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第105回   【柔道整復師と学会 そのⅢ】

2014/10/01

【―柔道整復・柔道整復師って何?への答え―】

明治国際医療大学   教授   長尾 淳彦

「柔道整復」は、「接(整)骨院」で療養費とはいえ、患者さんは健康保険を使い一部負担金を払えば、病院や医院と同じようなシステムで治療が受けられる。このような保険制度は昭和初期より適用されており、国民生活の中に「接骨院での治療」は普及浸透している。だからといって患者さんが柔道整復の全てを理解しているとは言えない。

何故、正式名称は「接(整)骨師」でなく「柔道整復師」なのか?何故、支給申請書に自署をしなければならなのか?「整体」「カイロプラクティック」との違いは?「接骨院」「整骨院」「鍼灸接(整)骨院」の違いは?等々、業界として国民に的確・明確に説明すべき事柄である。

柔道整復師に関する法律の経緯は、戦前は按摩術営業取締規則(内務省令)の附則により、同規則の準用という形で取締りが行われ、昭和21年末からは、柔道整復術営業取締規則(厚生省令)により規制が行われていたが、現行憲法の施行に伴い、同省令が失効することとされたので昭和22年12月あん摩、はり、きゅう、柔道整復等営業法として法制化が行われた。その後、昭和28年にそれまで一律4年だった資格取得の修業年限が、大学入学資格者については2年とされたほかは、とくに制度の変更は行われなかった。

昭和45年に至って、内容には変更を加えることなく、あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師、柔道整復師等に関する法律から柔道整復業に関する部分を分離し、単独法として制定された。

昭和63年には、受験資格の変更、免許権者を都道府県知事から厚生大臣とすること、試験の実施者を厚生大臣とすること。平成4年10月1日から厚生大臣の試験、免許となった。

昭和45年に単独法として柔道整復師法になったときから、現在に至るまで、柔道整復師の業務範囲について明確な記載がない。療養費の支給基準には、「骨折」「脱臼」「打撲」「捻挫」「挫傷」という5つがあり、負傷部位を付けることにより「負傷名」となる。

この法律で明記されていないことが現場で混乱を招くこととなっている。負傷名の用語の定義も含め、法律に組み込むエビデンスある内容を学会で練り上げる必要があると考える。

少しでも早く、国民に「柔道整復・柔道整復師って何?」という明確な答えを業界が示さなければならない。