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北陸地区保険者会議開催される
平成24年11月9日13時より、患者と柔整師の会主催「北陸地区保険者会議」が、ANAクラウンプラザホテル富山において開催された。
冒頭、患者と柔整師の会・今城康夫代表より挨拶があり、事務局から資料説明や保険者訪問報告、柔道整復療養費検討専門委員会の傍聴報告が行われた。
本論では、はじめに進行役の本多氏から第三次案を提案するに至った経緯が説明され、その後、当日の流れについて〝前半は受領委任払い制度というものを残すという前提で、どのような仕組みにすべきか、後半はその仕組みを運用していく上で審査基準をどう見直すべきかについて、皆さんのご意見をお聞かせいただき、改善のための資料にしたい〟と述べ、意見交換へと移った。
受領委任払い制度について
本多氏は、受領委任払いについて〝昭和11年当時、鍼灸や柔整にかかる方が多かったが、現物給付の対象ではなかった。そこで現物給付に類似した扱いとして、償還払いではなく施術した柔道整復師に一部負担金を払うことができる受領委任というシステムを作った。当時の日本には整形外科医が殆ど存在せず、柔道整復師が整形外科的な施術を賄っており、現物給付に近い扱いをした方が利用者である患者さんにプラスになるだろうと設置された〟と制度が開始された背景を説明。続けて〝しかし戦後になると整形外科医が増え、柔道整復師とは違った医療方針で西洋医学の医者として普及した。また国民皆保険制度によって保険医療が当たり前となり、当然柔道整復師にかかる患者さんも全部療養費でやってもらいたいという方向になっていった。同時にもうひとつ大きな問題として、最高裁の判決以降、従来厚労省の指導で抑えられていた柔道整復師養成校の数が急増した。したがって柔道整復師の数も飛躍的に伸び、それに比例して質が低下してしまった〟と問題を提起した。
保険者からは、
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- 療養費の審査会が月に1回行われており、そこで勉強しているが、これから先、柔道整復師数が増えていくことで質の低下が一番懸念されている。
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- 春休みや夏休みになると毎日県外の接骨院に通っている子供さんがいて、そういった請求を見ると明らかに不正請求だと感じる。ただ請求明細だけを見ていると、ちゃんと怪我があって毎日治療したとなっており不正とは言えない。モラルの問題で、今の制度では抑えきれない部分もあると思う。
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- 資格者が毎年5,000人も6,000人も増えていくということが、柔道整復師の質やモラルの低下を生じさせていると感じる。臨床研修がなくペーパーテストだけという資格制度そのものに問題があるとすれば、そこから改善をしないと倫理問題についてもなかなか解決しないのではないか。
との意見が挙げられ、本多氏は〝技術力の問題とモラルの問題がある。どの機関でどのように教育するのかが、この制度を改革する際の非常に大事な点である。柔道整復師は資格を取ってしまえば、施術歴が10年だろうが1年だろうが同じ金額が請求できる。これでは市場原理は働かない。そこで登録制度の中で臨床研修や柔道整復師の倫理観教育を行なっていきたい〟と述べた。
また、保険者から〝いい加減なレセプトを出してきた場合、その接骨院等に対してどこまで懲罰ができるのか〟と問われると、本多氏は〝不適当なレセプトが上がってきて確認すると、院長が変わっているが院はそのまま残っているという場合がある。そのようなケースを防止しなければならない。登録制度では経営者の名前まで登録させようと考えている。裏に隠れて見えない不正を働いている経営者を登録制度によって表に出し、犯罪が起こった際に刑事罰が及ぶような仕組みを提案している。また5年毎の更新制にすることで、その間に問題が起きた場合には更新を拒否するというように、きちんとルール化する方が懲罰を与えるよりも生産的で効果的だと考えている〟と、登録制度により不正を根絶することの必要性を強調した。
さらに〝自費診療と保険診療を両方行っている接骨院が増えていると実感しているが、柔道整復師は自費診療と保険診療の線引きをどこまで理解しているのかと疑問に思う〟との意見には、〝部位が制限されたり単価が低かったりと生活が苦しいから、苦肉の策として保険で通るところは保険請求し、通らない部分は自由診療としている。つまり被保険者が負担を強いられていることになる。このような問題をきちんと指摘していかなければならない〟として、次の議題である「審査基準の見直し」へと話題を繋げた。