柔道整復師国家試験対策【第11回:一般臨床医学 ―総論~泌尿器疾患編―】
今回で11回目となる国家試験対策講座。前回までは2回にわたり柔道整復学をお送りしました。今月と来月の2回にわたり一般臨床医学をお送りしたいと思います。1回目の今回は総論、呼吸器、循環器、造血器、泌尿器疾患をお送りします。
総論
1)重症心疾患や肺疾患で認められる肢位は
起坐呼吸
2)マンウェルニッケ肢位を呈する疾患
脳血管障害(脳梗塞、脳出血)
3)前かがみ姿勢を呈する疾患
パーキンソン病
4)後弓反張を呈する疾患
髄膜炎、破傷風
5)エビ姿勢を取る疾患
膵炎、胆石症
6)症候性肥満、症候性やせを呈する疾患
症候性肥満:
クッシング、性腺機能不全、甲状腺機能低下、Ⅱ型DM
7)不随意運動の種類
痙攣、振戦、アテトーゼ、舞踏病振戦、チック、ミオクローヌス
8)テタニー痙攣を呈する疾患
低カルシウム血症、破傷風
9)てんかんで認められる不随意運動は
痙攣
10)静止振戦を呈する疾患
パーキンソン病、甲状腺機能亢進症
11)企図振戦を呈する疾患
多発性硬化症、小脳疾患
12)羽ばたき振戦を呈する疾患
肝硬変症、ウィルソン病
13)アテトーゼを呈する疾患
脳性小児麻痺
14)蝶形紅斑を認める疾病は
SLE
15)手掌紅斑を認める疾病は
肝硬変
16)口腔内や外陰部に潰瘍を認める疾病は
ベーチェット病
17)仮面用顔貌を呈する疾病は (2つ)
パーキンソン病、強皮症
18)悪性腫瘍の末期等で認められる顔貌は
ヒポクラテス顔貌
19)クッシング症候群で認められる顔貌
満月様顔貌
20)眼球突出を認める疾病は
バセドウ病
21)眼瞼下垂を認める疾病
重症筋無力症、動眼神経麻痺、ホルネル症候群
22)ベル現象を認める疾病
末梢性顔面神経麻痺
23)共同偏視をみとめる疾病は
脳血管障害
24)猩紅熱で認める舌の変化
イチゴ舌
25)口腔内で認める麻疹時の斑点
コプリック斑
26)アフタ性の皮疹を認める疾病
ベーチェット病
27)歯肉等にしみが沈着する(黒色斑)を呈する疾患
アジソン病
28)頚部前面の甲状腺が腫大する疾患
バセドウ病、橋本病
29)胸部打診で濁音を聴取するもの
胸水、無気肺、肺化膿症
30)胸部打診で鼓音を聴取するもの
肺気腫、気胸
31)錐体路障害時の筋トーヌスの状態と代表的現象
筋トーヌス亢進(屈筋か伸筋)、ジャックナイフ現象
32)錐体外路障害時の筋トーヌスの状態と代表的現象
筋トーヌス亢進(屈筋と伸筋)、鉛管現象
33)筋トーヌスの低下により認められる現象と代表疾患
振子運動、小脳疾患、脊髄癆
34)表在反射を2つ
粘膜反射、皮膚反射
35)粘膜反射を2つ
角膜反射、咽頭反射
36)皮膚反射を4つ
腹壁反射、挙睾筋反射、足底反射、肛門反射
37)深部反射を4つ以上
膝蓋腱反射、アキレス腱反射、下顎反射、円回内筋反射
38)病的反射出現する障害
錐体路障害
39)健常者でも病的反射が出現する年代
乳児
40)上肢の病的反射を3つ
ホフマン反射、トレムナー反射、ワルテンベルグ反射
41)下肢の病的反射 3つ
バビンスキー、チャドック、オッペンハイム、ゴンダなど
42)上肢、下肢病的反射の母指の陽性所見は
上肢:母指(前肢屈曲)
下肢:母指背屈
呼吸器疾患
1)かぜ症候群の病態
上気道の感染症(鼻腔、咽頭、喉頭)
2)かぜ症候群の主要な病原体
ウィルス(ライノ、コロナ)
3)気管支喘息の病態
可逆性の気道閉塞
4)気管支喘息における呼吸困難
呼気性呼吸困難
5)呼気性呼吸困難
アトピー型:幼小児
感染型:中年以降
6)気管支喘息発生の好発時期
秋、季節の変わり目、夜間から明け方
7)気管支喘息発生の誘発因子
寒冷、運動、アルコール、大気汚染
8)気管支喘息の重篤症状
チアノーゼ、起坐呼吸
9)気管支喘息時の胸郭の変形
樽状胸郭(前後径の増大)
10)気管支喘息時呼吸音・呼気相・1秒率伸変化
呼吸音:減弱
呼気相:延長
1秒率:低下
11)気管支喘息時、血液中(血清中)に増えるもの(2つ)
好酸球、IgE
12)慢性閉塞性肺疾患の別名
肺気腫
13)慢性閉塞性肺疾患における呼吸障害
慢性閉塞性肺疾患における呼吸障害
14)慢性閉塞性肺疾患の好発年齢、性差
中年男性
15)慢性閉塞性肺疾患の発生要因を複数
喫煙、大気汚染、α1アンチトロンビン欠損
16)慢性閉塞性肺疾患の呼吸障害の出現はどんなとき
労作時呼吸困難
17)慢性閉塞性肺疾患の胸郭、呼吸音、1秒率
呼吸音:減弱
呼気相:延長
1秒率:低下
樽状胸郭
18)慢性閉塞性肺疾患患者の肺肝境界、打診音
低下、鼓音
19)慢性閉塞性肺疾患患者の残気量
増大
20)肺炎の炎症部位
肺胞
21)肺炎の原因
細菌感染が主
22)免疫能力低下によって起こる肺炎
真菌性、原中性肺炎
23)肺癌を分類し、好発部位
扁平上皮癌、小細胞癌:中枢側
大細胞癌、腺癌:末梢側
24)最も好発する肺癌
扁平上皮・腺癌
25)男性/女性に多い肺癌
男性:扁平上皮癌
女性:腺癌
26)肺癌の合併症
上大静脈症候群:浮腫、怒張
パンコースト症候群:
体性神経症状+交感神経障害(ホルネル症候群)
27)ホルネル症候群の主症状
縮瞳・眼瞼裂縮小・眼球陥凹
28)自然気胸の原因
肺嚢胞の破裂
29)自然気胸を発生し易い人の特徴
男性、やせ、高身長、喫煙
30)自然気胸時の呼吸音、打診音
呼吸音:減弱、打診音:鼓音
循環器疾患
1)狭心症と心筋梗塞の病態
狭心症:一過性の心筋虚血
心筋梗塞:心筋の壊死胞
2)心筋梗塞と狭心症の病因とその病因の発生因子
冠動脈硬化
高LDLコレステロール、喫煙、高血圧、肥満、糖尿病、ストレス
3)心筋梗塞と狭心症の胸部痛の発生の違い
胸痛持続時間が数分OR数十分以上
4)ニトログリセリンが有用なのは狭心症と心筋梗塞のどちらか
狭心症
5)心筋梗塞時の特徴的心電図
異常Q波、ST上昇、冠性T波
6)心疾患時に放散痛を感じる部位
下顎、左上肢
7)心筋梗塞時に血清値が上昇するもの
血清CK その他 GOT,LDH
8)右心不全時にうっ血する部位
大循環系
9)左心不全時にうっ血する部位
小循環系
10)代表的右心不全症状
腹水、上下肢の静脈怒張、浮腫
11)代表的左心不全症状
起坐呼吸、呼吸障害
12)ファロー四徴症は先天性か、後天性か
先天性
13)ファロー四徴症の四徴
肺動脈狭窄、右室肥大、心室中隔欠損、大動脈騎乗
14)ファローの代表的症状と指の変化
チアノーゼ、太鼓バチ指
15)解離性大動脈瘤の病態
大動脈中膜の解離
16)解離性大動脈瘤の初発症状は
胸部痛(呼吸困難)
17)バージャー病の別名は
閉塞性血栓血管炎
18)バージャー病の発症し易い年代と性別
青壮年、男性
19)バージャー病の発生し易い部位
下肢、細動脈
20)バ―ジャー病の誘発因子と特徴的跛行
喫煙、間欠性跛行
21)レイノー病(症候群)って何
寒冷刺激等によって四肢末梢に起こる虚血状態(チアノーゼ)
蒼白⇒暗赤色
22)レイノー症候群の起き易い年齢性別
若い女性
造血器疾患
1)鉄欠乏性貧血の病態
鉄の欠乏による貧血(正常赤血球の産生力低下)
2)鉄欠乏性貧血の何球性何色素性貧血か
小球性低色素性貧血
3)鉄欠乏性貧血の原因要素
鉄分の需要増大:小児期、妊娠期
鉄の排泄増大:出血(出産、消化管出血、慢性出血)
鉄の吸収力低下:胃切除
4)鉄欠乏性貧血の代表的症状
貧血症状(疲労感、倦怠感、動悸、息切れ、耳鳴り)
スプーン状爪
5)悪性貧血とは
ビタミンB12欠乏による巨赤芽球性貧血
6)悪性貧血時にビタミンB12欠乏に至る原因は
胃のキャッスル因子に対する自己抗体(自己免疫疾患)
7)悪性貧血の何球性何色素性貧血か
大球性正色素性貧血
8)悪性貧血時の代表的症状
悪性貧血時の代表的症状
9)悪性貧血時の舌炎を何とよぶか
ハンター舌炎
10)再生不良性貧血の病態は
骨髄造血幹細胞形成障害による汎血球減少
11)再生不良性貧血痔の代表的症状
貧血症状、易感染性、出血傾向
12)血小板減少性紫斑病の病態
血小板に対する自己抗体による血小板の破壊
13)血小板減少性紫斑病の代表的症状
出血、紫斑
14)血友病の病態
血液凝固因子の欠乏
15)血友病の遺伝形式
血友病の遺伝形式
16)血友病A,Bの説明
血友病A:第8因子欠乏
B:第9因子の欠乏
17)血友病の代表的症状
出血、紫斑
筋内、関節内に起き易い
泌尿器疾患
1)腎不全時の、血清尿素窒素(BUN)値、血清クレアチニン値、血清カリウム値、血清ナトリウム値を答えよ
BUN値:上昇 クレアチニン値:上昇 カリウム値:上昇 ナトリウム値:減少
2)腎不全時の代表的症状は
浮腫、アミン口臭、代謝性アシドーシス、乏尿無尿、高血圧
3)急性糸球体腎炎の発症の特徴は
A群β型溶血レンサ球菌による先行感染
4)A群β型溶血レンサ球菌による先行感染
乏尿、高血圧 血尿、浮腫
5)慢性糸球体腎炎の4徴
高血圧、血尿、浮腫
6)急性糸球体腎炎の好発年齢
小児
7)ネフローゼ症候群の4徴
蛋白尿、低蛋白血症、高脂血症、浮腫
8)膀胱炎の原因
細菌感染による膀胱内の炎症
9)膀胱炎の症状
排尿痛、頻尿、尿混濁、排尿痛、下腹部痛
10)前立腺肥大症の症状
残尿感、頻尿、排尿障害(尿閉、遷延性排尿)
如何でしたか。今回は、総論42項目、呼吸器30項目、循環器22項目、造血器17項目、泌尿器10項目の計121項目をお伝えしました。一般臨床医学は必修問題で2題、一般問題で22題の計24題出題されます。必修問題に関しては、総論から出題されるか、もしくは膠原関連や神経疾患などの各論からも出題されることもありますので、広く浅く取り組まれることが大事となります。また、一般問題の22題のうち16題ほどは比較的簡単な問題が多く出題される傾向ですので、今回と次回で提示する部分を十分に理解し、整理しておけば問題ないかと思います。いよいよ国家試験までの残す所3ヵ月弱となってきました。年内、もしくは年末年始までは、これまで提示して来た解剖学、生理学、柔道整復理論、今回提示する一般臨床医学の固めに徹して頂いても十分です。他の教科等にも目移りしやすい時期となってきますが、これらの教科で大丈夫であろうかと思います。それほどこの4教科は大切になってきます。ユーザーの中で、未だにこれらの教科で、これまでに提示している内容を知識として把握していない方はそろそろ黄信号です。12月、年末年始を有意義に使い、予定立てて把握するようにして下さい。長い人生の中で、勉強づけの年末年始があってもいいじゃないですか笑。皆様の健闘を祈ります。
プロフィール
西村 雅道
柔道整復師、鍼灸師、柔道整復専科教員、医科学修士
北斗総合整骨院院長 (一社)日本整体協会NSTインストラクター、柔道整復師、鍼灸師、、柔道整復専科教員、医科学修士
平成15年より平成26年まで学校法人杏文学園東京柔道整復専門学校に在職、同校の国家試験対策を牽引。また国家試験対策塾『杏文塾』の代表として同塾を運営。著書に一般臨床ポイントマスター。現在北里大学大学院博士課程に在学。
PR
PR