柔道整復師国家試験対策【第18回:生理学 ―概説~体温編―】
こんにちは。今回からは生理学の問題を三回に渡り出題させて頂きます。
一回目の今回は概説から体温までの範囲を出題します。
概説
問題1細胞膜を構成するものはどれか 2つ選べ
- 脂質
- 糖質
- 核酸
- 蛋白質
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解答 1・4
細胞膜は、リン脂質とタンパク質からなる。
リン脂質の二重層膜となっている。
一枚のリン脂質は親水基と疎水基からなっている。
問題2細胞内消化機能を有するものはどれか
- 核
- リソソーム
- ゴルジ装置
- リボゾーム
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解答 2
主要な細胞小器官
リボゾーム:タンパク質の合成
ゴルジ装置:タンパク質の濃縮加工
リソソーム:細胞内消化機能
中心小体:細胞分裂時に染色体を両極に引き付ける
核:DNA合成
問題3受動輸送でないものはどれか
- ナトリウムポンプによる輸送
- 血漿成分の細胞外輸送
- 糸球体からボーマン嚢への物質ろ過
- ガス分圧による酸素移動
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解答 1
ナトリウムポンプを使った物質輸送は、能動輸送である。
血漿成分の細胞外輸送は、血圧・浸透を利用した受動輸送、
糸球体からボーマン嚢への物質ろ過は、ろ過圧を利用した受動輸送、
ガス分圧の差による酸素移動は、拡散による受動輸送である。
問題4細胞外液中に多く存在するものはどれか
- カリウムイオン
- 蛋白質イオン
- ナトリウムイオン
- リン酸イオン
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解答 3
細胞外液中に多く含まれるイオン
ナトリウムイオン 塩素イオン 重炭酸イオン カルシウムイオン
細胞内液中に多く含まれるイオン
カリウムイオン リン酸イオン マグネシウムイオン
これらのイオンの中で、 ナトリウムイオン、カルシウムイオン、カリウムイオン、マグネシウムイオンは陽イオン、他のものは陰イオンとなっている。
問題5揮発性酸性物質はどれか
- 炭酸
- 乳酸
- リン酸
- シュウ酸
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解答 1
炭酸は体内で発生、二酸化炭素に変化し体外へ排出することの出来る揮発性酸性物質である。
血液
問題6寿命が最も長いものはどれか
- 血小板
- マクロファージ
- 赤血球
- 好中球
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解答 3
赤血球:約120日
血小板:約10日
白血球:約3~21日
問題7膠質浸透圧の維持に強くかかわっているものはどれか
- フィブリノゲン
- アルブミン
- グルコース
- グロブリン
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解答 2
血漿タンパク機能
アルブミン:膠質浸透圧の維持 血液緩衝作用 担送機能
グロブリン:免疫機能
フィブリノゲン:血液凝固機能
問題8ヘモグロビンの働きとして誤りはどれか
- 二酸化炭素運搬
- 酸素運搬
- 血液緩衝作用
- 貪食作用
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解答 4
ヘモグロビンの働き
① 酸素運搬
② 血液緩衝作用(酸塩基平衡の維持)
③ 二酸化炭素運搬機能(カルバミノ化合物合成)
があげられる。
古くなったヘモグロビンは脾臓・肝臓代謝処理され、ビリルビンを生じる。
問題9A型血清と凝集反応を起こすものはどれか 2つ選べ
- A型
- B型
- AB型
- O型
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解答 2・3
A型血清には抗B(β抗体)が含まれている。
この抗B抗体は、A型とAB型の赤血球膜状に存在する凝集原Aと凝集反応をおこす。
凝集原・凝集素一覧
A型 凝集原A、抗B(β抗体)抗体
B型 凝集原B、抗A(α抗体)抗体
AB型 凝集原A・B、抗体は有していない
O型 凝集原は有しない、 抗A・抗B
問題10血漿蛋白でないものはどれか
- アルブミン
- グロブリン
- トロンビン
- フィブリン
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解答 3
血漿タンパク
1) アルブミン:膠質浸透圧の維持、担送機能
2) グロブリン:免疫機能
3) フィブリノゲン:血液凝固機能
トロンビンは血液凝固因子であるが、血漿タンパクではない。
問題11血液凝固反応を促進させるものでないのはどれか
- カルシウムイオン
- ハーゲマン因子
- プロトロンビン
- プラスミン
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解答 4
血液凝固因子
血液凝固反応を起こすために必要な因子で一般に12因子存在する。
代表的な因子:
ハーゲマン因子 プロトロンビン フィブリノゲン
カルシウムイオン クリスマス因子 トロンボプラスチン
※ プラスミンは線維素融解因子であり、血液凝固反応に対しては抑制的に作用する。
循環
問題12心筋刺激伝導系でないものはどれか
- 洞房結節
- 房室結節
- プルキンエ線維
- 腱索
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解答 4
刺激伝導系:収縮に必要な興奮を産生し、その興奮を心筋へ伝導する機能を持つ
洞房結節→房室結節→ヒス足→左・右脚→プルキンエ線維の順で伝導される。
興奮は洞房結節で産生される。
※ 腱索は、心臓房室弁先端から心室内腔に張っている弁の逆流防止線維である。
問題13心電図において心室機能を表すものでないのはどれか
- P波
- QRS波
- ST波
- T波
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解答 1
心電図
P波:心房の興奮
QRS波:心室に興奮が広がる時期
ST波:心室全体が興奮している時期
T波:心室の興奮消退
問題14歩調取り電位が認められる部位はどこか
- ヒス束
- 洞房結節
- プルキンエ線維
- 固有心筋
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解答 2
歩調取り電位:
細胞の電位記録おいて、活動電位間の間の電位が一定せずに、緩やかな脱分極電位を呈するのこの電位である。主として洞房結節に認めれる。(房室結節にも)
呼吸
問題15安静呼吸筋でないのはどれか 2つ選べ
- 横隔膜
- 外肋間筋
- 内肋間筋
- 腹直筋
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解答 3・4
安静吸息運動:外肋間筋収縮 横隔膜収縮
安静呼息運動:外肋間筋弛緩 横隔膜弛緩
努力性吸息運動:安静吸息筋+胸鎖乳突筋 斜角筋 大胸筋
努力性呼息運動:腹直筋 腹斜筋 内肋間筋
問題16吸息時の変化で誤りはどれか
- 外肋間筋の収縮
- 胸膜腔陰圧度の増大
- 肋骨の挙上
- 内肋間筋の収縮
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解答 4
吸息運動:
胸郭容積の増大⇒胸膜腔陰圧度増大⇒肺胞内圧陰圧
(外肋間筋・横隔膜収縮)
呼息運動:
胸郭容積の縮小⇒胸膜腔陰圧度減少⇒肺胞内圧陽圧
胸郭容積増大時、肋骨は挙上する。
問題17ヘモグロビンと酸素との結合度に影響する因子でないものはどれか
- 酸素分圧
- 血液温度
- 水素イオン濃度
- 血漿タンパク量
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解答 4
ヘモグロビンと酸素結合との因子
①酸素分圧:上昇で結合度は強くなり、下降で弱くなる。
②血液温度:低下で結合度は強くなり、上昇で弱くなる。
③血液pH:増加で結合度は強くなり、低下で弱くなる。
④代謝産物の影響:DPG(2,3ジフォスフォグリセリン酸は結合を阻害する)
問題18酸素受容器はどれか 2つ選べ
- 頚動脈小体
- 容量受容器
- 大動脈体
- 中枢性化学受容器
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解答 1・3
血液受容器
ガス(酸素分圧・二酸化炭素分圧)受容器 ⇒ 化学受容器
量・血圧受容器 ⇒ 圧受容器
化学受容器は、酸素受容器と二酸化炭素受容器が存在する
酸素受容器:頚動脈小体 大動脈体
二酸化炭素受容器:中枢性化学受容器(延髄)
問題19呼吸中枢はどこにあるか
- 延髄
- 橋
- 中脳
- 間脳
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解答 1
延髄に存在する中枢:循環中枢 呼吸中枢 唾液分泌中枢 くしゃみせき中枢
橋に存在する中枢:呼吸調節中枢 排尿中枢
中脳に存在する中枢: 縮瞳中枢
消化吸収
問題20唾液中に含まれる消化酵素はどれか
- リパーゼ
- プリアリン
- トリプシノーゲン
- アミノペプチターゼ
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解答 2
各消化酵素について
唾液:唾液アミラーゼ(プチアリン)
胃液:ペプシノーゲン
膵液:
膵アミラーゼ(アミロプシン) αグルコシダーゼ(マルターゼ)
トリプシノゲン キモトリプシノゲン プロカルボキシペプチターゼ
膵リパーゼ(ステアプシン)
腸:
αグルコシダーゼ(マルターゼ) スクラーゼ ラクターゼ
アミノペプチターゼ 腸リパーゼ
問題21中性脂肪の分解産物でないものはどれか
- グリセロール
- 脂肪酸
- リン脂質
- グリセリド
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解答 3
中性脂肪(トリグリセリド):三つの脂肪酸とグリセロールの化合物
中性脂肪を分解すると、グリセロール・脂肪酸・グリセリドが産物として発生する。
リン脂質は、脂質の1つであるが、中性脂肪との関連はない。
問題22酸性の消化液はどれか
- 胆汁
- 胃液
- 膵液
- 腸液
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解答 2
胃液は、消化液の中で唯一の産生である。
唾液⇒中性 胃液⇒酸性 腸液⇒アルカリ性 膵液⇒アルカリ性
問題23肝機能でないものはどれか
- グリコーゲンの合成
- 消化酵素の生成
- 血液凝固因子の生成
- 有害物質の無毒化
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解答 2
肝機能
①栄養素の貯蔵(グリコーゲン 脂質)
②血液凝固因子の生成(プロトロンビン フィブリノーゲン)
③胆汁の生成
④有害物質の無毒化(窒素化合物の尿素への変換など)
⑤ヘパリン、アルブミンの生成
栄養代謝
問題24単糖類でないものはどれか
- でんぷん
- グルコース
- ガラクトース
- フルクトース
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解答 1
糖質分類
多糖類:でんぷん
二糖類:マルトース(麦芽糖) ラクトース(乳糖) スクロース(蔗糖)
単糖類:グルコース(ブドウ糖) ガラクトース フルクトース(果糖)
問題25基礎代謝量に影響を与えるもの因子とならないのはどれか
- 年齢
- 性別
- 骨密度
- 環境温度
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解答 3
基礎代謝量:
完全なる精神的肉体的安静状態で、室温の下摂食後12~14時間で放出されるエネルギー量
影響因子:環境温度、性別、年齢、影響状態、ホルモン、体表面積量
20歳男性 1500kcal 女性1200kcal
問題26基礎代謝量について誤りはどれか
- 性差が存在する
- 精神的肉体的安静状態時の24時間で産生放出されるエネルギー量
- 体表面積に比例する
- 男性は1日1500kcalである
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解答 2
基礎代謝量: 安静閉眼状態(肉体的精神的安定状態)で摂食後12~14時間・快適な室温状態の下で、放出されるエネルギー量(覚醒時の生命維持に最低限必要なエネルギー量)である。
性差・年齢・環境温度・栄養状態に左右される。
また、基本的には皮膚体表面積量に比例する。
体温
問題27熱産生について誤りはどれか
- 日内リズムが存在する
- 性周期では黄体期に高くなる
- 運動時、食後増加する
- ホルモンの影響を受けない
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解答 4
体温の生理的変動
①日内リズム:朝方を最低、夕方を最高とした日内リズム
②年齢:老年期以降低下傾向となる
③性周期:黄体期に上昇する。
④その他:運動時や食後に増加する。
熱産生は、骨格筋運動によるふるえ産熱とホルモン(成長ホルモン・甲状腺ホルモン・副腎ホルモン)・交感神経の影響による非ふるえ産熱機能によって行われる。
問題28体温上昇が起こらないものはどれか
- 日内変動による夕刻
- 女性周期の卵胞期
- 食後1時間後
- スポーツ実施中
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解答 2
体温の生理的変動
1)日内変動:朝型4時を最低、夕方4時を最高とする 2
2)性周期:黄体期に体温は上昇。排卵日には一過性に低下する。
3)特異動的作用:摂食後30~90分で体温は上昇する。 4
4)エネルギー消費:筋運動により上昇する。
如何でしたか。
この問題だけで十分出題しきれていない部分もあります。国家試験の過去問も是非とも実施してみて下さい。昨年度のバックナンバーで今回の部分をしっかりと履修して下さい。次回は残りの部分を出題します。
プロフィール
西村 雅道
医学博士 柔道整復師 鍼灸師 柔道整復師専科教員免許
一社)日本整体協会インストラクター
北斗総合整骨院院長
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