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施術療養費支給申請書点検業務外部委託の現状と問題点
―その2 外部委託業者の権限等について―
その1「返戻・患者照会の実態」で明らかになったことは、保険者が外部業者に審査を委託することで疑義のあるレセプトについて患者照会がされ、施術者側と相違した場合返戻になっているが、近年特にレセプトの返戻が増えているということではなく、外部業者に委託する保険者が急増し、その増加した分、返戻が増えたということである。
一方、これまで執拗に調査を繰り返し行ってきた保険者が外部委託することによって、事務的な処理となったことからレセプト返戻数が減少したという実態もあった。
しかし返戻になっても再請求すればその殆どは支払われているものの、結果的には3割が再請求しないということであった。
更に、患者照会により患者さんが接骨院にかかることが悪いことをしているのではないかという不安から受診をあきらめ、結果として患者の医療機関の選択を制限しているのではないか、ということである。
これらの問題について某接骨師会の理事に尋ねたところ〝まず返戻の3割は再請求しないというのは問題です。正しい請求をしているならば、あくまでも怯むことなく再請求をすべきです。また受診抑制につながるような患者照会は問題です。〟と話した。
一方、請求者側に問題がなかった場合は、患者照会が殆どないということであり、団体によっては全く返戻がない団体もあると聞く。
しかし返戻があるたびに悉く、健康保険組合の外部委託業者(民間企業)への委託業務について委託行為そのものが、健康保険法並びに国民健康保険法、そして個人情報保護法違反にあたるのではないかとして、厚生労働省関東信越厚生局等を相手に昨年来調査依頼や質問要望書を送り続けている某団体の代表者がいる。
今回は、受託会社の権限等について某団体代表者(S氏)が言及している質問・要望書と厚生労働省関東信越厚生局担当官の回答書の中から、その理由と根拠、一連の経緯について報告、問題点を抽出してみることにした。
平成21年1月27日付、S代表から関東信越厚生局健康福祉部保険課担当者への質問要旨
【健康保険組合と委託業者について】
- 1.
- 健康保険組合は「行政機関」とみなされているが、どのような法的根拠があり民間企業に対して、委託契約を結びその保有する情報を提供できるのか。
- 2.
- 健康保険組合の認可にあたり、療養費支給申請書の審査能力や事務の取りまとめ能力は問われないのか。
- 3.
- 保険管理センター(ガリバー)が本当に審査行為をしていないのであれば、何時どこで誰が審査を行っているのか。
- 4.
- 保険管理センター(ガリバー)なる委託業者に提供できる情報の範囲はどこまでと考えているのか。
【療養費の支払いについて】
- 1.
- 確認の結果、本会の振込口座へF健康保険組合から直接療養費の振込があったが、療養費の振込を保険組合が行うのであれば、保険管理センターへ口座番号を情報提供する必要性はないと個人情報保護上考えられるがいかがか。委託業者へ提供する情報は必要最低限でいいはずである。
- 2.
- 必要の範囲を超えて委託先である保険管理センター(ガリバー)へ情報提供するならば、個人情報保護上、委託業者にはあたらず第3者への情報提供となるため、本会の同意が必要と考えられるがいかがか。
- 3.
- 個人情報保護上、委託業者であれ、情報提供は「必要の範囲内」とされているが、保険管理センター(ガリバー)へ委託しなければならない必要性はなんなのか。
◎行政手続法に従い書面で2月20日までに回答をと要求している。
また質問状にはこの団体に返戻された内容書を資料として添付。保険組合に提出したレセプトが外部委託され、外部委託業者から返戻された事例である。返戻の日付は平成20年9月24日で接骨院が施術、請求した月は平成20年4月分の請求であった。