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これだけは知っておいて!!

第95回   【地域と共に活(生)きる「柔道整復」】

2014/05/01

明治国際医療大学   教授   長尾 淳彦

 

受領委任の取扱いをしている柔道整復師は「健康保険のしくみ」で柔道整復師の施術を受けられる患者さんのために、「この保険制度が維持」されるようその責務を果たさなければなりません。

接骨院で「健康保険」を取り扱えるというのは「柔道整復師」のためだけでなく、1割、3割という一部負担金で治療できる「患者さん」のためであるという意識を全国の柔道整復師全員が持たないといけないと思います。現在、接骨院では当たり前に「健康保険」が使えるようになっていますが、最初から使えたわけではありません。私たちは、現状に至るまでの歴史的背景を知り、先人への感謝とこの制度継承の念を持たなければなりません。

柔道整復師の先輩たちのほとんどが、常に地域の各種行事に参加し、消防・防犯・青少年育成などの地域役職にも進んで着任し、地域と共に歩んでこられました。決して、無理をすることなく自然体で地域に接してこられました。人生経験豊かな年配の先人は「地域の相談役」として、元気で若かった先人は「地域の機動力」として地域のお役に立ち、地域に親しまれて来られました。

現在の柔道整復師はどうでしょう?社会情勢がいかに変化しようとも地域との絆を深め、地域に信頼される柔道整復師でなければなりません。

近年「接骨院」が何をする処か分からない人たちも増えてきていると聞きます。地域の方々と密接なお付き合いがあった前述の時代ではこのようなことはなかったはずです。骨が折れたり、関節が外れたり、挫いたり、物が当たったりしたときは「すぐに近くの接骨院」が当たり前でした。今風に言うと、急性、亜急性の骨折・脱臼・打撲・捻挫・挫傷を治療する処が「接骨院」です。

我々が業としている「柔道整復」は日本発祥の伝統医療であり、日本の文化でもあります。きちんと治す理論と技術を持ち、医療人として「日本の伝統医療である柔道整復」に誇りを持って社会に貢献していかなければなりません。

そのためには、さらなる学術の研鑽と倫理観を持って「柔道整復」に取り組まなくてはなりません。