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柔道整復師国家試験対策【第20回:生理学 ―骨代謝~感覚器編―】

分野別問題 国家試験対策

こんにちは。今回も生理学の問題を出題させて頂きます。
今回は骨代謝、神経系、筋肉調節、感覚器の範囲から出題します。

骨代謝

問題1骨形成に関係ないものはどれか。

  1. ビタミンD
  2. 運動
  3. 成長ホルモン
  4. グリコーゲン

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解答 4

骨は、破骨細胞による骨吸収と骨芽細胞による骨形成により、絶えず更新され続けている。

この吸収・形成作用は、上皮小体ホルモン(パラソルモン)・カルシトニン・ビタミンDによる骨代謝ホルモンにより行われている。
また、このようなホルモン作用以外にも、骨形成には、適度な運動によって骨に加わる応力も必要と慣れている。

問題2血中カルシウム濃度を増加させるものはどれか。2つ選べ。

  1. ビタミンD
  2. パラソルモン
  3. カルシトニン
  4. アドレナリン

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解答 1・2

カルシウム代謝ホルモン
1) パラソルモン 血中カルシウム濃度増加
2) カルシトニン 血中カルシウム濃度低下
3) ビタミンD  血中カルシウム濃度増加

神経

問題3脱分極時、細胞内に大量に流入するものはどれか。

  1. ナトリウムイオン
  2. カリウムイオン
  3. 重炭酸イオン
  4. マグネシウムイオン

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解答 1

脱分極:膜電位が正の方向へ上昇する相
→ ナトリウムチャネルの開放によるナトリウムの細胞内流入による。
再分極:膜電位が負の方向へ下降する相
→ カリウムチャネル開放によるカリウムの細胞外流出による

問題4Ⅱ線維はどれか。

  1. 触覚
  2. 筋紡錘からの求心性情報
  3. 痛覚
  4. 顯紡錘からの求心性情報

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解答 1

神経線維の数字分類

Ⅰα線維:筋紡錘からの求心性情報
Ⅰb線維:腱紡錘からの求心性情報
Ⅱ線維:触圧覚 
Ⅲ線維:痛覚 温覚 冷覚
Ⅳ線維:痛覚

問題5交感神経節前線維はどれか。

  1. Aα線維
  2. Aγ線維
  3. B線維
  4. C線維

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解答 3

神経線維の文字分類

Aα線維:骨格筋遠心性線維、筋紡錘求心性線維 (Ⅰa線維)
Aβ線維:触圧覚(Ⅱ群線維)
Aγ線維:筋紡錘遠心性線維
Aδ線維:痛覚(一次痛)温覚 冷覚(Ⅲ群線維)
B線維:交感神経節前線維
C線維:痛覚(二次痛)⇒ Ⅳ群線維
交感神経節後線維

問題6末梢神経でも中枢神経でも認められる化学伝達物質はどれか。

  1. アセチルコリン
  2. ドーパミン
  3. GABA
  4. セロトニン

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解答 1

アセチルコリン・アドレナリン・ノルアドレナリンは中枢神経でも末梢神経でも認められる神経科化学伝達物質である。

問題7シナプス伝達について誤りはどれか。

  1. 電気的伝達である。
  2. 遅延性を認める。
  3. 可塑性をもつ。
  4. 高頻度刺激により疲労する。

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解答 1

シナプス伝達の特徴

1) 化学的伝達である→伝達に化学物質を用いる。
2) シナプス疲労
3) シナプス遅延
4) 反復刺激後増強
5) シナプス可塑性
6) 酸素不足、薬物による影響を受ける

問題8シナプス後膜にIPSP(抑制性シナプス後電位)を発生させるものはどれか。

  1. アセチルコリン
  2. GABA
  3. アドレナリン
  4. セロトニン

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解答 2

シナプス伝達における化学伝達物質

興奮性化学伝達物質:
シナプス後膜にEPSP(興奮性シナプス後電位)を起こす
→ アセチルコリン アドレナリン ノルアドレナリン ドーパミン セロトニン

抑制生化学伝達物質:
シナプス後膜にIPSP(抑制性シナプス後電位)を起こす
→ グリシン GABA(γアミノ酪酸)

問題9交感神経線維が通過する神経節はどれか。

  1. 脳神経節
  2. 腹腔神経節
  3. 毛様体神経節
  4. 耳神経節

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解答 2

交感神経節 
1) 上、中、下頚神経節
2) 星状神経節
3) 腹腔神経節 
4) 上腸間膜神経節
5) 下腸間膜神経節

副交感性神経節
1) 毛様体神経節
2) 耳神経節
3) 翼口蓋神経節
4) 顎下神経節

体性神経節
1) 脳神経節
2) 脊髄神経節

問題10自律神経単独支配でないものはどれか。

  1. 瞳孔括約筋
  2. 唾液腺
  3. 汗腺
  4. 立毛筋

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解答 2

自律神経支配特徴

1) 単独支配
①交感神経単独支配:汗腺 立毛筋 末梢血管 瞳孔散大筋 副腎
②副交感神経単独支配:瞳孔括約筋

2) 拮抗支配でないもの(どちらも同じ作用)
交感神経、副交感神経共に分泌促進→唾液腺

問題11視床下部に存在しない中枢はどれか。

  1. 体温調節中枢
  2. 飲水中枢
  3. 嚥下中枢
  4. 摂食中枢

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解答 3

視床下部に存在する中枢:
体温調節中枢 飲水中枢 摂食中枢 性行動に関する中枢

嚥下中枢・唾液分泌中枢・咳中枢・くしゃみ中枢・呼吸中枢・循環中枢は延髄に存在している。

問題12筋紡錘の伸張が反射誘発刺激とならない反射はどれか。

  1. 伸張反射
  2. 緊張性頚反射
  3. 膝蓋腱反射
  4. 屈曲反射

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解答 4

屈曲反射:
身体に有害が侵害刺激を受けた際に、刺激側の屈筋が収縮する反射である。

よって、この反射を引き起こすための誘発刺激として、筋紡錘の伸張は関連しない。
伸張反射・緊張性頚反射・膝蓋腱反射では、反射を引き起こす際に、筋紡錘伸張が関与している反射である。

問題13脊髄反射でないものはどれか。

  1. 交叉性伸展反射
  2. 伸張反射
  3. 緊張性頚反射
  4. 屈曲反射

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解答 3

代表的脊髄反射
1) 伸張反射
2) 交叉性伸展反射
3) 屈曲反射
4) 引っ掻き反射
5) 四肢間反射

代表的脳幹反射
1) 前庭眼球反射
2) 角膜反射
3) 下顎反射
4) 緊張性(前庭)迷路反射
5) 緊張性頚反射

代表的大脳皮質を中枢とする反射
1) 跳び直り反射
2) 踏み直り反射
3) 立ち直り反射

問題14交感神経性の反応でないものはどれか。

  1. 心拍亢進
  2. 瞳孔縮小
  3. 発汗
  4. 血管収縮

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解答 2

瞳孔縮小は、瞳孔括約筋の収縮によるものである。
瞳孔括約筋は、副交感神経単独支配であるために、交感神経性の反応ではない。

筋収縮

問題15筋収縮について誤りはどれか。

  1. 筋小胞体からカルシウムイオンが放出される。
  2. アクチンのクロスブリッチがミオシンを引き込む。
  3. 弛緩時にもATPを必要とする。
  4. 終板には、アセチルコリンが放出される。

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解答 2

筋収縮過程
1) 筋小胞体からカルシウムイオンが放出
2) カルシウムイオンとトロポニンが結合し、アクチンとミオシンが結合
3) ミオシンのクロスブッリッチ運動によりアクチンのスライド運動→筋収縮
4) アクチンとミオシンの結合解離→筋弛緩
5) カルシウムイオンの筋小胞体への回収

※筋収縮時のATP利用
1) クロスブリッチの運動
2) アクチンとミオシンの結合解離
3) カルシウムイオンの筋小胞体への回収

筋細胞膜を興奮させるためには、運動神経終末部からアセチルコリンが放出され、終板(筋細胞膜)にあるアセチルコリン受容体と結合することが必要。

問題16筋内で有酸素的ATP産生が行われるのはどこか。

  1. 細胞質
  2. ミトコンドリア内
  3. 核内
  4. ゴルジ装置内

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解答 2

筋内ATP産生反応
①ATP-CP系(ローマン反応)⇒無酸素的であり、細胞質で起こる反応
②解糖系⇒無酸素的であり、細胞質で起こる反応
③酸化的リン酸化・電子伝達系⇒有酸素的であり、ミトコンドリア内で起こる反応

問題17平滑筋について誤りはどれか。

  1. 単収縮の持続時間が長い。
  2. 単ユニット平滑筋は自動性を有する。
  3. 多ユニット平滑筋は自律神経単独支配である。
  4. 全てにギャップ結合を認める。

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解答 4

平滑筋の特徴(骨格筋、心筋に比べて)

1) 単収縮の持続時間が長い
2) 疲労しにくい

平滑筋腫類

1) 単ユニット平滑筋
    ①ギャップ結合を有し、一つの細胞のように働く
    ②自動性を有する
    Ex 子宮筋 腸管

2) 多ユニット平滑筋
    ① 自律神経単独支配を受ける
    Ex 立毛筋 瞳孔括約筋 瞳孔散大筋

感覚

問題18皮膚感覚でないものはどれか。

  1. 痛覚
  2. 触圧覚
  3. 筋伸張度
  4. 温度覚

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解答 3

体性感覚:表在感覚と皮膚感覚
表在感覚→痛覚 温度覚(温覚、冷覚) 触圧覚
深部感覚→位置覚 振動覚(関節包 筋 靭帯の感覚)

問題19意識調節と関係のないものはどれか。

  1. 脳幹毛様体
  2. 視床下部
  3. 視床
  4. 大脳連合野

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解答 2

意識調節に関連する部位
⇒ 脳幹毛様体・視床(非特殊感覚中継核)・大脳連合野

問題20触圧覚密度が最も高い部位はどこか。

  1. 背中
  2. 肩部
  3. 殿部

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解答 2

触圧覚分布密度
→ 顔面部、手指部で高い(二点弁別域が高い)
尚、密度の高い部分では、閾値も低くなっている。

問題21可聴周波数帯でヒトが敏感である周波数帯はどれか。

  1. 1HZ
  2. 100HZ
  3. 1000HZ
  4. 10000HZ

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解答 3

可聴周波数(ヒトが感じ取れることの出来る周波数帯)
下限15~20Hz 上限2000Hz
このうち最も敏感な周波数帯は、500~3,000Hzである。
ちなみに、音の強さは音圧でありdB(デシベル)であらわされる。

問題22近距離視において誤りはどれか。

  1. 最初の像の位置は網膜の前方である。
  2. 調節時水晶体の厚さは、増大する。
  3. 調節時毛様体筋は、収縮する。
  4. 調節時、毛様体小体は弛緩する。

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解答 1

近距離調節について

近くのものを見たときには、最初の像の位置は、網膜の後方である。
ピントにより、この後方に出来た像を前方に移動させ、網膜上に持ってくる必要がある。
像を前方に移動させる場合は、光の屈折度(ギオプトリー)を増大させる必要がある。
ジオプトリーを増大させるためには、水晶体の厚さを増大させなければならない。
水晶体の厚さを増大させるためには、毛様体筋を収縮させ、毛様体小体を弛緩させる。
以上により、近距離調節が可能となる。
遠距離調節はこの逆をとる。

問題23網膜に存在する視細胞はどれか。

  1. 錐状体細胞
  2. 色素上皮細胞
  3. 神経節細胞
  4. アマクリン細胞

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解答 1

視細胞:光や色を受容する受容細胞
網膜の視細胞層に存在する
→ 杆状体細胞 錐状体細胞

如何でしたか。
今回は皆さんが苦手としているが多く含まれています。この問題だけで十分出題しきれていない部分もあります。国家試験の過去問も是非とも実施してみて下さい。昨年度のバックナンバーで今回の部分をしっかりと履修して下さい。次回は柔整を出題します。

プロフィール

西村 雅道

医学博士 柔道整復師 鍼灸師 柔道整復師専科教員免許
一社)日本整体協会インストラクター
北斗総合整骨院院長

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