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統合医療議連が勉強会を開催

2012/08/30

平成24年8月24日(金)、衆議院第2議員会館地下1階第4会議室にて民主党統合医療を普及・促進する議員連盟の勉強会が開催された。

この勉強会には同議連に所属する議員、厚生労働省等が参加し、一般社団法人国際和合医療学会常任理事・陰山康成氏による「伝統医療と現代医療の和合を目指して」と題した講演が行われた。

陰山氏は〝私も18年間西洋医学一辺倒で学んできたが、臨床の現場で患者さんを目の前にした時、残念ながら西洋医学だけでは実学としての医療に役に立たないと感じることが多かった。そんな中で長年の歴史を持った東洋医療・伝承医療の中に、非常に患者さんへ恩恵を与えられる武器があるという確信のもと、新しい医療の組み立てる必要があるのではないかと考えている〟と述べ、和合医療のキーワードとして「和合精神」「医療費の削減」「ホスピタリティ医療」の3つを上げた。

陰山氏はまず、西洋と東洋のものの考え方、宗教観の違いがある事を押さえる必要があると述べ、ホスピタリティの語源であるホスピクルスの原理とは、提供する側とされる側が一体であり根本的な意識が同じところからくるという、極めて東洋哲学的な発想を持っていると説明。現在、病院やクリニックで展開されている医療基盤のものの考え方は、西洋哲学の「分離と秩序」の縦割りの考え方であるとした上で、「並列」の東洋哲学の考え方を基盤に西洋医学と東洋医学のシステムをうまく統合・和合させることで、患者さんにとって質の良い医療が提供できるのではないかと主張した。スピリチュアル、メンタリティというものを本格的に基盤に置き、かつ最先端医療を取り入れているチベット医療を例に挙げ、縦割りではなく横の繋がりでものを考えることを推進する医療家達が集まった時に初めて、東洋医学のものの考え方で西洋医学の最先端医療を取り入れるという東西を融合した新しい医療システムができるのではないかと述べた。

具体例として「掌蹠膿疱症」という皮膚疾患が、抜歯等により口内の病態が治癒することで皮膚科医が驚くほど劇的に治癒率が上昇したことをスライドを使いながら説明。西洋のものの考え方では皮膚科と歯科が分離分断されているので繋がらないが、これは東洋のものの考え方で分離分断をせず、横の繋がりを考えたことで治癒に成功したひとつの事例であり、これだけでもずいぶんと医療の質は上がると思うと訴えた。

和合医療学会のミッションとして「自分自身で健康を作っていこうとする国民に対し適正な情報を提供する」「互いに補い合う為にタッグを組みたいという医者と東洋医療家を結びつける場を設ける」を挙げ、〝ここだったら亡くなっても良いという病院を作りたいと活動している〟と熱く語った。

さらに陰山氏は、柔道整復師や鍼灸師のことにも触れ〝願わくば柔道整復師、鍼灸師、今地方自治体で免許として出されているような有資格者の方たちが、中国や韓国、インドと同じように、日本の伝承医療を推奨する医師として活動できるよう、少なくとも柔道整復師の保険医化ができると水準が上がる。西と東の医師がそろって初めて、本物の統合医療・和合医療が推進されるのではないかと考えている〟と述べる一方、〝柔道整復師、鍼灸師の先生が実践でされているのは残念ながら西洋医療的な治療が多い。目に見えない気の流れというものを基盤にしているのが東洋医療であり、形を追いかけているのが西の哲学を基盤とした西洋医療であるとすると、実際に気の流れなどを前提に治療をしている人はほとんどいない。そういう意味では本質から外れてしまっているという残念な現状にあると思う。もちろん教育にも問題があり、専門学校の授業自体が解剖学や生理学など西洋医学と全く同じような授業で、気の流れを紐解くということは全くない。元々柔道整復の始まりは「殺法」「活法」という、倒した相手に命を落とさせることなくその傷を治すという和の精神なのだから、その感覚を持って気の流れを前提とした柔道整復を復権させていただきたい。それでこそ柔道整復師の存在意義があると思うし、数多くの有資格者がいるのだから東洋医療系の有資格者が予防医療として患者個人に合った食事・運動・メンタルケアを指導することによって健康づくりができるのであれば、確実に医療費の削減にもつながる。そこには気の流れなどの東洋のものの考え方が必要だと私は考えている〟と柔道整復師や鍼灸師等に対する自論を展開した。

講演中は陰山氏の観点を変えた新しい意見に、参加した議員からは時折驚きの声も上がるなどし、約1時間の勉強会は盛況のうちに終了した。

民主党統合医療を普及・促進する議員連盟はこの日の国際和合医療学会の講演に先立ち、22日に全国柔整鍼灸協同組合、23日にJB日本接骨師会からそれぞれヒアリングを行なった。同議員連盟では今後も随時他団体から意見聴取を行うとしている。

なお、全国柔整鍼灸協同組合とJB日本接骨師会のヒアリングの模様については、柔整ホットニュース9月16日号特集にてお伝えする予定である。