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社団法人日本柔道整復師会第40回九州学会宮崎大会が開催される!
翌日の10日(日)、社団法人日本柔道整復師会第40回九州学会宮崎大会がシーガイアコンベンションセンターで朝8時半から清々しく開催された。
『変形性膝関節症の病態と治療』と題し日本柔道整復接骨医学会会長・医学博士・守屋秀繁氏が特別講演を行った。
講演で守屋教授は〝変形性膝関節症を診ておられる柔整師に、どのような病変が起こっているかを知って頂きたい〟として、内側半月板が断裂している状態や、滑膜が赤く腫れて炎症を起こしている状態をビデオで紹介した。関節の軟骨にはガラス様軟骨と繊維軟骨の2つがあり、ガラス様軟骨の方が強く、最初に加齢変性してくるのは線維軟骨で変性半月板断裂という状態が起こり、その後、ガラス様軟骨同士がこすれあい、特に内側に負荷がかかり易いため変性し磨耗してくる。変性断裂した半月板や変性軟骨の磨耗粉が関節包の内側の滑膜に炎症を誘発させ、更に炎症部分の血漿成分が漏出して、いわゆる水(関節液)が溜まった状態になる。患者さんが〝水を抜くと癖になりますか?〟とよく聞くが、癖になるのではなく原因を除去していないから水が溜まるのである、とも説明し、そのメカニズムを解説した。変形性膝関節症は女性に多く、原因は加齢や遺伝子によるもので、変形性膝関節症の99%は内側型であり、主な症状は、歩きはじめ、立ち上がり、階段の昇降時、特に降りる時の痛みなどであるとし、治療法としては保存的治療と、手術的治療があり、保存的治療の基本は大腿四頭筋を強化して膝に安定性を持たせる筋力増強訓練であり、変形性膝関節症では大腿四頭筋の萎縮が多かれ少なかれみられるので、出来れば0.5kgか1kgのおもりを足関節に巻き訓練させる。この運動を朝晩10回ぐらいずつ行わせると効果的で、また患者さんに大腿四頭筋を鍛えるために歩くのが良いと勧めていると自身の治療法を述べられた。変形性膝関節症になると内側型の場合、内転筋と腓腹筋の内側頭、膝の内側、下肢の内側の筋肉が固くなるため、その部分に十分マッサージを行うと楽になるようである。その他として、装具ではサポーター或いは足底板を使ったり、人によって膝蓋骨あたりに紐を巻いたりする人もいる。内側型に対する足底板については7ミリ、10ミリ、15ミリがあるが、私は7ミリの外側足底板を使用している。またサポーターも効果があり、足底板を併用すると良いと解説した。今、整形外科医が関節に注射する薬の殆どは、関節の滑りをよくするヒアルロン酸で、その他の薬物療法としては消炎鎮痛剤が殆どであり非ステロイド系消炎鎮痛剤、グルコサミン、コンドロイチンが挙げられる。一方、ステロイドは副作用があり、糖尿病の場合は悪化し、また骨や軟骨を弱くする作用があり、特に関節注射時の感染が一番怖いと述べた。手術については、60歳以下の場合、高位脛骨骨切り術を行うが、60歳以上で高位脛骨骨切り術を行っても無理だと判断された場合には人工関節を行う。また鏡視下で半月板を切除した患者71例中、術後4~5年で、6例が人工関節になっており、3分の1位はヒアルロン酸の注射を打っている。人工関節の改良が進み、新しく開発されたプラスチック製の人工関節は30年位持つとされ、そのため高位脛骨骨切り術は激減していると解説した。
最後に守屋会長は〝私は日本柔道整復接骨医学会会長を仰せつかっているが、柔整師はどんな病態に対して施術をしているか十分な認識が無いように思い、昨年まで勤務した鹿島労災病院で研修制度を始めました〟と述べ、研修要項を示した。
1.研修病院1)整形外科診察を熱心に行っている病院2)手術を研修になる症例数行っている病院 2.研修期間:週1日病院研修を行い6ヶ月を1クールとすること 3.研修内容:外来研修、手術見学、リハビリテーション研修4.研修費用 1クール1人1万円とする(会長名で研修修了証を発行)
〝こういった研修制度が全国に広がってくれることを望んでいる〟と述べ、その後、会場から多くの質問を受け、一つ一つ丁寧に答えられ拍手喝采のうちに講演を終了した。
会員発表は、「マレットフィンガー固定法の検討」(実技発表)福岡県・堀江友作氏ら他7題が行われた。 次年度開催県の大分県学術部長・安東鉄男氏が閉会の辞を述べ終了となった。