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健保組合、保険料引き上げるも昨年赤字4154億円

2011/09/09

大企業の会社員とその家族などが加入する健康保険組合(全1458組合)の2010年度決算は、医療費増加で4154億円の赤字になった。全体の28%に当たる415組合が保険料率を引き上げたものの、過去最大だった09年度に次ぐ赤字額となった。

健康保険組合連合会(健保連)の発表によると、全体の76%の1115組合が赤字となった。収入の大半を占める保険料収入は、09年度比2.9%増の6兆1404億円だった。75歳以上を対象に地方自治体が運営する高齢者医療制度への拠出金が10年7月から増えたことなどに合わせ、10年度から保険料率の引き上げに踏み切った組合が多かったことが背景となっている。加入者の平均給与は減ったが、09年度に減少した賞与が回復したことも寄与した。
支出面では、給付費が10年度に医療費の単価である診療報酬が引き上げられたことや高齢化の進展、医療技術の高度化などで3兆4449億円と3%増えた。

健保連の予算集計によると、11年度は全組合で計6000億円超の経常赤字となる見込みで、赤字組合の割合は過去最悪の約9割に上りそうだ。厚労省は2010年7月に導入した「総報酬割」※の適用対象を、一部ではなく支援金全体に広げる方針だ。

健保組合の10年2月末の平均保険料率は7.67%と、前年同期比0.22ポイント上昇している。協会けんぽの料率9.34%を上回る組合が69組合あり、協会けんぽより料率が高ければ企業が組合を持つ利点は薄れる。 健保連の白川専務理事は8日の会見で「積立金の取り崩しによる対応が限界に近づいており、解散組合が増えるのではないかと懸念している」と述べた。

 

総報酬割
各健保加入者数に応じてではなく、加入者の平均年収が高いと負担も重くなるという拠出金の算定方式。
10年度決算では08年度に概算で支払った支援金の精算に伴い、300億円程度の戻り益があった。これが赤字幅の縮小に寄与したものの、「総報酬割」導入による支援金の負担増加は5000億円。10年度は夏からの8か月分だけだったが、11年度はこれが通年でかかるため、負担はさらに重くなる見通し。

 

 

<ニュースソース>
日本経済新聞(2011/09/09)