柔整ホットニュース
ニュース
柔整師への行政措置の半数が大阪府
整骨院などで治療を行う柔道整復師による療養費の不正請求が後を絶たない。
大阪市生野区の整骨院で勤務していた女性柔整師(43)は、2006年7月~2009年9月までに、患者25人を利用し345万円の療養費を不正請求していた事が判明。大阪府は7月末、この柔整師に、患者に代わって保険料給付を申請できる「受領委任」の取り扱いを5年間中止する行政措置を下した。
同様の不正は全国各地で起きている。厚生労働省によると、不正請求が発覚して整復師が行政処分を受けた件数は、06年度の9件から5年間で2.5倍に増加。昨年不正請求で行政処分を受けた柔整師24件のうち、13件を大阪が占めている。大阪府は、今年度も4~7月の4か月間に不正請求で既に5件の行政措置を下しており、「昨年度の13件を上回る可能性は高い」(府国民健康保険課)という。
大阪府柔道整復師会によると、背景には施術所の急増があり、「1施設あたりの所得が年々減少していることが一因ではないか」とみている。厚労省によると、全国の施術所数は10年末で約3万8千か所で、5年前から2割以上も増えた。
柔道整復師の養成学校の設立が規制緩和で増加し、10年の合格者数は10年前の5倍の約5500人に上る。既存の施術所だけでは雇用の受け皿が足りず、整復師の資格を得てすぐに個人開業するケースも多いという。
特に、大阪府ではその傾向が強い。約5千か所の施術所で9千人弱の整復師が働く東京都に対し、大阪府は人口がその7割弱にすぎないのに、約6千か所の施術所で7千人強が治療(施術)に当たる。日本柔道整復師会の工藤鉄男副会長は「一国一城のあるじが多く、保険請求の際に個人の裁量が入り易いのでは。業界全体のイメージダウンが心配。保険請求のルール見直しが必要かもしれない」と話す。
1年前まで兵庫県内の整骨院に勤めていた男性(42)によると、不正請求は「慢性の関節痛」を「急性の捻挫」などと偽る手口が多く、「骨折」と「脱臼」は治療(施術)に医師の同意が必要で、不正請求しにくいという。
この男性は「整骨院の数が増えて競争が激化しているうえ、施術に必要な機器も高額。不正請求しないと経営が難しい」と釈明する。
大阪府国民健康保険課の担当者は「患者側も、肩こりや腰痛などで健康保険を使わないように注意してほしい」と呼びかけている。
<ニュースソース>
日経新聞(2011/08/27)