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第99回   【柔道整復師の現状を考える(そのⅢ)】

2014/07/01

【―柔道整復師法―】

明治国際医療大学   教授   長尾 淳彦

柔道整復師法(昭和45年4月14日法律第19号)

第4章 業務

(業務の禁止)

第15条
医師である場合を除き、柔道整復師でなければ、業として柔道整復を行なってはならない。

「業務独占」とは?
柔道整復の業務は医師と柔道整復師のみに許された独占的業務である。 違反した者は50万円以下の罰金に処せられる(法第29条第1号)。

*医師が柔道整復の業をできるのは、医師の業務の中に柔道整復の業務が含まれているからであり、柔道整復師の免許を取得したからではない。医師であっても柔道整復師の免許を取得するには、柔道整復師養成施設において必要な知識及び技能を修得し国家試験を受験し、それに合格しなければならない。

*「名称独占」「業務独占」とは?
医師法では、医師でなければ、医師又はこれに紛らわしい名称を用いてはならない(医師法第18条)と定めている。これを医師の「名称独占」という。また、医師でなければ、医業をしてはならない(医師法第17条)と定められ、これを医師の「業務独占」という。
柔道整復師法では、医師である場合を除き、柔道整復師でなければ、業として柔道整復を行ってはならない(柔道整復師法第15条)として業務は独占するが、柔道整復師以外の者が柔道整復師の名称を使用することを禁止する条文はないので、柔道整復師は名称は独占していない。著者としては医師法第18条と同様のものを柔道整復師法に付加して名称独占すべきと考える。

(外科手術、薬品投与等の禁止)

第16条
柔道整復師は、外科手術を行ない、又は薬品を投与し、若しくはその指示をする等の行為をしてはならない。

*医師法第17条:医師でなければ、医業をしてはならない。

*柔道整復師の業務の範囲はこの禁止事項以外柔道整復師法には記されていない。
 今後、法律で柔道整復師の業務範囲を示せるようにしていかなければならない。

柔道整復師が販売又は授与の目的で調剤した場合は薬剤師法第19条違反となる。

薬品投与の範囲(厚生省見解、昭和24年6月8日、医収662)
患部を薬品で湿布するが如きも理論上薬品の投与に含まれると解するが、その薬品使用について危険性がなく且つ柔道整復師の業務に当然伴う程度の行為であれば許されるものと解する。

(施術の制限)

第17条
柔道整復師は、医師の同意を得た場合のほか、脱臼又は骨折の患部に施術をしてはならない。
ただし、応急手当をする場合は、この限りでない。

医師の同意を得ずに、応急手当でなく脱臼又は骨折の患部に施術をすれば 30万円以下の罰金に処せられる(柔道整復師法第30条第2号)

*「医師の同意」とは?
同意を得る医師は整形外科以外の医師でもよいが、獣医師・歯科医師は含まない。また、同意を得る方法としては書面であっても口頭であっても良いが、医師が直接患者を診察することが必要である。

平成22年9月1日(9月の施術分)から
骨折・脱臼の医師の同意に関する記載は施術録と同様に、申請書の摘要欄にも記載 することとする。
従来は「実際に医師から施術につき同意を得た旨が施術録に記載してあることが認められれば、必ずしも医師の同意書の添付を要しないこと。」とあったが今回からは「医師の同意に関する記載は施術録と同様に申請書の適用欄に記載すること」となった。施術録・支給申請書ともに記載されていないと返戻対象となる。
原則として「同意年月日」「医療機関名」「医師の氏名」を記載しなければならない。ただ、総合病院等で医師名の確認が困難な場合は「(総合病院のため医師名確認困難)○○病院整形外科担当医 患者より聴取」と記載する。

*「応急手当」とは?
脱臼、骨折の場合に医師の診察を受けるまで放置すれば、生命または身体に重大な 危害を来す恐れがあるとき、柔道整復師がその業務の範囲内において患部を一応整復する行為をいう。止血剤を注射したり、強心剤を注射したりすることはもちろん許されず、また、応急手当の後、医師の同意を受けず引き続き施術をすることはできない。
応急手当は1回とは限らない。