柔整ホットニュース
ニュース
整骨院・接骨院 相次ぐ不正の実態を探る
柔道整復師が施術の内容や回数を偽って健康保険を不正に請求する例が相次いで発覚している。柔整師の急増による競争激化が背景にあるとみられ、特に整骨院などの数が全国一の大阪では不正が多い。
朝日新聞の取材に対し、大阪府大阪狭山市の整骨院の経営者の男性柔道整復師(65)は、「開院から約20年間、不正を続けてきた」と認めた。 手口としては「従業員の家族を患者に仕立てる」「1回だけの客を何度も通院したことにする」等で、健康保険組合などに療養費を請求して受領した額は「数千万円くらい」という。 元従業員は「マッサージもけがとして保険請求し、診療日数の水増しも当然のように行われていた」と答え、取材に応じた柔整師は「経営が厳しく、不正をしないと成り立たない」と話す。
不正への監視を強める保険者のリストを作る柔整師団体もあり、全国で数千人が加入する団体の6月の会報には、「最も注意を要する保険者一覧」として約80の健保・国保・共済組合の実名が並んでいたという。
会計検査院の2008年の調査によると、柔整師の保険申請と患者約900人への負傷部位の内容が異なるケースが66%。保険対象外の肩こりなどで治療したのに、保険適用の外傷として請求されていたケースも半数以上に上った。
08年度の厚生労働省の調査では、大阪府内の柔整師が3部位以上の治療をしたとして保険請求した割合は全国平均より3割近く高い79.5%。8割近い患者が一度に3カ所以上のけがをしたことになる。
不正の背景として関係者が挙げるのが競争の激化である。国は1990年代後半まで「過当競争につながる」として柔整師養成学校の新設を規制していたが訴訟で敗訴し、柔整師養成学校は当時の14校から今春には103校になった。それにともない全国の柔整師数は02年の約3万千人から約7万8500人に増えた。 特に大阪の整骨院・接骨院数は08年時点で東京より約800件多い約5200件となり、昨年度に悪質な不正請求をしたとして厚生労働省が健康保険の取り扱いを停止した24件のうち半数は大阪の柔整師だった。
浜西千秋・近畿大学医学部主任教授(整形外科)は「患者が全額負担し、後で保険請求する方法にすべきだ。制度を抜本的に変えないと、不正はなくならないだろう」と話している。
<ニュースソース>
朝日新聞(2011/07/16)
http://www.asahi.com/kansai/news/OSK201107160126.html