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大阪で個人請求者のための勉強会が開催
平成24年7月28日(土)午後6時より大阪市中央区民センター第2会議室にて、「第1回 個人請求者のための勉強会」が開かれた。
冒頭、この勉強会の主催者で自身も個人請求者である佐藤学氏より「現在、我々柔道整復業界は、数百年に及ぶ歴史の中でも未曾有の危機に直面しており、その存在は風前の灯の様相を呈している。その中で我々個人請求者が、日整、任意団体につづく第三の勢力として、団体の枠にとらわれず理念を構築し発信することは、業界にとって非常に意義のあること」「個人請求者はまさに“眠れる宝”です。一日も早く眠りから覚め、実力を発揮していただきたい」「この勉強会は“出入り自由なテント小屋”のようなもの。まずはこの業界の事を知って欲しい、そして興味を持って欲しい。そのために開いた勉強会です」と挨拶があった。
次に、この勉強会の主旨として「業界の情報を獲得しにくい個人請求者に情報を発信し、共有する」、「その情報をもとに、業界が今後どうあるべきか、理念や政策を構築し、業界全体あるいは国へ提言していく」、「個人請求者という“浮動的特徴”を生かし、政治的最前線で最も活躍している集団・個人への賛同と支持・応援をしていく」の3つを上げ、最終的に目標とすることは、安定した制度の構築、支給基準の見直し、柔道整復師のレベル向上と地位の向上であると説明。加えてこの勉強会は保険の上手な使い方や接骨院繁盛のための秘策等を学ぶものではないとも述べた。
続けて佐藤氏から「柔道整復業界にはこれまで3つの危機があった」とレジュメを用いながらこれまでの業界の歴史を振り返り、その歴史がいま業界の抱えている問題とどのように繋がっているかを説明。大正から昭和初期にかけて発生した問題がいまだに放置され、現在の多くの矛盾を形成していると指摘。その後のゲスト講演では、全国柔道整復師連合会(以下、全整連)の田中威勢夫会長、岩本金悟常任理事の両名がそれぞれ講演を行った。
最初に壇上に立った岩本氏は「最近、自分自身が生活の糧としているこの業界のために何かをしてきただろうか、何かをしないともったいない、申し訳ないと感じるようになり、そんな時に田中会長とお会いし全整連に身を置かせてもらう事となった。私はこの業界を夢見て養成学校に入られた方々、いま現場で一生懸命活動している方々に少しでも良いと思ってもらえるような業界にしていきたい。先程、全整連を応援しようというお声もいただいたが、皆さんは柔道整復師の最大の支援者である患者さんの為にも、第三者の立場で応援をするのではなく、一緒に歩み活動し、当事者として何ができるのかということを先頭に立って考えないといけない。皆さんと一緒に私達の業界の歴史を知りながら今の時代に合った形を作っていきたい。患者さん、私達資格者、そして周辺ビジネスの方々が良いと思えるような業界を作り上げるために、皆さんと共に活動できることを心より願っています」と熱く語った。
続いて登壇した田中氏からは「この業界は不正が多いと言われるが、不正請求と言われるものには2通りある。1つは架空や水増し等の実態のない完全なる不正請求。もう1つには実態のある不正請求として、押し売り診療や迎合診療等があるが、この様な場合は明確な基準がなく先生方各々によって基準が異なってしまう。健康保険を使えるか否かという明確な基準を作らねばならない。そもそも柔道整復師の施術行為というのは、体の一部におこなう医療行為であるため、柔道整復師の業務範囲というのは医行為である。しかし厚生労働省はそれを認めていない。医行為ではないから療養費という事になり、療養費だから受領委任払いという事になる。療養費というのは医療の補完であるが、柔道整復師の行為は果たして医療の補完であろうか。骨折や脱臼を扱うのだから医行為そのものであるはずだ。柔道整復業界の問題の根本はこの部分にある」と、業界が抱える様々な問題の根底にはこのような制度の不備があると指摘。全整連では根本的な問題から解決し、一生懸命働いた人が正しい形で評価をされるようにするために活動していると語り、制度改正に向けた全整連の活動を中心に、柔道整復師の業務を考える議員連盟や柔道整復療養費検討専門委員会等、今後の柔道整復業界を左右するであろう事柄を分かりやすく解説した。
今回の勉強会の参加者は約40人と決して大規模なものではない。しかしながら個人請求者が一堂に会することは業界初ではないだろうか。今や個人請求者は1万人を超えたとも言われている。このような勉強会をきっかけに自分達が身を置いている業界に関心を持ち、これから柔道整復業界が正しい方向に進むための力となってくれる事を願う。
佐藤氏によると、会の終了直後から賛同の意志が多く寄せられた、今後も全国各地でこのような勉強会を重ねていきたいとのことだ。