽度自動運動は可能である
腫脹…認めない

問題16腱板損傷の検査法はどれか。

  1. ヤーガソンテスト
  2. トムゼンテスト
  3. インピンジメントサイン
  4. ファーベラサイン

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解答 3

1.
Yergason testは上腕二頭筋長頭腱損傷で陽性を示す検査法である。
2.
Thomsen’s testは上腕骨外側上顆炎で陽性を示す検査法である。
4.
Fabere signは股関節疾患と坐骨神経痛との鑑別に用いる検査法で陽性を示す場合は股関節疾患を疑う。

腱板損傷は上腕骨大結節と肩峰が衝突する際に外力を受ける棘上筋腱に好発する。症状は外転60~120°の間に出現する疼痛三角筋部・大結節部の圧痛が特徴的である。陳旧例では棘上筋や棘下筋の萎縮が生じる。

≪検査法≫
①Painful arc sign=有痛弧…肩関節外転60~120°の間で疼痛が出現する
②Crepitus…肩関節外転60~120°の間でクリック音が生じる
③Drop arm sign…肩関節外転90°の保持が不能である
④Impingiment sign…上腕長軸圧に内旋・挙上を加えて疼痛が出現する

問題17大腿骨頸部内側骨折で正しいのはどれか。2つ選べ。

  1. 高齢者の発生頻度が高い。
  2. 下肢は外旋位を呈する。
  3. 転子果長が短縮する。
  4. 骨折部に圧迫力が加わる。

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解答 1・2

3.
大腿骨頸部内側骨折では大転子が中枢に偏位して大転子高位を呈し棘果長が短縮する。
4.
骨折線の走行により骨折部位には剪断力が作用して骨癒合が不利な状態となる。

大腿骨頸部骨折は骨粗鬆症を基盤とした高齢者に好発する。骨折部位により内側骨折(骨頭下骨折・中間部骨折)と外側骨折(転子間骨折・転子貫通骨折)に分類される。さらに、骨折型では内転型骨折と外転型骨折に分類され内転型が多く発生する。その為、大腿骨頸部内側骨折と出題された場合には内転型骨折と判断して解答する。大腿骨頸部内側内転型骨折の出題頻度は高く理解する必要がある。

≪症状≫
外観上…
①下 肢:外旋位
②股関節:内反股
③下肢長:棘果長短縮=大転子高位
疼 痛…スカルパ三角部圧痛・大転子部叩打痛
腫脹…関節包内骨折である為にびまん性に出現する⇒腫脹は著明ではない
機能障害…起立歩行不能・下肢伸展位での挙上不能

問題18大腿骨頸部内側骨折の合併症で誤りはどれか。

  1. 大腿骨頭壊死
  2. 沈下性肺炎
  3. 過剰仮骨形成
  4. 総腓骨神経麻痺

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解答 3

3.
大腿骨頸部骨折は骨癒合が悪く仮骨形成が低く過剰仮骨形成は生じない
4.
長期臥床により腓骨頭部に持続的な圧迫力が作用した場合に発生する。

大腿骨頸部骨折は以下に示す難治な理由から骨癒合は悪い。

≪治療が困難な理由≫
関節包内骨折…骨膜性仮骨形成が欠如する。
②栄養血管が末梢側より嵌入する為に骨折により大腿骨骨頭を養う栄養血管が断たれる。
③骨癒合に不利な力学的影響…骨骨折部に剪断力が作用する。
④高齢者に多く発生する…骨の再生能力が低く仮骨形成が弱い。
大腿骨頸部骨折は骨癒合が不利な骨折であり遷延治癒・偽関節の危険性が高く栄養血管を断裂する為に大腿骨頭壊死の危険性が高い。その為に観血療法の適応例が多く内側内転型骨折では観血療法の絶対的適応となる。

≪合併症≫
遷延仮骨形成・偽関節
大腿骨頭壊死
③長期臥床による続発症…褥瘡・総腓骨神経麻痺・沈下性肺炎・深部静脈血栓症・筋萎縮・尿路感染症・認知症

問題19大腿骨頸部骨折のパウエル(Pauwels)分類で誤りはどれか。

  1. 遠位骨片の骨片転位により分類される。
  2. 第1度には楔合型外転型骨折が含まれる。
  3. 第2度は骨癒合が不良な状態である。
  4. 第3度では骨折部に剪断力が作用する。

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解答 1

パウエル分類は水平線に対する骨折線の傾斜角度により3型に分類される。

パウエル(Pauwels)分類は大腿骨頸部内側骨折に用いられる単純X線像における水平線に対する骨折線の傾斜角度により3型に分類される。

≪パウエル(Pauwels)分類≫
第1度:30°以下で骨折部に圧迫力が加わる⇒骨癒合良好
※第1度では骨折部に圧迫力が加わる為に楔合型外転型骨折が含まれる。
第2度:30~70°で骨折部に剪断力が加わる⇒骨癒合不利
第3度:70°以上で骨折部に剪断力が加わる⇒骨癒合不利

問題20中足骨骨折について誤りはどれか。

  1. ジョーンズ骨折は骨癒合が遷延することが多い。
  2. 直達外力では開放性骨折になることが多い。
  3. 疲労骨折は第2・3中足骨に多く発生する。
  4. 第5中足骨基部剝離骨折は長腓骨筋腱の牽引力による。

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解答 4

第5中足骨基底部剝離骨折は付着する短腓骨筋の牽引力で発生する。

中足骨骨折は直達外力による第2・3中足骨骨幹部骨折が多く開放性骨折の頻度が高い。介達外力では足関節内返し強制で短腓骨筋腱が緊張して第5中足骨基底部剝離骨折(下駄骨折)が起きる。また、長距離走者や跳躍競技者に生じる第2・3中足骨骨幹部疲労骨折(行軍骨折)が発生する。さらに、サッカーやバスケットボールなどダッシュ・ターンを反復するスポーツ選手には第5中足骨近位骨幹部疲労骨折(Jones骨折)が発生することがあり常に外力が作用する為に骨癒合遷延や偽関節を形成することが多く観血療法の適応例が多い。

問題21アキレス腱断裂について誤りはどれか。

  1. 好発部位は筋腱移行部である。
  2. つま先立ちが不能となる。
  3. 足関節の自動底屈は可能である。
  4. トンプソンテストが陽性である。

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解答 1

アキレス腱断裂は腱実質部であるアキレス腱狭小部(踵骨付着部より2~4cm中枢)に好発する。

アキレス腱断裂は30~40歳代に退行性変性を基盤として介達外力により発生する事が多い。受傷時にアキレス腱部を殴打された衝撃が走る。断裂部の陥凹が触知されて爪先立ちは不能となる。自立歩行は可能であり足関節自動底屈は足指屈筋群の代償作用で可能である。アキレス腱断裂ではThompson’s testが陽性であり腓腹筋中央部を把握した際に足関節底屈が起きない。

問題22図の検査法で陽性を示す損傷はどれか。

  1. 内側半月板損傷
  2. 前十字靱帯損傷
  3. 後十字靱帯損傷
  4. 内側側副靱帯損傷

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解答 2

前十字靱帯損傷で陽性となる検査法はDrawer sign(前方引出し徴候)・Lachman test・N testで陽性となる。

図で示す検査法はN testであり前十字靱帯損傷で陽性を示す。膝関節部の靱帯・半月板損傷の検査法は必ず覚える。

≪側副靱帯損傷≫
①側方動揺検査(内側側副靱帯…外反動揺検査、外側側副靱帯…内反動揺検査)
②Apley test(牽引法)

≪前十字靱帯損傷≫
①Drawer sign(前方引出し徴候)
②Lachman test
③N test

≪後十字靱帯損傷≫
①Drawer sign(後方押込み徴候)
②sag sign(sagging)

≪半月板損傷≫
①Apley test(押圧法)
②McMurray test
③Watson-Jones test
④Steinmann test

問題23前十字靱帯損傷の症状で誤りはどれか。

  1. 前方不安定性
  2. 関節血腫
  3. 嵌頓症状
  4. 膝崩れ現象

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解答 3

嵌頓症状(ロッキング)は半月板損傷・関節遊離体・離断性骨軟骨炎など関節内部に関節運動を障害する原因がある場合に起きる症状で前十字靱帯断裂では稀である。

前十字靱帯損傷はスポーツ現場で起きることが多く下腿に外反・外旋力が強制された場合や脛骨前方移動が強制された場合(大腿四頭筋の強大収縮など)に発生する。関節血腫は著明に出現して膝蓋跳動検査が陽性となる。膝関節の可動域制限は著明であり歩行困難な場合が多い。膝関節の前方不安定性が出現して慢性期では膝崩れ現象が起きる。運動療法は屈曲運動から開始して完全伸展運動は機能が回復する迄行わない。

問題24足関節内反し捻挫について誤りはどれか。

  1. 前距腓靱帯断裂が最も多く発生する。
  2. 皮下出血班は靱帯断裂を示唆する。
  3. 前方引出し検査が陽性となる。
  4. 腓骨筋群の筋力強化が有効である。

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解答 2

足関節周辺は毛細血管網が発達している為に靱帯断裂が無い場合でも皮下出血班が出現するので皮下出血班の出現は靱帯断裂を示唆する症状とは断定されない

足関節捻挫は内返しによる足関節外側靭帯損傷が多く前距腓靭帯損傷が最も多い。足関節内返し捻挫で踵腓靭帯・後距腓靭帯・三角靭帯に断裂がある場合は重度損傷である。前距腓靱帯損傷では外果前方部に圧痛が認められ体重負荷時や受傷肢位の強制により疼痛が増大する。足関節捻挫では前方引出しテストで不安定性や疼痛が増大する。内反動揺検査では内反力を強制すると距骨傾斜角が増大して距骨と外果下端部の間に間隙が出現する。

問題25顎関節前方脱臼の症状について誤りはどれか。

  1. 開口位で弾発性固定される。
  2. 閉口運動障害が著明である。
  3. 下顎歯列が前方に転位する。
  4. 頬骨弓下部に陥凹部を認める。

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解答 4

関節頭は外耳孔前方(耳珠前方)部から頬骨弓下部に転位する為に外耳孔前方部には陥凹部が触知され頬骨弓下部には隆起を触れる

顎関節前方脱臼は解剖学的に関節窩の浅い女性に好発する。多くは極度な開口運動により関節包を損傷する事なく脱臼する。顎関節前方脱臼は両側脱臼と片側脱臼の症状の違いを合わせて理解する。

≪両側脱臼≫
外観…
①開口位
下顎歯列は上顎歯列の前方に偏位する⇒下顎前突様の長い顔貌を呈する。
触診…
外耳孔前方(耳珠前部)が陥凹する。
②関節頭が転位して頬骨弓下部に隆起する為に頬が扁平となる。
機能障害…閉口運動障害により咀嚼・談話が不能となる。
弾発性固定…外側靱帯・咬筋・外側翼突筋の作用で開口位に弾発性固定される。

≪片側脱臼≫
※両側脱臼ほど著明な症状を呈さない。
外観…頤(オトガイ)部が健側に偏位する。
弾発性固定…半開口位で弾発性固定される。
機能障害…軽度開閉運動は可能である(談話は少し判る)

問題26肋骨骨折の合併症で正しいのはどれか。

  1. 自然気胸
  2. 胸壁動揺
  3. 漏斗胸
  4. 肋鎖症候群

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解答 2

1.
自然気胸は肺胞の一部の嚢胞(ブラ)や胸膜直下に生じる嚢胞(ブレブ)が破裂して吸気が胸腔内に漏出して起きる気胸であり肋骨骨折で合併する気胸は外傷性気胸や緊張性気胸がある。
3.
漏斗胸は心窩部に生じる胸郭の陥凹変形でありマルファン症候群で見られる。
4.
肋鎖症候群は胸郭出口症候群に分類されて鎖骨骨折の変形治癒など肋鎖間隙の狭小化で発生する。

肋骨骨折は一般に骨片転位や変形を呈することは稀であるが動揺性胸郭や緊張性気胸など生命に危険を及ぼす合併症があり理解する必要がある。

≪合併症≫
動揺性胸郭
多発骨折では胸壁の支持力が消失して正常な肺機能の維持が不能となり換気障害・循環障害を合併して生命に危険を及ぼす。
※動揺性胸郭=胸壁動揺=Flail chest
外傷性気胸
発生頻度は低いが骨折端により胸膜が損傷して胸膜腔内に気体が貯留して呼吸困難を起こす。
緊張性気胸
損傷した胸膜が開口部で弁様となり吸気は可能だが呼気が不能となるチェックバルブ機構を呈して患側は陽圧が強くなり縦隔は健側に偏位して心臓は拡張障害を起こして心不全を起こす。
④他…血胸・胸腔内臓器損傷・腎損傷

問題27肋骨骨折の治療法で誤りはどれか。

  1. 整復を必要としないことが多い。
  2. 吸気状態で絆創膏を添付する。
  3. 絆創膏は前後正中線を越えて添付する。
  4. 下位肋骨から順次に上位肋骨を固定する。

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解答 2

肋骨骨折では胸郭運動を抑制する為に胸郭が最も縮小した呼気の状態で固定を行う

肋骨骨折は一般に骨片転位は稀で徒手整復を必要としない事が多い。肋骨骨折は屋根瓦状絆創膏固定法を用いて行う。絆創膏を添付する際は胸郭が最も縮小した呼気の状態で前後正中線を越えて健側から健側に終わる様に添付する。さらに、胸郭運動が大きい下位肋骨から順次に上位肋骨を固定する事が望ましい。

一般問題

問題28骨盤骨剥離骨折の原因となる筋の組合せで誤りはどれか。

  1. 腸骨綾剥離骨折――――――外腹斜筋
  2. 上前腸骨棘剥離骨折――――半腱様筋
  3. 下前腸骨棘剥離骨折――――大腿直筋
  4. 坐骨結節剥離骨折―――――大内転筋

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解答 2

上前腸骨棘剥離骨折は付着する縫工筋・大腿筋膜張筋の作用で剝離骨折が起きる。

骨盤骨剥離骨折は原因となる筋と好発する動作を合わせて理解する。付着する筋の作用であり解剖学知識が問われる。

部位原因筋動作骨片転位
腸骨綾剝離骨折外腹斜筋野球の空振り外上方転位
上前腸骨棘剝離骨折縫工筋
大腿筋膜張筋
短距離のスタート外下方転位
下前腸骨棘剝離骨折大腿直筋サッカーのキック下方転位
坐骨結節剝離骨大腿二頭筋長頭
半腱様筋・半膜様筋
大内転筋
ハードリング
チアリーディング
下方転位

問題29骨盤骨折について誤りはどれか。

  1. デュベルニー骨折の腸骨翼骨片は上外方に転位する。
  2. 恥骨枝骨折では尿道損傷を合併することが多い。
  3. 上前腸骨棘剝離骨折は短距離スタート時に発生する。
  4. マルゲーヌ骨折は患側棘果長が健側に比べて短縮する。

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解答 4

  1. デュベルニー骨折の骨片は外腹斜筋・内腹斜筋・腰方形筋の作用で上外方に転位する
  2. 恥骨枝骨折は前方から直達外力で発生する為に尿道・膀胱損傷の合併が多い
  3. 上前腸骨棘剝離骨折は短距離のスタート時に縫工筋・大腿筋膜張筋の作用で発生する。
  4. マルゲーヌ骨折の骨片は下肢と共に上方に転位する為に棘果長は不変である

デュベルニー骨折(腸骨翼単独骨折)の骨片は外腹斜筋・内腹斜筋・腰方形筋の作用で上外方に転位する為に棘果長は延長する。恥骨枝骨折は骨盤環骨折であり前方からの強大な直達外力で発生する。その為に尿道・膀胱損傷の合併頻度は高く多量な出血による出血性ショックの危険性も高い。マルゲーヌ骨折は骨盤環の連続性が骨盤の前後で離断された状態である。骨片は上方に転位する為に外観上の短縮は起きるが骨片は下肢と共に転位するので棘果長・転子果長は変化しない。

骨盤環骨折は直達外力で発生することが多く泌尿器損傷や出血性ショックを合併症する事が多く全身状態を観察する必要がある。骨癒合は良好であり治療にはキャンバス牽引法を用いる。近年では長距離走者に好発する恥骨枝疲労骨折が増加傾向である。

問題30大腿骨骨幹部上1/3部骨折で正しいのはどれか。

  1. 大腿骨骨幹部骨折で最も多く発生する。
  2. 外旋転位には大腿方形筋が作用する。
  3. 遠位骨片は腸腰筋により屈曲する。
  4. 斜骨折は整復位固定維持に有利である。

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解答 2

  1. 大腿骨骨幹部骨折は中1/3部骨折が最も多く次いで上1/3部骨折が多い
  2. 遠位骨片は大殿筋・深層外旋6筋の作用で外旋転位を呈する
  3. 近位骨片は屈曲・外転・外旋位に転位して近位骨片は内上方・短縮転位を呈する
  4. 斜骨折は再転位の傾向が強く整復位保持に不利に働く。

大腿骨骨幹部骨折は青壮年に直達外力が作用して中1/3部骨折が発生することが最も多い。下肢は外旋位を呈することが多く付着する筋作用により以下に示す骨片転位が起きる。小児骨折では過成長を考慮して約1cmの短縮転位を残して固定を行う。

≪骨片転位≫
近位骨片…
①屈曲転位→腸腰筋
②外転転位→中殿筋・小殿筋
③外旋転位→大殿筋・深層外旋筋(梨状筋・上双子筋・下双子筋・内閉鎖筋・外閉鎖筋・大腿方形筋)
遠位骨片…
①内上方転位→内転筋群
②短縮転位→骨盤大腿筋・骨盤下腿筋
※近位骨片の後方に位置する。

問題31膝部周辺の骨折について誤りはどれか。

  1. 大腿骨顆上伸展型骨折の遠位骨片は後方に転位する。
  2. 大腿骨遠位骨端線離開では膝窩動脈損傷に注意する。
  3. 脛骨外顆骨折では外反動揺性が出現する。
  4. 脛骨顆間隆起骨折ではラックマンテストが陽性となる。

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解答 1

  1. 大腿骨顆上伸展型骨折の遠位骨片は前方に転位する。
  2. 大腿骨遠位骨端線離開伸展型の近位骨片は後方転位を呈する為に膝窩動脈損傷の危険がある。
  3. 脛骨外顆骨折は内側側副靱帯が断裂する為に外反動揺性が出現する。
  4. 脛骨顆間隆起骨折は膝関節部に回旋力が働いた際に前十字靱帯に牽引力が加わり剝離骨折が起きるので前十字靱帯断裂の検査法が陽性となる。

問題32大腿骨外顆骨折で誤りはどれか。

  1. 関節内組織の損傷を伴う。
  2. Q-angleが減少する。
  3. 関節血腫が著明に出現する。
  4. 膝関節の不安定性が残存する。

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解答 2

大腿骨外顆骨折では外反膝変形を呈する為にQ-angleが増大する。

大腿骨顆部骨折は外顆骨折が最も多く発生する。膝関節外反位で軸圧を受けた際に発生する為に膝関節部は外反膝変形を呈してQ-angleが増大する。関節内骨折であり関節内組織損傷を合併するので関節血腫は著明に出現する。膝関節の可動域制限・変形・不安定性が残存することが多く膝関節機能修復が必要である。

問題33膝蓋骨骨折について正しいのはどれか。

  1. 直達外力では骨軟骨骨折が最も多く発生する。
  2. 腱膜下骨折では膝関節伸展力が著しく低下する。
  3. 遠位骨片は大腿四頭筋により延長転位を呈する。
  4. 徒手整復直後は膝関節伸展位で固定を行う。

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解答 4

骨軟骨骨折は膝蓋骨脱臼で自然整復された際に起きることが多く直達外力では横骨折・縦骨折・粉砕骨折が生じる

膝蓋骨骨折は横骨折が発生することが多く膝蓋骨中央部(下半分)に好発する。直達外力では横骨折・縦骨折・粉砕骨折が発生するが介達外力では定型的に大腿四頭筋の牽引力により横骨折が発生する腱膜下骨折は膝蓋骨を覆う腱膜に断裂がない場合骨片転位は軽度であり膝関節伸展動作が可能であることが多い腱膜断裂を伴う場合は膝関節伸展力が著しく低下して大腿四頭筋の作用で近位骨片は中枢側に転位(延長転位)する
治療法では腱膜断裂を伴う場合は観血療法の適応となるが骨片転位が軽度の場合は近位骨片を遠位骨片に適合させて大腿四頭筋が弛緩する膝関節伸展位で固定を行う

問題34下腿骨骨幹部骨折について誤りはどれか。

  1. 脛骨単独中下1/3境界部骨折が多い。
  2. 開放性骨折の発生頻度が高い。
  3. 直達外力では同高位で骨折が起きる。
  4. 反張下腿屈曲変形を呈することが多い。

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解答 1

脛骨単独骨折より脛腓両骨骨折が多く中下1/3境界部に好発する

下腿骨幹部骨折は脛腓両骨中下1/3境界部骨折が多く下腿部は被覆軟部組織が薄い為に開放性骨折が多く発生する小児骨折では脛骨単独骨膜下骨折・若木骨折が多く発生するので混同しない様に理解する。直達外力では横骨折が多く両骨は同高位で骨折する事が多い。介達外力では下腿部に回旋力が加わり腓骨が脛骨より近位で骨折する斜骨折・螺旋状骨折が多く発生する。下腿部に著しい変形が出現するが多くは反張下腿屈曲変形が出現する

問題35定型的下腿骨骨幹部骨折の症状で正しいのはどれか。

  1. 骨折線は前内方から後外上方に走行する。
  2. 近位骨片は後外上方に転位する。
  3. 遠位骨折端は内方に位置する。
  4. 屈側に楔状骨片を有することがある。

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解答 1

2.
近位骨片は前内方に転位して近位骨折端は内方に向く
3.
遠位骨片は後外上方に転位して遠位骨折端は後外方に向く
4.
屈側に楔状骨片が生じるのは直達外力で骨折する場合であり定型的骨折とは介達外力で下腿部に外旋力が強制されて起きる骨折を示すので誤りである。

定型的骨折は下腿部に外旋力が作用して中下1/3境界部で骨折する場合を示す。以下に示す定型的下腿骨骨幹部骨折の症状は必ず理解する。

≪症状≫
①骨折線…前内方から後外上方に走行する。
②骨片転位…
近位骨片は前内方転位を呈する。
近位骨折端は内方に向く⇒開放性骨折
遠位骨片は後外上方転位を呈する。
③変形…反張下腿屈曲変形が多い。

問題36下腿骨幹部骨折の合併症と原因の組合せで誤りはどれか。

  1. 尖足位拘縮――――――総腓骨神経麻痺
  2. 外反下腿変形―――――脛骨単独骨折
  3. 化膿性骨髄炎―――――開放性骨折
  4. 遷延仮骨形成―――――中下1/3境界部骨折

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解答 2

荷重時にはFTAの関係から足部外側に負荷が加わる為に両骨骨折の場合に外反下腿変形が出現する

下腿骨骨幹部骨折の合併症は出題頻度が高く原因と合わせて理解する。

≪合併症≫
①変形治癒
 反張下腿変形…整復固定の不備・尖足位拘縮の矯正・早期体重負荷
 外反下腿変形脛腓両骨骨折
 内反下腿変形脛骨単独骨折
尖足位拘縮足関節屈曲位固定・腓腹筋損傷・総腓骨神経麻痺
遷延仮骨形成・偽関節中下1/3境界部・開放性骨折
④神経麻痺
 脛骨神経麻痺…遠位骨折端による損傷
 総腓骨神経麻痺…腓骨頭付近の持続的圧迫・腓骨頭付近での骨折
コンパートメント症候群…高度腫脹・強固固定
感染症・化膿性骨髄炎…開放性骨折・褥瘡

問題37下腿骨果部外転型骨折で誤りはどれか。

  1. 足関節外転強制で発生する。
  2. 内果剝離骨折が発生する。
  3. 前距腓靱帯が完全断裂する。
  4. 開放創は脛骨果部に好発する。

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解答 3

発生機序により足関節外側部には圧迫力が加わる為に前距腓靱帯断裂は生じない

下腿骨果部骨折は足関節外転(外反)強制による外転型骨折が最も多く発生する。足関節外転(外反)強制により足関節内側には牽引力が加わり三角靱帯断裂もしくは内果剝離骨折が発生する。
骨性支持力を失い更に外転が強制されて足関節外側には圧迫力が作用する。その結果、距骨は外果と衝突して腓骨外果骨折が生じる。外転型骨折では足関節外反位を呈して内果部に近位骨折端が突出する。その為、内果部に皮膚の圧迫壊死や開放創が起きる

問題38下腿骨果部骨折で正しい組合せはどれか。

  1. デュピュイトレン骨折―――腓骨骨幹部骨折
  2. チロー骨折――――――――脛骨内縁部骨折
  3. コットン骨折―――――――三角靱帯完全断裂
  4. ポット骨折――――――――脛骨後縁関節面骨折

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解答 1

  1. デュピュイトレン骨折は内果骨折・腓骨骨幹部骨折(腓骨頸部骨折)・遠位脛腓関節完全離開を合併した骨折を示す。
  2. チロー骨折(チロー骨片)は脛骨外縁部骨折または脛腓靱帯付着部での剝離骨折を示しチロー骨片は外転型骨折の機序で生じる脛骨外縁部の小骨片を呼ぶ。
  3. コットン骨折は内果骨折・外果骨折・脛骨関節面前縁または後縁骨折を合併した三果部骨折を示す
  4. ポット骨折は三角靱帯断裂・腓骨外果骨折・遠位脛腓関節完全離開を合併した骨折を示す。

問題39踵骨骨折の合併症について誤りはどれか。

  1. 腓骨筋腱腱鞘炎
  2. 外傷性偏平足
  3. 無腐性骨壊死
  4. 変形性関節症

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解答 3

踵骨は内部が海綿骨に富み栄養血管の分布状況は良好であり骨折による血管断裂は少なく無腐性骨壊死は稀である

踵骨体部と踵骨隆起の連続性が離断した場合では内側縦アーチが消失して踵骨隆起は腓骨外果に接近する。その結果、足部横径が増大して外反偏平足を呈することが多い。腓骨筋腱は外果下方を走行する為に摩擦力が増大して腓骨筋腱腱鞘炎やアキレス腱周囲炎が発生する。さらに、踵骨骨折は関節内骨折が多く距骨下関節面を損傷することが多く足根骨アライメントの不整による慢性浮腫や疼痛が持続してSudeck骨萎縮(反射性交感神経性ジストロフィー)が続発することがある。

問題40股関節腸骨脱臼について誤りはどれか。

  1. 患肢は屈曲・内転・内旋位を呈する。
  2. 大転子部は末梢側に偏位する。
  3. 殿部の後上方が異常膨隆する。
  4. スカルパ三角部が無抵抗となる。

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解答 2

大転子はローゼル・ネラトン線より中枢に転位する為に大転子高位を呈して棘果長が仮性短縮する。

股関節後方脱臼は自動車助手席に乗車時に衝突事故に遭遇した際に股関節屈曲・内転・内旋位で大腿骨長軸上に後方へ押す力が作用して発生する(ダッシュボード損傷)。脱臼肢は定型的に屈曲・内転・内旋位に弾発性固定されて変形の程度は腸骨脱臼に比べて坐骨脱臼が著明に出現する。大転子はローゼル・ネラトン線より中枢に転位する為に大転子高位を呈して棘果長が仮性短縮する。脱臼骨頭は殿部の後上方に位置して膨隆を触知する。その結果、スカルパ三角内で骨頭を触れず鼠径靱帯中央部が無抵抗となる。

問題41外傷性股関節後方脱臼の合併症について誤りはどれか。

  1. 変形性股関節症
  2. 足関節伸展障害
  3. 大腿骨頭壊死
  4. 寛骨臼前縁部骨折

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解答 4

大腿骨頭の後方移動の強制で寛骨臼は大腿骨頭と衝突して寛骨臼後縁部骨折が起きる

股関節は臼状関節であり大腿骨頭と寛骨臼の接触面積は広く股関節後方脱臼の約50%以上で骨折を合併する。さらに、股関節関節面骨折を合併した場合は関節面の不適合を起因として2次的に変形性関節症が出現する。また、股関節後方を走行する坐骨神経(総腓骨神経・脛骨神経)を圧迫することがあり足関節伸展障害などが出現することがある。大腿骨頭の栄養血管は末梢側より嵌入する為に関節包の裂孔部で脱臼骨頭が絞扼を受けて場合には大腿骨頭壊死が発生する危険性が高い。

≪合併症≫
①骨折…寛骨臼後縁部骨折・大腿骨頭骨折・大腿骨頸部骨折
②神経損傷…坐骨神経(総腓骨神経・脛骨神経)麻痺
③大腿骨頭壊死
④大腿骨頭靱帯断裂
⑤骨化性筋炎
⑥変形性股関節症

問題42股関節脱臼の治療法について正しいのはどれか。

  1. 運動療法は股関節内転・内旋運動を行う。
  2. 大腿骨頭靱帯断裂は整復障害となる。
  3. 骨頭壊死の予防には早期体重負荷を行う。
  4. 約24ヵ月の経過観察が必要である。

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解答 4

  1. 運動療法は等尺性運動から開始して股関節屈曲・内転・内旋方向の運動は避ける
  2. 大腿骨頭靱帯と共に剥離した骨頭の一部が関節窩内に介在した場合は整復障害となるが大腿骨頭靱帯の断裂は整復障害にならない。
  3. 大腿骨頭壊死の予防の為に整復後約3週間は介達牽引による安静臥床が必要であり早期体重負荷は大腿骨頭壊死を助長する
  4. 大腿骨頭壊死の出現確認は単純X線撮影では困難であり確認可能に要する期間は約2~24ヵ月と長くCT撮影による長期経過観察が必要である

問題43習慣性膝蓋骨脱臼の発生要因で誤りはどれか。

  1. 膝蓋骨高位
  2. 外顆低形成
  3. FTA増大
  4. 下腿外旋

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解答 3

FTA(大腿脛骨外側角)が減少した場合では膝蓋骨外側への力が増大して膝蓋骨に外側方向への張力が働く

膝蓋骨外側脱臼の多くは先天的素因・形態異常を基盤として膝蓋骨外側への応力が増大することが原因となる。

≪習慣性膝蓋骨脱臼の発生原因≫
①外顆部形成不全・膝蓋骨中央綾低形成
②膝蓋骨高位
③大腿骨頸部前年角増大
④FTA(大腿脛骨外側角)減少
⑤Q-angle増大
⑥下腿外旋(脛骨粗面外側偏位)
⑦外反膝
⑧内側広筋脆弱化
⑨全身性関節弛緩
⑩マルアライメント症候群

問題44膝関節前方脱臼について誤りはどれか。

  1. 膝関節部に過伸展力が強制されて発生する。
  2. 膝関節過伸展位で弾発性固定される。
  3. 膝窩動脈損傷に伴う下腿壊死に注意する。
  4. 膝関節の不安定性を後遺することが多い。

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解答 2

  1. 膝関節に過伸展力が強制された場合に脱臼が発生する。
  2. 後方脱臼では膝関節は過伸展位を呈するが前方脱臼では膝関節は伸展位で弾発性固定される。
  3. 大腿骨遠位端部が後方に偏位する為に膝窩部を走行する膝窩動脈を圧迫することが多く下腿壊死の危険性が高い
  4. 十字靱帯や側副靱帯などの主要靱帯が断裂する為に膝関節の不安定性を後遺する

問題45距腿関節脱臼で正しいのはどれか。2つ選べ。

  1. 下腿骨果部骨折に伴う外側脱臼が多い。
  2. 内側脱臼では足部が回内位を呈する。
  3. 前方脱臼では踵骨隆起が消失する。
  4. 後方脱臼は足関節伸展強制で発生する。

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解答 1・3

2.
内側脱臼は足関節内転・内旋強制で発生する為に足関節内反位=回外位を呈する。
4.
後方脱臼では足関節屈曲強制により脛骨関節面後縁部骨折を伴い脱臼する。

距腿関節脱臼の多くは下腿骨果部外転型骨折に伴い発生機序を理解する事が必要である。

分類発生機序外観症状固定肢位
外側脱臼足関節外転・外旋強制足関節外反位
=足関節回内位
内果部突出軽度内転位
内側脱臼足関節内転・内旋強制足関節内反位
=足関節回外位
外果部突出軽度外転位
後方脱臼足関節過屈曲強制足関節屈曲位前足部短縮(踵骨隆起突出)
脛骨関節面後縁部骨折合併
軽度伸展位
前方脱臼足関節過伸展強制足関節伸展位前足部延長(踵骨隆起消失)
脛骨関節面前縁部骨折合併
軽度屈曲位
上方脱臼上方への突き上げ   

問題46定型的胸骨骨折について誤りはどれか。

  1. 直達外力で発生することが多い。
  2. 第2肋軟骨付着部に好発する。
  3. 遠位骨片が後方転位を呈する。
  4. 疼痛緩和の目的で腹式呼吸を行う。

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解答 3

定型的胸骨骨折は遠位骨片が前方転位を呈して近位骨片に騎乗する骨折を示す。

胸骨骨折は自動車事故(ハンドル外傷)による直達外力で骨折することが多く胸腔内臓器損傷の合併に注意を要する好発部位は第2肋軟骨付着部である胸骨柄・体境界部であり骨折型は横骨折が最も多い。定型的骨折は胸骨柄・体境界部での骨折で遠位骨片が前方に転位して近位骨片に騎乗する骨折を示す。

≪定型的骨折 症状≫
①疼痛緩和肢位…頭部を下垂して両肩を前内方に縮めた疼痛緩和肢位をとる
②疼痛…呼吸時痛が著明である疼痛緩和の目的で腹式呼吸を行う
③骨片転位…遠位骨片が前方に転位して近位骨片に騎乗する

問題47胸腰椎移行部圧迫骨折で正しいのはどれか。

  1. 限局性圧痛が著明である。
  2. 椎体は楔状変形を呈する。
  3. 体幹前屈位で固定を行う。
  4. 脊髄損傷を合併することが多い。

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解答 2

  1. 椎体を直接触れる事は不能であり限局性圧痛は確認されず棘突起叩打痛が著明である
  2. 脊椎屈曲位での圧迫外力で発生する為に椎体前方部が圧挫された楔状変形を呈する
  3. ベーラー法・反張背臥位法・背臥位吊上げ法により体幹後屈位で整復固定を行う
  4. 脊椎後部の損傷は少なく安定性が良好な為に脊髄損傷の合併は少ない

脊椎圧迫骨折は高齢者が脊椎屈曲位で尻もちを衝いた際に胸腰椎移行部に圧迫力が加わり第12胸椎・第1腰椎に骨折する事が多い。棘突起叩打痛が著明体幹前屈運動が制限される。椎体は前方部が圧潰されて楔状変形を呈する

問題48股関節部の損傷で正しいのはどれか。2つ選べ。

  1. 股関節外転位拘縮では患側の棘果長が仮性延長する。
  2. 弾発股は大腿筋膜張筋と大転子部で生じる摩擦損傷である。
  3. 梨状筋症候群はL1-L2ヘルニアとの鑑別が必要である。
  4. 大腿直筋の瘢痕性治癒により尻上がり現象が出現する。

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解答 2・4

  1. 股関節外転位拘縮では患側骨盤が傾斜して外観上の下肢は短縮するが実際の棘果長は左右等長である
  2. 弾発股は股関節屈伸運動の反復により大腿筋膜張筋が大転子部と摩擦が起きて生じる
  3. 梨状筋症候群は股関節外旋運動の反復により坐骨神経が摩擦・絞扼されて生じる
  4. 大腿直筋が瘢痕治癒した場合には筋の柔軟性が低下して尻上がり現象が出現する

股関節拘縮外転位拘縮では患側骨盤が下方に傾斜して外観上の下肢は仮性延長するが実際の棘果長は左右等長である。また、股関節内転位拘縮では患側骨盤が上方に傾斜して外観上の下肢は短縮するが左右の棘果長は不変である。
弾発股は股関節屈伸運動の反復により大腿筋膜張筋が大転子部と摩擦が起きて生じる。股関節屈伸時の疼痛を伴うクリック音が発生する。
梨状筋症候群は股関節外旋運動の反復により坐骨神経が摩擦・絞扼を受けて坐骨神経支配領域に疼痛・痺れ感が発生する。下位腰椎椎間板ヘルニアとの鑑別診断が必要である。
股関節屈曲位拘縮では骨盤前方傾斜角が増大して腰椎前彎が増強する。Thomas test(+)であり大腿直筋拘縮では尻上がり現象が出現する。

問題49損傷と疼痛部位の組合せで誤りはどれか。

  1. 膝蓋靱帯炎――――膝蓋骨下端部
  2. 腸脛靱帯炎――――腓骨頭部
  3. 鵞足炎――――――脛骨粗面内側部
  4. 足底腱膜炎――――踵骨隆起内側突起部

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解答 2

  1. 膝蓋靱帯炎は繰返す大腿四頭筋の作用により膝蓋靱帯に炎症が起きた状態で膝蓋靱帯部・膝蓋骨下端部に圧痛を認める
  2. 腸脛靱帯炎は膝関節屈伸動作の反復により腸脛靱帯と大腿骨外側上顆との間で摩擦が生じて炎症が起きた状態大腿骨外側上顆部に圧痛を認める
  3. 鵞足炎は鵞足筋(縫工筋・薄筋・半腱様筋)付着する部位で牽引ストレスが加わり炎症が生じた状態で鵞足部である脛骨粗面内側部に圧痛を認める
  4. 足底腱膜炎は過度な起立歩行により足底腱膜に炎症が生じた状態で踵骨隆起内側突起部に圧痛を認める

如何でしたでしょうか。
前回と重複している部分もありますがしっかりと理解し知識として下さい。次回は長文問題を中心に展開します。

プロフィール

西村 雅道

医学博士 柔道整復師 鍼灸師 柔道整復師専科教員免許
一社)日本整体協会インストラクター
北斗総合整骨院院長

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