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これだけは知っておいて!!
第97回 【柔道整復師の現状を考える(そのⅠ)】
【―柔道整復師法―】
明治国際医療大学 教授 長尾 淳彦
柔道整復師法は昭和45(1970)年4月法律第19号として「あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師、柔道整復師等に関する法律」から分離し、単(行)独法として制定された。
昭和63(1988)年5月に①免許を与える者を都道府県知事から厚生(労働)大臣に改めること.②試験を実施する者を都道府県知事から厚生(労働)大臣に改めること.③受験資格について一定の養成施設等において高等学校卒業後3年以上必要な知識及び技能を修得することと改めること.④試験の実施に関する事務及び登録の実施に関する事務については厚生(労働)大臣の指定する者に行わせることができることとすること.の大きな4つの改正が行われ現行法に至っている。
昭和45(1970)年から44年、昭和63(1988)年から26年が経って世情も変わり、様々な変化に対応できる法とは言い難い。
特に昭和63年7月より受領委任の取扱いを日本柔道整復師会会員外も出来るようになったこと。平成10年福岡地裁判決の結果、養成施設の設置基準が緩和され、当時14校(1学年定員1050名)だった養成施設は、現在100校超(養成校94、大学15校)となっている。
このことが、就業柔道整復師や施術所が増えた原因である。具体的な数値として平成12(2000)年の就業柔道整復師は30830名で施術所は24500か所、平成24(2012)年の就業柔道整復師は58573名で施術所は42431か所である。就業柔道整復師は190%増、施術所は173%となる。
柔道整復師の扱う傷病・負傷については、昭和11(1936)年,都道府県ごとに所在の柔道整復師会と協定を結び料金表を定め委任の方式をとる形で現在に至っている。十数年前から、多部位請求や請求の地域格差など問題となっているが、柔道整復師法には取扱いの傷病(負傷)名が全く触れられておらず、療養費の支給基準での柔道整復師の業務範囲は「骨折・脱臼・捻挫・打撲・挫傷」の5傷病名に限定されている。この協定の部分では昭和11年から78年間、業務制限の部分が昭和45年から44年間変わることも変えることもなく続いている。
保険請求の為に単に傷病・負傷名を変えるという短絡的なものでなく「柔道整復師法」の業務制限(第4章「業務」第15条・第16条・第17条)と現状に照らし合わせ柔道整復師の「業務範囲」を決めていくことが必要であり「現状に即した適正表記」が出来る協定の見直しが大切である。業界全体と国とで早急に取り組む問題だと思う。